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第22話　準備

「ふむ、いよいよ最終決戦だな」

これまで色々やってきた成果が、遂に実を結ぶ時が来た。

魔族と人間側の最終決戦。

この戦いに勝った方が世界の覇権を担う事に成る。

ネッドの所属する傭兵団には、遊撃部隊として魔王を狙う様に命じておいた。

他の兵達には、その邪魔をせず周りの魔族の排除を優先するよう通達している。

これで魔王対勇者の戦いに、余計な邪魔が入る事は無いだろう。

後はその結末をゆっくり鑑賞させて貰うだけだ。

「しかしまだ少し時間があるな。今の内に、先に仕事を済ませておくとするか」

エンディングは近い。

そろそろ裏面に向けて準備しなくてはな。

「お出かけになられるのですか？」

玉座からゆっくりと立ち上がると、傍に控えていたラグレが声をかけて来た。

「ああ、ちょっとした所用だ。ブラストとレイゲンの王都と、それに主要都市を破壊してくる」

何方が勝つにせよ、戦争は終わる。

その後裏ボスとのイベント戦(やらせ)を経て、ラミアルが勝った場合には世界の覇者たるは真王の座を。

ネッドの場合は、世界を救った英雄の座を用意する積もりだ。

その為にはまず、ブルームーン王国以外を滅ぼしておく必要がある。

本当は裏ボスはオメガに任せてガチバトルをさせるつもりだったのだが、残念ながら奴には裏切られてしまっていた。

そのせいで俺が茶番(やらせ)をする羽目になっている。

世の中儘ならない物だ。

「お供致します」

ポチ、タマ、ミケが俺の前に跪く。

彼らは俺の腹心、いわゆる悪の大幹部という奴だ。

そしてその立場に相応しいだけの力を、彼等には与えてあった。

――強力な力を与えるにあたって、彼らには人間をやめて貰っている。

普段は人の世界で暮すために姿形を変形させて生活しているので、人間と見分けはつかないが、その真の姿は俺に負けないほど立派な異形の化け物と化していた。

本来ならイモもこの中に加わる筈だったのだが、残念ながら異変を察知した奴には逃げられてしまっている。

お陰で4天王と呼称できない。

困った話だ。

「ではお前達に、主要都市の破壊を命じる」

召喚した大量の魔獣達を部下として与え、三人をブラストとレイゲンの大都市へと送る。

戦争で人員が大幅に減っているため、その防備は手薄だ。

今の彼らの力だけでも都市を落とす事は容易いだろうが、念の為配下を付けておいた。

これで万一は起きるまい。

「さて、俺もいくか」

王都は俺が担当する。

跡形もなく粉々に吹き飛ばす予定だ。

俺は空間に穴をあけて、まずはブラスト公国の王都へと向かう。