プロローグ
私はいつも独りぼっちだった。
子供の時に大きな事故に巻き込まれ、私の体には消えない傷跡が無数に刻まれた。
見るに堪えない、一生消えないような酷い傷だ。
だが幸い周りの人間は私を避けるだけで、虐め等は無かった。
ただ一度を覗いて。
小学生に上がった時、私を化け物呼ばわりした2人の男の子がいた。
その子達は私の後を追い回し、私を棒でぶった。
そしてそれが――その子達の姿を見た最後だ。
その二人はその晩、夜遅くまで遊んでいた所を車にはねられ死んでいる。
それ以来私は呪われていると恐れられ、怖がって誰も私に近づかなくなった。
もちろん、私にはそんな力はない。
只の偶然だが、そのお陰で孤独ではあるが、余計な物に煩わされる事無く生きて来れた。
友達なんていらない。
どうせ私は化け物みたいな見た目をしているんだから、このまま生きて行けばいい。
一人でひっそりと……
そうやって孤独に一人で生きて行くと決めていた。
でもあの日。
大学の入学式のあの日、私は出会ってしまった。
太陽に。
入学式の帰り、道にけつまずいた私に彼は笑顔で手を差し伸べてくれた。
それまではそんな事があっても、周りの人は遠めに眉を顰めて眺めるだけだったのに、彼だけは違った。
――それはとても眩しくて、暖かい笑顔で。
それが嬉しくて、嬉しくて……私はその場で泣いてしまう。
彼はそんな私の肩を優しく抱いて、泣き止むまで付き合ってくれた。
こうして私の人生に、初めて友達が出来た。
どうでもいいと思っていた人生。
それでも死ぬのは怖くて、だから只死んでいなかっただけの私の人生に、初めて光が差した。
その後、私に二人目の友達が出来る。
彼の彼女らしい。
その時、私は少し暗い気持ちになってしまったが、別に構わない。
私は近くで彼の笑顔さえ見ていられれば良いのだ。
それに、彼女は凄く良い子だった。
私なんかの為に泣いてくれて、凄く気遣ってくれる。
そんな2人は、私の理想のカップルだ。
周りから後ろ指を指されても気にせず、二人は私の友達でいてくれた。
それ所か私のために怒ってくれさえする。
本当に楽しい。
生きていて、本当に良かった。
だけどあの日――2人は死んだ。
飲酒運転の車に跳ねられ、即死したらしい。
彼の葬式に行ったら、頬をぶたれた。
彼のお母さんに、お前のせいだこの化け物と言われて追い出されてしまった。
私のせいで彼は死んでしまったのだろうか?
ううん、違う。
だって彼は言ってくれたもの、君は呪われてなんかいないって。
じゃあなぜ彼は死んでしまったのだろうか?
――よく分からない。
その日、私は自ら命を絶った。
だってもう生きている意味なんて無いんだもの。
天国で彼に会えるかな?




