第16話 お昼寝
お……………アル。
声が聞こえる。
ねぇ…………ラミ……。
……起きて…ラミア……。
聞き覚えのある声だ。
声は段々と大きくなってくる。
お願い……もう少し……まだ眠いの……
「ラミアル!ねぇ!ラミアル起きてよ!!」
「ふぁっ!?」
耳元で破裂するかの様な大音量に驚き、私は変な声を上げながら飛び起きる。
耳の奥がキーンと痺れ、頭が痛い。
「やれやれ、やっと起きてくれたね」
目の前にはグウベェがいた。
大声の主は彼だろう。
「ちょっとグゥベェ。いきなり大声を出すのは止めてよね」
「ごめんごめん、でももう日が暮れるし。早く帰らないとアムレに怒られてしまうよ?」
「え!?もうそんな時間!?」
起き上がって辺りを見渡す。
確かにグウベェの言う通り、夕日が山に掛かっていた。
早く帰らないと「魔王としての自覚がなってないって」またアムレに怒られてしまう。
木にもたれ掛っていた為背中が少し痛いが、私は大きく伸びをして走り出した。
さっさと帰らないと。
「ごめんね、グゥベエ。せっかくの休みに二人で出かけたのに、私グースか寝ちゃって」
「慣れない魔王の仕事で疲れが溜まっていたんだから、気にしなくていいさ。また今度出かけよう」
「ありがとう」
折角グウベェとの休日を寝て過ごすなんて、不覚。
彼にも悪い事をしたし、今度必ず埋め合わせをするとしよう。
でも何であんなに眠かったんだろう?
直前までは元気だったのに、やっぱり疲れかな?
これを機に政務をアムレに押し付けちゃおうかしら?
なんてね。
くだらない事を考えつつも、私は魔王城へと急ぐ。
――今日人間の国で何が起こったのかを私が知るのは、まだ少し先の話だ。




