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第11話 突入

「突撃ーー!」


指揮官の号令で太鼓の音が響く。

突撃の合図だ。

正門に一気に人が流れ込み、魔獣との戦闘が始まる。


当然俺達も最前線で剣を振るう。

周りで何人もの兵士が次々と命を落としていった。

グヴェルの使役している魔獣の強さはかなりの物だ。


だけど――


「はぁっ!」


俺の剣が2体の魔獣の首を同時に刎ねる。

体が軽い。

あのポーションの効果は劇的な物だった。

雑魚相手に負ける気が全くしない。


これが戦士としての力……


そりゃ勝てない訳だ。

脳裏に、かつてテオードに剣を砕かれた思い出が浮かぶ。


この特性を生まれつき持っている人間は、純粋にずるい。

そう思わせる程の力だった。


「うわぁぁぁぁぁ」


振動で地面が揺れ、悲鳴が響く。

見ると、巨大な体躯の化け物が暴れているのが見えた。


「アンデッドか!?」


その体は腐っているかの様に見えた。

その事から、御伽噺などで出てくる動く死体を俺に連想させる。

死体が動くなど通常ではありえないが、グヴェルならばあり得てもおかしくない。


化け物はやりたい放題あばれ、周りの人間を薙ぎ倒し喰らう。

並みの戦士では相手にならない強さだ。


「ネッド!」


テオードが叫び、巨大なアンデッドに向かって駆けた。

当然、俺もその後に続く。


「ご……ごろずぅ……」


突っ込んでくる俺達に気づいた化け物が、掴みかかって来る。

俺とテオードはそれぞれ一本ずつ、迫るその長い腕を――


「はぁっ!」


「四神連斬!」


俺の斬撃がその腕を断ち切り。

テオードの奥義が炸裂して粉砕する。

俺達は勢いを止めず、奴に突っ込んでその足と首を跳ね飛ばした。


「「おおおおぉぉぉぉぉ!」」


巨大な化け物が崩れ落ち、辺りから俺達に向けて大きな歓声が上がる。


「のんきな奴らだ。まだ正門を抜けてもいないってのに」


その歓声にテオードは毒を吐く。

多分照れ隠しだろう。


だが確かにその通りではある。

まだ戦いは始まったばかりだ、気を引き締めて行かないと。


「2人ばっかり活躍してずるいっす!」


パール達が此方へ駆けてくる。


「それでなくても今回は魔法剣を作ってないんすから、見せ場を残してて欲しかったっす」


今回俺が手にしているのは、レーネが用意してくれた魔法剣だった。

パールには悪いが、威力も効果時間も段違いだ。

これなら魔王戦の時の様に、途中で切れてしまう心配は無いだろう。

あの時は本当に死ぬかと思ったからな。


「まだまだ先は長い。いくらでも活躍の場はあるさ。期待してるぞ」


「任せて欲しいっす!ってあいたぁ!」


胸を張っていたパールの後頭部を、アーリンが杖で叩く。


「アーリンパイセン、何するっすか!?」


「後衛の護衛があんたの仕事でしょ!?護衛対象ほったらかしにして先に行ってんじゃないわよ!」


「いや~、つい」


「ついじゃないわよ!」


再びアーリンが手にした杖でパールを叩こうとするが、今度はひょいと身軽に躱す。


「そんな事より、突入が始まったっす!」


正門周りの魔獣は粗方片付き、周りがどんどん場内へと突入していく。

俺達もこんな所で遊んでいる場合では無い。


「行こう!皆!」


俺達は一塊になって門を潜る。

これから先、戦いはさらに激しくなるだろう。

だけど何処の面子なら、きっと何とかなる。


待っていろグヴェル。

お前の好きには絶対にさせない。


「はぁっ!」


俺は目の前の魔獣を斬り捨て、道を開いた。

目指すはグヴェルの待つ王城だ。

俺は強い覚悟を胸に、仲間達と共に戦場を駆け抜けた。

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異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~ 異世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。 ハーレム学園に勇者として召喚されたけど、Eランク判定で見事にボッチです~なんか色々絡まれるけど、揉め事は全てバイオレンスで解決~ 異世界召喚されEランク判定の外れ認定された主人公は、実は神様からチート能力を貰った超人だった。ハズレ野郎としてボッチで学園生活を送る主人公が、ムカつく奴らを鉄拳制裁して行く物語になります。
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