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第20話 ネッド


何かが俺の中に流れ込んでくる。


――それは力であり。


――記憶であり。


――そしてテオードの命だった。


「テオード……君はもう一人の俺だったんだな」


全てを理解する。

レーネが俺を転生させてくれた事。

その転生が不完全だったために、魂の一部(きおくとちから)が俺の体から零れてテオードに宿っていた事。


彼がレーネをどれだけ愛していたのかさえ、はっきりと理解できた。


「約束する。レーネは俺が守るよ」


俺は立ち上がり宣言する。

彼は俺を信じ、その全てを託してくれた。

ならば俺はそれに全力で応えよう。


「ネッド!」


レーネが叫んだ。


「死ね!」


いつの間に背後を取っていたグヴェルが、俺の首筋に向かって手刀を振るう。

振り向きざまに右手の剣でその一撃を弾き、左手の剣で奴を薙いだ。


「ちぃ!」


グヴェルはその一撃を飛んで躱す。

その背後に倒れている仲間達が見える。

だが幸い、死者はいない様だ。


「グヴェル。お前を倒す」


「はっ!大口を叩く!」


別に大口ではない。

今の俺にならそれが出来る。


俺とテオード――二人の力ならば!


「行くぞ!」


一気に間合いを詰め、剣を振るう。

グヴェルはそれを拳で迎撃してきた。

さっきまでなら弾かれたのは俺の方だろう。


だが――俺の振るった剣は奴の拳を弾き、その首元を掠める。


「何だと!?」


驚愕と共にグヴェルは背後に跳躍する。

こんな時でも、きっちり俺を壁にしてレーネの魔法を防ぐのは大したものだ。


だが問題ない。

グヴェルがどう立ち回ろうと、俺が奴を切ってしまえば良いだけの事だ。

俺は迷わず奴に突っ込む。


「糞が!爆裂魔法(エクスプロージョン)!」


突っ込む俺に、グヴェルが魔法を放つ。

だが無駄だ。

俺は手にした魔法剣でそれを二つに切り裂いた。


これはレーネが付与してくれた特別製の魔法剣だ。

切り裂いた魔法を無効化させる効果がある。

勿論余りにも強力な物は無理だが、今のグヴェルの魔法程度なら問題ない。


「グヴェル!」


「おのれぇ!!」


グヴェルが拳を振るう。

だがそれよりも早く、俺の剣が奴を捉えた。


「四神連斬!」


両手から放たれた8連撃は奴の四肢を切り裂き。

その胴を抉る。


強い衝撃にグヴェルは吹き飛び、その体は地面を勢いよく転がっていく。

手ごたえありだ。

奴はピクリとも動かない。


「これが俺の……俺とテオードの力だ……」


終わった。

俺は振り返り、テオードの元へと向かう。


「終わったよ……テオ――」


全てが終わった。

そう思い、足を一歩前に踏み出した瞬間背筋に寒気が走る。


……終わったはずだ。


例え生きていたとしても、もう奴に戦う力は残ってはいない。

そのはずなのに……鼓動が高鳴る。

嫌な予感が、消えてくれない。


「ネッド……」


レーネが青ざめた表情で俺の背後を見つめていた。

俺は恐る恐る、振り返る。


「これ……は」


倒れた奴の体から、何かが立ち昇っている。

それが何なのか、すぐに気づいた。


魔力だ。

それも可視化される程の膨大な魔力。


俺が唖然とその様子を眺めていると。

グヴェルがゆっくりと起き上り、にやりと口の端を歪めた。


奴はまだ……何かをするつもりだ。


とんでもない何かを……

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異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~ 異世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。 ハーレム学園に勇者として召喚されたけど、Eランク判定で見事にボッチです~なんか色々絡まれるけど、揉め事は全てバイオレンスで解決~ 異世界召喚されEランク判定の外れ認定された主人公は、実は神様からチート能力を貰った超人だった。ハズレ野郎としてボッチで学園生活を送る主人公が、ムカつく奴らを鉄拳制裁して行く物語になります。
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