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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

余命宣告されたから戦場に立つ 死に活

作者: 7号艇

 ある日彼女は、病院で余命宣告される。胃癌ステージⅢだ。もう助からないと悟った彼女は死んだように毎日を生き続ける。これはアニメじゃなくファンタジーでもないよって異世界に行けるわけもなく、ただ死んだように毎日を過ごしていた。

ある日、たまたまやっていた紛争地帯の番組に興味を惹かれどうせ死ぬのならと紛争地帯に行くことにする。

紛争地帯での二次災害を防ぐ為に男装し死に活という名前で旅をする。某国の紛争地帯は3つの勢力に分かれていてその中の1つの勢力の中継をする。命がけで紛争地帯で中継する彼女の苦労が報われ一躍時の人となる。

彼女の頑張りに感化された人達が、紛争地帯に資金供給している国でデモが発生し紛争が一時的に止まる。

紛争地帯で紛争が再開されない様に彼女は次にする事を考える。紛争地帯の状況をどうにかしたいと考えた結果大きな目標を見つける。紛争地帯を止める事だ、止める為にどうすればいいのか一人では考えて答えが出ないときは、アドバイスをもらい彼女は国を三つに分けるクラウドファンディングを立ち上げる。

立ち上げたクラウドファンディングの目標金額は約3000兆億円だ。雲を掴む話だが彼女は諦める事なく行動する。

 最初集まった金額は到底目標金額に到達するものじゃない。彼女が悩んでいる時に、ある手紙が届く、デモを止めて欲しいという内容だ。

 デモ地帯では紛争地帯の様に過激化してしまっていると手紙をもらい彼女はデモを止めに入る。

 結果彼女はデモを止める事に成功、交渉により紛争地帯へ資金供給される予定の資金をクラウドファンディングに寄付させる事が出来た。

 各国で同じ事を行いクラウドファンディングの資金は現実的な所まで到達する。

 母国である日本はその事を問題視して、彼女の元へ訪ねてくる。彼女は総理大臣との交渉でクラウドファンディングの資金未到達分を寄付してもらえる事になる。その代わりに、紛争地帯へと、また行くことになる。各勢力と交渉の末、無事彼女は生還し紛争を終わらせる事が出来た。

 三つの勢力を三つの国へ分ける事で彼女の目標は達成した。

 限りなくリアルを追及したフィクションです。



第一章通達・決断

 病院で渡された診断書で全て終わった。

胃癌ステージⅢ、有名な病気なだけに、知っているが理解が出来ない状態のまま話は進み即手術となった。

手術は成功し意識を戻した時、真っ先に手元のスマートフォンに手を伸ばした。

調べるのはもちろん自分の病気、目を疑ったが5年生存率47.3%と表示されている。

私は唾を飲み込んで病室のどこかを見つめていた。

春新入社員として3か月、仕事場にも馴染んでこれから頑張ろうとしていた自分には到底理解したくない内容だ。そこで、初めて明日が100%やって来ない事に意識を失いそうになった。

 退院して自宅療養になり一週間が経過した。

リビングでテレビを眺めて気を紛らわす事も出来ず、何も気力もなくただテレビを眺めていた。

 どうして私なんだろう、笑えない冗談はよしてくれ、それしか考えていない。自分が世界で一番不幸な人間だと主張するような目でテレビを眺めているだけで一日が終わる。いつしか、チャンネルも変えるのも面倒になり、いっそ死んだ方がマシなんじゃないかと考えたりもする。

 ファンタジーやアニメの世界だと、異世界に行けたりするんじゃないかとか考えるが、現実は残酷で何も起こらない。

 そんな時、テレビで今現在も紛争が起きているという内容の特別番組が流れ始めた。私には到底興味ない話だ。だけど、チャンネルを変える気力すらない私は、その番組を死んだ様な目で眺める。

世界には、今日も生死を彷徨う人がいるという内容だ。普段だと感心すらない私だがだが私はその番組に、強い苛立ちを感じた。

 世界の紛争について語る司会者。それを真剣に考えるコメンテーター。

普通ならその番組で伝えている紛争の苦しみ、悲しみ、そこで頑張ってる人に対して、

人それぞれだが対外の人は応援とかするのだろう。

 私の頭は正常ではなかった。紛争に関して正直どうでもよかった、私が感じた苛立ちは、番組に出演する人達に対してだった。

そんな安全な場所で語っても響きませよ。そんな心配なら実際行ったらどうですか?って思った。多分自分が胃癌になって、仮に胃癌になってない人が胃癌の辛さを語ってるのが面白くない、それに重ね合わせて考えていたんだろう。

機嫌が悪くなった私は、部屋に戻る事にした。

 その夜、紛争について少し調べてみた。紛争自体に興味はないが、私より不幸な人がいるのかという疑問があったからだ。仮に、自分より不幸な人間がいるって思うと楽になると思った、底辺の考えだ。

 検索結果は、テレビでやっている物より濃い内容が出てきた。破壊される建物、平然と人を殺す兵器を使う軍人、何より抵抗出来ない人々。

 自分が楽になるつもりだったが、テレビ番組の司会者の気持ちを理解してしまった。これは行けないな、馬鹿でもわかる、行ったら直ぐ死ぬだろう。

検索を進めても、画像はあるが動画が少ないな。確かに戦場カメラマンという立派な職業はある。けど、その人達動画は撮影している印象がないな。

そんな場所だと動画撮影する余裕がないのだろう。写真1枚でも撮って来たらよくやったと賞賛されて当然だ。皆自分が大事だからな。無茶しても限度があるだろう。

 「それなら私が行ってみようかな」

 正常じゃない私の頭は、自分の死に場所を探し始めていた。

私は胃癌の生存率を聞いてから治ると思っていなかった。どうせこのまま生きて死ぬ日を待つ毎日を過ごすより、なにか残して死にたい、そう考えた結論だ。どう考えても頭が異常だが、私は考えを正しいと思っていた。

 中継をしよう、全世界に紛争の今を伝えるんだ。どの番組にも出来ない、どんな動画サイトもそんな無茶する奴がいない。5年生存率47.3%の半分死んでいる私だからできる事をしよう。

















第二章準備・現地

 まず、準備が必要だ、ネットで検索をするといくつかのヒントが出てきた。

現金クレジットカード

・衣類

・薬(治療薬)

・食事

・バック

・携帯がいくつか必要(取られた時の予備)

・ボディーガード

・現地ガイド

 出てきたもので一番重要なのは、現地ガイドだ。人生の中でそんな繋がりがない私はどうしようもない。

 悩み、今更になって面倒になってる自分がいる。空を見上げてしばらくぼーっとしている。

そうだ、行った事ある人に相談しよう。ネットで準備する際、出てきた人に連絡を取ることにした。

メールを打った。どうして自分が行こうと思った経緯を、ここで躓いては全て台無しになってしまうから慎重に言葉を選びながら打ち込んだ。送信した時には、朝だったのが夜になっていた。後は返信を待つだけだ。

メールを打ってから、一週間後返信が来た。内容は残酷にも厳しく書いてあった。簡単に説明すると、写真を撮るだけでスパイ扱いされて殺さるケースがあるというのに、中継しようとか頭大丈夫?という内容だ。

返信を打った。大丈夫だと、簡単に理解されない事をしようとしているのは理解している。ただ、誰かが始めなければ伝わらない事もあると、少し攻め込んだ内容で送信した。

返信が来た、アポを取ってくれるそうだ、ただ命の保証はしないと強く書かれていた。

そうだな、健康体の私なら絶対やらないだろう。今の私だからやるんだろう。考えが壊れている自分に気が付いていない私は行くことを決意した。

 両親が手厚い保険に入っていてくれたお陰でお金には困らなかった。保険金を準備に回して全て揃えた。ボディーガードは雇えなかったが、現地ガイドがいるから何とかなると思う甘い考えで、少し旅行に行く位の考えで、今日は寝ることにした。

 かなり時間が掛かったが、出発の時が来た。

両親には友達と沖縄に行くと伝えてある、余り心配掛けたくないからな、ささやかな嘘だ。

 アポ取ってもらった時もそうだが、私は男と嘘を付いた。女の私が紛争地帯に行くって言うとアポが取れない可能性があった事と、レイプなど二次災害を避ける為だ。髪も切ってメイクも男に見える様にして、対処した。

空港でフライトを待ってるときに、早速中継を始めた。

 「どうも初めまして死にしにかつです。皆さん興味がない方は是非観ていただきたい中継です。私は今から某国の紛争地帯に行こうと思っております。なぜこんな命を張った事をするかと言うと、私は胃癌ステージⅢ5年生存率47.3%だからです。

 治療しても助かる可能性がないので、自分より長く生きる命があるなら助けたいと思い中継しています。前例にない試みですが皆さんよろしくお願いします。それではまた現地でお会いしましょう」

 10人程度が観てくれた。まぁ最初はそんなもんだ。

某国に行くには、隣の国に行きそこから車で某国へ移動する。

飛行機が飛んだ。長い旅の始まりだ。

某国の、隣の国へ到着。特に紛争地帯の隣の国とは思わせない平和な雰囲気だ。

 私は中継をした。

「久しぶりです死に活です。私は今、紛争地帯の隣の国へ来ています紛争地帯の隣とは思えない位、平穏な感じですね。

 ここで、現地ガイドと合流して某国に行きたいと思います。皆さんでは現地でまた会いましょう」

 少し増えて100人位が観てくれていた。増えていれば問題無しそう思った。

ここで現地ガイドと合流、前金で請求された額を支払う。正直ぼったくられてるかもしれないが、相場がわからない私は交渉の余地もないので言われた通りの金額を支払った。

 現地ガイドは私に対してかなり興味があるようで色々聞いてきた。なんでこんな少年が紛争地帯に行くのか不思議でしょうがないようだ。私は、経緯を全て話した。もちろんガイドにも男と嘘を付いた。ガイドはいい奴だった、応援もしてくれたし、励ましてもくれた。

 そんな自己紹介が済んだ当たりで某国に辿り着いた。私は直観的に空気の違いを感じた。さっきいた場所から数時間の場所なのに、空気が重くて冷たい。

 ガイドも緊張しているのがわかる。あんな陽気な人が急に静かになった。そしてガイドは私にこう話した。

「ここからは簡単に命が落ちる。引き返すなら今の内だ。」

 私は少し笑いながらこう話した。

「問題ない。進もう。」

 ガイドは笑っている私に少し引いていた。

私は中継を始めた、見つかると簡単に拳銃の球が飛んでくる場所だから少しかがんで周りから見えない様に中継を始めた。

「こんにちは、死に活です。私は、とうとう某国へやって来ました。」

緊張して呂律が回らない。話しているだけで気絶しそうだ。それでも私は中継を続行した。

「ここは、空気が重く、冷たい、今何が起きても警察が来ない場所にいます。正直帰りたいです。少しだけ周りを映しますね。」

俺は周りの景色を映した。崩れている建物、覇気の無い人々、何よりも元気のない子供達。

私は、続けて話した。

「皆さんが、生活している環境がどれだけ恵まれているか、わかりますね。これだけ映像が残せれば十分かと思いますが、もう少し滞在しようかと思いま(バンッバンッ銃声)」

私は中継最中だがとっさにポケットへ携帯をしまって黙り込んだ。

ガイドも車のスピードを上げながら私に話しかける。

「かがめっ」

誰がどこで銃を撃っているかわからない。汗が止まらない、息苦しい、鳴りやんだと思えば再びなる銃声。私は思った。誰かが撃たれているか狙われている。そうに違いない。娯楽で拳銃を撃つ場所ではない事を十分承知している。

ガイドは、車を加速させて銃声のならない場所まで走り続けた。

ガイドは私に話しかける。

「取り合えず大丈夫みたいだ。どうだここがこれが日常だ。帰りたいか?」

震える私は声が出なく、ガイドの質問に返答出来なかった。とんでもない場所に来てしまった。初めての拳銃の音は今でも私の脳内に焼き付いている。

震えが収まるまでかがんでいた。

少し気落ち着くと私は息を大きく吸って吐く、少し落ち着いたがまだ少し泣きそうだ。頭が回る余裕が出来たころに中継中だった事に気が付く。

 私は、まだ震える手で携帯を取り出しこう言った。

「限界なので中継はいったん切ります。また視聴お願いします。」

 何人観てくれたとか、どうでもいい。取り合えず今生きている事に安心している自分がいる。

 ガイドは言った。

「今日は、暗いから動かない方がいい」

 私とガイドは、車中泊する事にした。死に場所を探してここに来たのに、生きている事に安堵するとは思わなかった。やはり人間は生死の境目になると生きたいと思うのだろう。私はなんだかんだ生きたいのだろう。今日は色々在りすぎた、寝よう。疲れていたのか私は眠り安い環境とは言えない場所での車中泊だが深い眠りについた。































第三章出会い 

 朝起きると、ガイドが車を走らせていた。ガイドがの知り合いに会いに行くらしい。私は、軽く朝食を済ませて黙り込んでいた。

 非日常的な事を、まだ受け止め切れていないのか、倦怠感で一杯だ。中継をすることもなく、ただ車に揺られて外を眺めていた。

 ガイドは話す

「着いたぞ」

 日本では目にすることはないだろうと思う、ボロボロのコンクリートで出来た建物だ。

 私は話す

「ここは何処ですか?」

 ガイドは答える

「知り合いのアジトだ、降りるぞ」

 そういえば某国に入り車から降りるのは初めてだな。ずっと車の中で体が痛い。ゆっくり車から降りる。

「歩きにくい」

 おもむろに、私は呟いた

 整備されてない道路というより、整備されていたが破壊されてそれをほったらかしにした様な道路だ。小石とかよりも砕けたコンクリートの破片が散らばってる。

 建物の中に入ると何人か、人がいた。

 ガイドは、その中の人と何か話している。私は周りを棒立ちで見ていた。作りなおさないのかな?と思うような建物、すぐに崩壊しそうだ。多分作り直す時間も金もないんだろう。悟った様に周りを見ているとガイドが声を掛けてきた。人を紹介してくれるそうだ。

 ガイドは話す

「こいつはアリー、ここ周辺のボスだ」

 アリーは話す

「よく来たなこんなところに何の用だ」

 私は、アリーが話した内容をガイドに教えてもらうと、ポケットから携帯を取り出し再生した。

「こんにちは、私は死に活、今現在起きている事象を世界に観てもらうために、ここを取材に来ました。あなたにお会いできて光栄です。」

 どこかしらで自己紹介は必要になると思い、通訳無しでも最低限の会話が出来るように翻訳再生機能をストックしていたアプリで再生した。

 アリーは話す

「この少年はなぜこんな危険を冒してまでここに来るんだ?」

 ガイドは話す

「この少年は余命があるらしい、残りある命で何か出来ないか探してここに辿り着いたんだ。遊びで来ている訳じゃないみたいだ。」

 アリーは話す

「そんな行動出来る奴は、そんないねぇ。頭が多少いかれてるじゃないか。まぁ出来る事は協力しよう」

 ガイドから通訳してもらうと、私は気が抜けたのか涙目になった。昨日の銃声を聴いてからここは私を殺す人しかいないと思っていた。普通の優しさが妙に暖かく感じた。   

私は涙を堪える声でガイドに通訳を頼む

「この国は今どういう状況ですか?」

 アリーは話す

「この国は、大きく3つの勢力で分かれている。今お前がいるのはその1つの勢力のエリアだ」

 昨日拳銃の音がした所は、恐らくエリアの境目だったんだろうと私は思った。しかし、聞く言葉を選んだ私は、深くは質問するのを止めた。改めて私は翻訳機能で再生する。

「私は今、中継することで多くの人に今この国の事を知らせています。届かないかもしれませんが、私に出来る精一杯のやれることです。撮影許可を頂けませんか?」

 アリーは話す

「構わない、ここ周辺であれば、俺の名前を使うといい。余り遠くへ行かなければ、大丈夫だ」

 ガイドに通訳を聞いて私は、私は一息ついた。よくやったと私は自分を誉めたてた。私とガイドは、部屋を貸して貰えるようになった。しかし、招待された部屋は、部屋と呼ぶよりも、スペースと言った方がいいだろう。水が出る蛇口もなく、トイレもなく、風呂もなく、日本のホテルだと真っ先に探すコンセントもない。私はこれでも歓迎されている方だと思った。

 軽く昼食を終えると私は、バッテリーの交換をして中継を始めた。

「こんにちは、死に活です。前回は、拳銃の音に怯えてしまい中継途中で切ってしまいすみませんでした。

 某国は、3つの勢力で分かれているみたいで、今私はその勢力の1つのエリアに来ています。」

 私は、沢山話した、今この国の状況、今私がいるここまでの経緯。少し歩いて街並みも映した。

 「どうも視聴ありがとうございました。また中継をしますのでよろしくお願いします」

 中継を終えた後、私は予備の携帯をバックに取り付けてカメラで撮影することにした。前回みたいに中断してしまった時、バックのカメラが撮ってくれれば、動画としてアップ出来るから今をより濃く伝える事が出来ると考えたからだ。

 ここに来て2日目なのに、疲労感が限界に近い、安全なんてないんだ。銃声の音が染みついた体は、気を抜くことをしなかった。

 私は、自分の部屋に戻り道具の整理をしていた。残量がなくなったバッテリーは捨てる事にした。少しでも体を軽くするためだ。後は食料の残量の確認を終えると少し横になって考え事をしていた。

 ガイドに言えば、すぐにでも帰してもらえるだろう。ガイドも長くいたくないことを考えると、私が言えばガイドはすぐ動いてくれる。帰りたいと心で思い始めていた。

でもそれでは、何の為にここまで来たか意味がなくなるなど、一人で葛藤していた。

そんな事考えてる間に夜になった。ここは夜になると本当に暗いな。外灯がないのと街の明かりが、極端に少ない。まぁ明かりがあると便利だけど自分の場所を知らせているもんだ。リスクを考えると明かりを付けないのが普通だろう。

私も携帯などいじると明かりが目立つので、使わない様にして、部屋のライトも付けない様にして寝ることにした。



















第四章子供

 朝早くに起きた、ここに来てから睡眠不足な感じもするが目が覚めてしまう。

私は朝食を取りアジトに行くことにした。部屋の提供と撮影許可のお礼がしたかったからだ。

 アジトにアリーがいなかったから待つことにした、一緒にガイドがいなかったら私は殺されてるだろうなって思うと、少し笑えた。環境に適用してきている自分がいた。

 私のところに子供が見に来た、珍しい来客に興味本位なんだろう。

 私はガイドに話した

「子供達を紹介してくれませんか?渡したい物があるんですけど?」

 ガイドは、子供達を連れてきてくれた。私は翻訳アプリで自己紹介をした後、バックから箱を取り出した。子供と出会ったら渡そうと思っていた物だ。

 子供が聞いてくる

「これはなんですか?」

 私はガイドに通訳させる

「これはチョークだよ、俺の国で絵を書いたり、文字を書いたりする時に使う物なんだ」

 私は箱の中からチョークを一本取り出すと壁に文字を書いた

 子供達はそれを見ると興奮した様子でチョークで壁に何かを書き始めた。日本の子供だったら絶対そんなリアクションくれないぞ。私はそう思いながらもチョークで喜んでくれる子供達を見て持ってきてよかったと思った。

 そうだ、中継をしよう。私はバックから携帯を取り出し中継を始めた。

「皆さんこんにちは、死に活です、今日は某国の未来を創る子供達と交流しています。私が、日本より持参したチョークで子供達と触れ合いたいと思います。」

 私はカメラを子供たちが映る位置に固定して子供との交流を中継した。もちろん会話が出来ないので、フェーリングとジェスチャー頼りだ。

 私が絵を書くと子供達も真似して書いてくる、私は壁にひまわりの絵を書いた子供達も私の真似をしてひまわりの絵を書いた。気が付くころには壁一面ひまわりで埋め尽くされていた。

 私は、固定していたカメラに話かける

「楽しい時間を過ごす事が出来ました、しかし現状子供達の教育環境は整っておらず、これからがとても不安です。観ている人が何か感じて行動に移せとは言いません。何かいいアイディアがあればメール下さい。これからも応援よろしくお願いします。」

 未来を創る為に、今の子供を犠牲にしては、仮に未来が出来上がった時に、誰がその次の未来を創るんだと、私は強く思った。しかし、現状紛争が終わらない限り教育とか言ってる暇なんてない、それも私は現地で3日いるので必死な所を考えるとそう思うだろう。

紛争が終われば、教育環境に力を入れる事が出来るのだろうか、街の再建とか資金面を考えると、長い道のりになりそうだ。

 そんな難しい事私一人で解決出来るわけでもなく、思う事しか出来ない自分の力不足に悲しみを感じた。

 子供達が話す

「ありがとう」

 多分そう言っているんだろう。私は子供の笑顔を見てかってに解釈した。

 私は手を挙げて話す

「こちらこそありがとう」

また子供達と遊んであげよう、そう思いながらアジトへ戻るとアリーがいた。

 複数人怪我人がいる、察するに何処かで違う組織と争いがあったんだろう。

 ガイドが私の方に向かって歩いて険し気に話しかけた

「過激派の組織がここに向かって進行している、場所を離れた方がいい」

 私は、急な決断を言い寄られて戸惑った。手に汗が止まらなくなり、どうしていいか分からない。私は離れれば助かる、だが今日遊んだ子供達はどうなるんだ。アジトで手当てを受けている怪我人を見て深刻な状況なのはわかる。倫理感的にどうなんだ、火中に子供を置いて逃げろって言われてるんだぞ。逃げれる訳ないだろ。でも私一人残ってどうする。的が増えるだけでなんの意味もない。さっき自分の無力さに悲しんだばかりなのに、現実は非情だ。また無力と私を叩きのめす。まずは確認だ私は震える声で聞いた。

「子供達はどうするんですか?」

 アリーは話す

「どうしようもできない、だから守る為に戦ってるんだ」

 ガイドが通訳して答えた内容は、残酷だった。どうしようもできないか。

立ちすくんで行動の決断すら出来ない私にガイドが痺れを切らして、私の左頬を殴った。簡単に吹っ飛び動揺している状態の私にガイドは話しかけた。

「理解してここに来たんだろ、この状況はお前が頑張ってもどうにもならない、ここにいても迷惑だ行くぞ」

 理解している。ここにいても迷惑になるだけ、離れなければならない。残酷な決断をガイドにさせた時点で迷惑をかけている。私は泣きながら車へ荷物を運んだ。

移動は夜になるから明日の早朝に出発するらしい。

 ガイドに私は話す

「ごめんなさい」

ガイドは話す

 「お前はお前の出来る事しか出来ないんだから、忘れろ」

そう言われても忘れる事は出来ない。ふと目に入った壁に描いたひまわりが無情にも私の心をえぐる。































第五章撤退

 眠れなかった、かといって何もしなかった。ただ横になっていた。コンディションは最悪に等しい。

 ガイドは話す

「行くぞ、車に乗れ」

 私は、無言で頷いた。そして車に乗った。

 車内では無言だ、そんな落ち込んでる俺にガイドは話しかける

「お前はよくやったよ」

 私は無言で外の景色を見ていた。情けないだけじゃないか。何もしていないじゃないか。4日居ただけで褒められるなら、毎日紛争地帯で頑張っている奴らはどう賞賛されるんだ。自分に対する怒りと、紛争地帯の実態に対しての悲しみ、いろんな感情が混ざり合った涙を流していた。

 車は某国を出て、最初ガイドと出会った場所へ行きついた。

 私は、涙を流しながら言った

「ありがとう、何も出来ない俺を守ってくれてここまで送り届けてくれて」

 深いお辞儀をした、長く深く涙を流しながら

 ガイドは俺の背中を叩いて言った

「また会おう」

 私も言った

「また会おう」

私は最後の中継をした、くしゃくしゃな顔に鼻水垂らして話しかけた

「皆さんこんにちは、死に活です。紛争地域での活動が出来ない状態になり今ここにいます。」

 ヤバイ声が出ない、いい大人が泣きじゃくってみっともない中継だ、それでも伝えるために私は、涙声で話を続ける

「本当は、ここにいる予定じゃありませんでした。本当はもっと長く滞在する予定でした。しかし、紛争地帯での厳しさ自分の無力さを痛感し今ここにいます。情けない自分を最後まで観てくれてありがとうございます。今後、中継出来なかった時、バックに取り付けてあったカメラで撮影した物を、日本に帰国後、投稿したいと思いますのでよろしくお願いします。」

 中継を最後まで観ていたガイドが拍手してくれた。泣きじゃくった私の涙が落ち着くまで一緒にいてくれた。

 本当にいいガイドと巡り会えた。

 ガイドと連絡先を交換して私は空港へ向かう。子供達がどうなったのか心配でしょうがない。今更引き返せないし、行った所でどうしようもない。やりきれない気持ちで私は、日本へ帰国した。

































第六章転機

 帰国後、沖縄に行っていない事がばれた私は両親に泣かれ酷く怒られた。そりゃそうだ、死んだ目をしてボロボロの娘が帰って来たら沖縄に行ってない位すぐわかる。

 母親は話す

「どこに行ってきたの?」

私は無言で頷くだけだった。

 母親が、追及して質問する時、父親が止めてくれてこう話す

「取り合えず休みなさい。元気になったら報告しなさい。」

私は言った

「ありがとう」

そう言って、自分の部屋に入り布団に横たわった。今は休もう、何やっても気力がない時だってある。

風呂に入って自分が今満たされている環境にいる事を痛感する。水が出るって嬉しい。日本ありがとう。日本に帰って来てよかった。日本に帰って来て正解だ。私は自分の記憶を上書きするように自問自答していた。

しかし、紛争地帯の事は忘れる事が出来ない。無力で何も出来なかった私は自分をしょうがないと思って諦める事も出来ず許せなかった。

湯船の水を叩いて、やり場のない怒りをぶつける。何回も何回も水を叩いても何の憂さ晴らしにもならない。寝よう、そう思った私は、風呂を出た後、何も食べずに寝た。

 翌朝目が覚めると、昼を過ぎていた。相当疲れていたんだろう。安心して寝れる環境ってありがたいんだな。帰国してから、物の見方が変わった気がする。自分が胃癌だって事も忘れていたレベルだ、そんだけあそこは大変で不便で危険だったんだ。

 少し気晴らしに外を歩いてみよう、着替えて外を歩いてみる。

「歩きやすい」

思わず独り言を言ってしまった。コンクリートの破片の散らばってなければ、小石一つない。こんな整備された道路は素晴らしいな。昔の自分じゃ考えられない当然の事にありがたみを再度感じる。整備された道路、適度の距離毎にあるコンビニ、子供が遊べる公園。全てが新鮮に見えた。この事を中継しようと思い携帯を取り出す。そして初めて日本で話す。

「皆さんこんには、死に活です。今日本に帰国しました。」

 俺が帰国してから感じていた、当たり前がどれだけありがたく感じたか話した。そして最後にこう話した。

「私は、無傷で帰国することが出来ました。ガイドのお陰です。今後、動画上げますのでよろしくお願いします。」

 そういえば、ガイドが私に、俺の出来る事しか出来ないって言ってたな。帰って動画の編集しよう。私は少し急ぎ足で家に帰った。

 帰国して一週間がたった。

 私は、動画の編集作業をして投稿する日々を送っていた。その動画の編集中、携帯が鳴った。

ガイドだ。どうしたんだ?意味わからず、私は携帯を取って電話に出る。

 ガイドが話す

「お前やってくれたな、紛争地帯は停戦状態になったぞ」

 私は、意味が分からなくて困った様に答える

「何もやってないですよ。偶然じゃないですか」

 ガイドはため息をつきながら言う

「お前の中継に感化されて、紛争地帯を問題視した奴らが各国でデモをやったんだ。各組織の武器の資金源提供していた国がデモの影響で一時的に資金を提供を出来なくなっている。つまり、各組織は無暗に武器が使えない状態になり停戦になったんだ。」

 私は、規模が大きな話過ぎて理解できなかった。そういえば、視聴者の数とか再生数とか見てなかったな。

 私は話す

「ちょっと待って下さい。確認します」

 私の投稿したり、中継した動画の再生数を確認して、私は衝撃を受ける。

「嘘だろ」

 ガイドは話す

「本当だ。お前の動画2億回再生されているぞ。世界的に有名な人達がお前の動画を絶賛したらしい。その影響で、お前の動画は世界的に有名になったんだ。デモの動画も観てみろよお前の名前、死に活って言葉が各国のデモ隊の旗に載ってるぞ」

 私は戸惑いが隠せなかった。こんなに情けない中継をした私を世界の人達が観ていてくれたなんて。

「アリー達は無事ですか?」

私が一番気にしていた事だ

 ガイドが話す

「大丈夫だ生きているぞ、停戦させたのがこの前来た少年って答えたら、ビビってたぞ」

 私は歓喜で一杯だった

「本当に嬉しい、ガイド本当にありがとう」

 ガイドは話す

「お前の力だ、出来る事出来たじゃねーか、よくやったな」

 私は話す

「また連絡するから待ってて下さい、本当にありがとう」

ガイドが話す

「待ってるぜ、後、敬語なんて堅苦しいからやめろ。もう俺達は仲間じゃないか。あと電話のせいなのか、お前女みたいな声しているな。」

 私はとっさに思い出す。しまった声のトーン変えるの忘れてた。でも仲間って認めてくれたガイドには正直に話そう。

「私は女ですよ。ごめん紛争地帯に女が行くって言ったら止められるから嘘ついてた。」

 ガイドは大爆笑しながら話す

「マジか、でも正解だ。俺もお前が女って分かってたら連れて行かなかった。度胸あるな。」

 私は話す

「男も女も度胸は人それぞれだよ。」

 ガイドは話す

「まぁお前が女って聞いて驚いたが、お前はきっと俺から今後も女の扱いは受けたくないんだろ。だから、接し方も変えなから安心しろ。」

 私は話す

「その通りだよ。死に活も男で通そうと思っているから。他言だけは避けてくれ。色々報告ありがとな。また連絡するよ。」

 ガイドは話す

「おう待ってるぜ」

私は電話を切った後、興奮が収まらなかった、私にも出来る事あった、あの旅は無駄じゃなかった。本当に良かった。ベッドの上であまりにテンションが上がり飛び跳ねている私がいた。











第七章次なる活動

 冷静になって考える、これからどうするか、私の活動で停戦状態になったって事は、熱が在る内に、次の行動に移さないと、今ある熱が鎮火された時、また紛争が始まってしまう。

 私の出来る事、考えても出てこない。嬉しい知らせだったが、自分の手札に何もないことに気が付く。だが時間は待ってくれない。こうしている間に、紛争が再開されてしまう可能性があるんだ。

「考えろ、考えろ私」

 自分に言い聞かせて、脳内を焼け付く限り考えた。無情にも何も出てこない。

「くそっ」

 私は、机を叩きながら呟く。もう少しなんだ、デモが起きて、停戦になったって事は、あと一押しで紛争が終わるかもしれないんだ。流れは私に有るはずだ。

 私は、パソコンのメールを確認し始めた。多くは私に対しての励ましや、応援のメールだ。沢山来ていたから放置していたが、もしかして、私と同じ考えを持っていて、次にする事を分かっている人がいるかもしれない。

 大量にあるメールの中を、一通一通確認していた。その作業は夜遅くなっても続けていた。応援は嬉しいけどこれじゃない。単純作業の繰り返しに疲れが出てきたが踏ん張って探した。朝方になり、眠気の限界値の時にある1通のメールを見つける。

【初めまして死に活さん、私は、あなたの大ファンになりメールを送りました。1つ思ったのですが、死に活さんは、今後どのような活動をされるのですか?

 私が思うに、死に活さんは紛争の中継という、でたらめで無謀でとんでもなく頭がおかしい人ですが、一生懸命なあなたを応援してくれている人が沢山いて、今世界的に知名度の高い人になっていると思います。

 事実、あなたは行動は紛争を一時的に停戦状態にする大きな事を成し遂げたと思います。

しかし、今後、同じ様に中継を繰り返しても皆飽きてしまうのではないでしょうか?

あなたは誰もしなかった新しい事をして勢いがあり知名度もありますが。今後、同じ中継を繰り返しく毎に、内容に新鮮さ、つまり新しさがなくなってきてしまいます。結果今観てくれている人が飽きてしまい、他の事に目を向けてしまいそうで心配です。

 今後死に活さんが、するべき事は、視聴者に対して新しいアプローチではないでしょうか?】

 鋭い所を突いた内容だ、私も同じ事を、思っていた。今私が注目されているのは、誰もやった事のない事をやっただけで、今後同じ事をやっても、今のような社会現象は起こせないだろう。真剣に考えている人はいたとしても、大半は興味本位だ。同じ番組を何回も放送しても。視聴率が減らない番組なんてないからな。かといって新しいアプローチも思いつかない私は、ここまでの人だった。それが私の限界さ。

 私は、メールを返す事にした、ここまで考えてくれた人なら何か策を持っているかもしれない。

【メールありがとうございます死に活です。あなたのメールの内容がとても響きました。確かに私は、今後どう行動しようか悩んでいました。あなたの、言う様に新しいアプローチが出来れば俺も悩んでいません。もし、あなたになにか考えがあるというのなら参考程度に教えていただけませんか】

 取り合えず返信を、終えた後、私は寝ることにした。もう朝だからな。

 起きたら夜だった。寝起きの頭が回らない状態で私は食事もとらずにパソコンへ向かった。返信が気になったからだ。パソコンを起動させると、目が覚めた返信が来ている。私は、すぐメールを開いた。

【こんにちは死に活さん、返信ありがとうございます。

 早速私の考えを打たせてもらいますと、死に活さんは、クラウドファンディングと言うのをご存知ですか?簡単に言いますと。ある目的があり、その目的を達成するために必要なお金を、不特定多数の人から援助してもらう事です。

 死に活さんは、今知名度が有り、その知名度を上手く使えば、クラウドファンディングで多額のお金を得る事が出来るでしょう。

 ただ、あなたは、これから何を目的にするのかは、私にはわかりません。寄付をするだけなら寄付をしたいと呼びかければいいですし、それ以外で考えがあれば、それを目的としてお金を集めて使えばいいと思います。

 私は、死に活さんではないのでここまでのアドバイスしか出来ません。

私は死に活さんは、紛争地帯を停戦させる事が出来た行動力のある人です。きっと寄付よりもっと大きな目的を探し出して、紛争地帯に明るい未来を作り出してくれる人だと思っています。これからも応援していますので、頑張って下さい。】

 メールを読み終えた後、私は脳内整理を始めた。

クラウドファンディングか、知らなかった。取り合えず返信しよう

【こんばんは死に活です。メールの返信ありがとうございます。正直、クラウドファンディングの存在は知りませんでした。あなたがくれたその知識を活かして、今度の活動にして行きたいと思います。これからの私の活動を楽しみにして下さい。必ず結果をだして見せます】

 私は、返信した後に、クラウドファンディングの事を調べてみた。クラウドファンディングと纏めて言われてるけど色々形があるのか。

・寄付型クラウドファンディング

・購入型クラウドファンディング

・融資型クラウドファンディング

・ファンド投資型クラウドファンディング

・株式投資型クラウドファンディング

分類されている物を、大まかに分けるとこんな感じか。

私がやりたいことは見つかってないが、多分融資者に見返りの無い寄付型クラウドファンティングになるだろう。どうかんがえても紛争地帯で、利益が上がるはずがない。融資してもらう人には寄付をしてもらうしかないだろう。後は目的だ、こればっかりは自分で考えろって事だよな。期待されているからには、いい目的を考えなければ。

 そもそもお金を集めて渡しても、武器の補充とかに使わてしまっては、火に油を注ぐだけだ。紛争が悪化してしまう。何か出てきそうで出てこない、少し外を歩こうか。私は、家の近くを軽く歩くことにした。このところ家の中にずっといたからたまには気晴らしになるだろうと思って着替えた。

 やはり外はいいな、家の中も快適だが外の空気はやはり新鮮だ。家の周りを目的もなく歩いていると複数の高校生が話しかけて来た

「死に活さんですか?」

私は答えた

「そうだよ、俺が死に活だ」

 高校生は、はしゃいだ様子で話しかけてくる

「俺達、死に活さんの動画観ました。自分と歳が数個しか違わないのに、凄い事やってんなって思いました。マジで尊敬してます」

 私はこんなに有名になっていたのか、そう言えば実際観てくれている人と会うのは初めてだな。なかなか悪くない気分だ。少し彼らにも聞いてみよう

「君たちは俺の中継観てくれたって事は、俺の行った紛争地帯が3つの勢力で分かれていることも知ってる?」

 高校生達は頷く、続けて俺が話す

「じゃぁさどうしたら紛争はなくなると思う?」

 高校生達は、うつむきながら考える。しばらくすると、一人が口を開いた

「1つの勢力が全て制圧してしまえば終わるんじゃないですか?」

 不正解だ、確かに終わるが、被害者の事も考えろ。やはり、大部分の人は、真剣に考えてないんだろうな。誰もやってない事してる凄いなって位で観ていたんだろう。私は少しあきれた顔で答える。

「確かに君の言うことが正解かもしれない。紛争は収まるだろう。だけどな、君が制圧される側の人間だったら今の答えを言えるかな?」

少しへこむ高校生、多少言い過ぎたかな。残念すぎる答えに少しイラッとしていた自分に反省して私は謝罪する。

「ごめんね意地悪して、でもね俺は、本気で紛争を終わらせようと思っている。君の考えも答えの1つかもしれないけど、俺は、誰も死んでほしくないんだ。甘い考えなのは分かっている、でもこれからも俺は答えを探して頑張るから応援よろしくな」

 高校生は元気よく返事をしてくれた

「これからも応援してますんで頑張って下さい」

 私は、笑顔で答えた

「おうっ」

 高校生となぜか握手をしてその場を去った。

「あの人って死に活じゃね」

 商店街を歩いていると周りがざわざわし始めた。やばい結構有名になってる。私は、話しかけられると面倒なので、急ぎ足で、その場を去った。

 間違えた、メイクを無意識でしていたら死に活になるメイクをしていた。今度からきをつけよ。

 近所の公園に辿り着いた。ここなら子供しかいないし、さっきみたいに落ち着かない雰囲気にはならないだろう。

 私は、公園のベンチに座り少しぼーっとしていた。

遊具の上で子供がお菓子を取り合ってる、年も少し離れてそうだし兄弟かな。私は特にやることもないので子供達を観察していた。なるほど、お菓子が残り一枚しかないのか、これは困った案件だ。私だったらどうそのお菓子を手に入れるか考えていた。

まぁ私だったら、じゃんけんかな。平等だしそれが一番だろ。

様子を見ていると子供達は、じゃんけんを始めた。私と同じ考えだ18歳と同じ考えを持っていて将来有望だぞ。

「じゃんけんぽん」

子供達の本気の声はここまで届いた。見た感じ年下の子が負けちゃったのかな。まぁしょうがない、負けたんだから諦めなさい。私はそう思って眺めていた。

「ありがとう」

 はしゃぐ年下の子の声が聞こえた。どうやら年上の子が半分にお菓子を割って年下の子にあげていた。私はいい所あるじゃんと思い少し顔が緩んだ。

 いい物が見れたし帰るか。私は気分がいいうちに家に帰る事にした。

 家到着、気分のいい私は、気分良く食事を取り、気分良く風呂に入り、気分良く部屋に戻った。そして、気分よく寝た。

 次の日の朝、私は寝起きの癖になっている様にパソコンのメールをチェックする。

新着メールにテレビの生放送の特番にゲストとして参加しないか?という内容の物が届いた。

 番組内容は、最初俺が紛争に行くきっかけになった特別番組だ。

私はすぐに返信した。

 【出演依頼ありがとうございます。依頼受けてみようかと思います。細かい日時がきまり次第連絡下さい】

携帯番号を入力して送信した。

私には実はもう目的が出来ている。それを実行するのには中継だけだと物足りないなって思っていたところだ、こんな行幸見逃すわけがない。

 後一つ、やり残しをやらなければ。

 私は、朝食を食べている時に、両親に告げた。

「実は某国の紛争地帯に行ってきた」

 両親は、やっと言ってくれたかと言わんばかりの顔をした。私に母が話かけた

「知ってるよ、あんた死に活なんでしょ。メイクしていたってお母さんにはわかるよ」

 父も話かけてきた

「お前が、無事で帰って来てくれて本当によかった。動画はお母さんもお父さんも怖くて観れなかったけど。お前が、今無事にここにいてくれて安心しているよ」

 私は真剣な声で話す

「ごめん、お父さん、お母さん、私もう少しやらなきゃいけない事があるんだ。危険かもしれないけど、私の使命なんだ。許してくれませんか?」

 両親は悲しい顔をする。その後、終始無言で朝食を食べ終える時、父が話しかけた

「お父さんの使命は、家庭を守る事だ。お前が危険な事をするのは、お父さんの使命に反する。お前は、それよりも大事な使命なのか」

 私は即答した

「大事かは、わからない。だけど私にしか出来ない事があったんだ。お願いします許して下さい。」

 私は頭を下げてお辞儀をした。そんな私を見て父は話だす

「無事にやり遂げなさい、怪我をするんじゃない、やるからには頑張りなさい、次、話をする時は明るい話題を持って来なさい」

 まったくいい両親だ私は人に恵まれている。そう思いながら答えた

「うん、頑張ってくるよ」

 私の肩を軽く叩くと父は仕事へ行った。母も父が納得したことで仕方なく納得してくれたみたいだ。

 私は話す

「今度テレビに出るんだ観てね」

 母は呆れた様に私に話す

「観るから病院も行きなさいよ。自分の体も大切にしてね」

 私は言った

「わかった、大事にするよ」

 これで私の心のつっかえが取れた、後は頑張るだけだ。





























第八章 下準備

  数日後の、昼間携帯が鳴った。テレビ局からだ。私はすぐに携帯を取った。

「もしもし、私テレビ局のプロデューサーの田中です。死に活さんの携帯番号でお間違えないでしょうか」

 私は話す

「そうですよ、私が死に活です。」

 田中は、確認が取れると番組内容の説明を始めた

「死に活さんには、番組の半ばからゲストとして出演してもらおうかと考えております。番組内容はご理解していますかね?」

 私は話す

「大丈夫ですよ、理解しています」

 当たり前って思った、この番組を視聴していなかったら、私は紛争地帯に行ってないからな。

 田中は答える

「死に活さんは、某国の紛争を停戦させた男として、出演させて頂きたいののですが、よろしいですか?」

 私は答える

「いいですけど、確認させて下さい。質問ですが、今日本の方々は本当に私が停戦させた男って思ってるんですかね?

少し有名になった実感はありますけど、停戦までさせたのは、デモをしてくださった方々で、私は中継しかしていません。紛争を停戦させた男って言葉は果たして適切でしょうか?」

 田中は話す

「当たり前じゃないですか、確かに死に活さんは中継をしていただけです。しかし、その中継がなければ、デモも起きませんでした。死に活さんは、停戦させるきっかけを作り出した前任者です。胸を張って下さい。」

 よし、下ごしらえは、完了だ。ここからは交渉だ。間違えるなよ私。俺は声を張って話した

「わかりました。私の伝え方は、そちらに任せます。番組では、私が紛争地帯に実際いった話を語ればいいのですか?」

 田中は話す

「多分そうなりますね。でも、そんな心配しなくて大丈夫ですよ。司会者が上手く質問していくと思いますので、それに答えてくれればいいと思いますよ。

 逆に死に活さんから改めて視聴者の方に伝えたい事ってあるんでしょうか?」

 掛かった。私はここぞとばかり要件だけ言いたかったが、一呼吸して冷静に、慎重に話し出した。

「そうですか、司会者の方が、上手く話を振って下さるととてもありがたいですね。前回の特別番組でも、司会者の話の振り方が上手いと思っていましたよ。同じ人ですかね?」

 田中は話す

「そうですね、同じ司会者が担当する事になっていますよ。」

 俺は話す

「なら心配はありません。出演依頼ありがとうございます。

 ただ、条件があります。

・一つ番組を死に活の中継動画でも流していいでしょうか?

・二つ伝えたい事が、あるので5分ほど時間を頂けないでしょうか?」

 田中は、少し間が開いてから苦しまぎれに答える

「二つ目の条件は、構いません。お時間を作りましょう。ただ、一つ目の返事は私の決定できる案件ではないので確認が必要です。今すぐ確認を取りますので少々お待ちください」

 でしょうね、テレビ観ないで俺の中継を観ていたら、視聴率が下がるかもしれないんだ。問題視するのは、一つ目の条件だろう。しかし、私が本当に許可してほしかったのは、二つ目の条件だ、一つ目の条件は、二つ目の条件の目くらましだ。正直どっちだっていい。

 電話の保留音が、15分過ぎた位で、流石に一回電話切ろうかなって思った時に、田中は話始めた。

「お時間取らせてすみません。死に活さん繋がっていますか?」

私は話す

「繋がってますよ、大丈夫ですか?大分お時間たってましたので心配しましたよ。」

 田中は苦し紛れに話す

「中継は条件付きで許可が下りました。死に活さんあなたがテレビに出ている間だけという条件です。」

 嬉しい副産物だ、そうか最初からテレビを観ている人が、途中から俺の中継に切り替える面倒な事なんて普通しないからな。これはこれで旨い案件だ。日本で観ている人は、テレビで観ればいいが、世界で観てくれている人は、俺の中継で観てくれる。winwinな関係を築けたな。私は嬉しそうに話す

「ありがとうございます、私が登場している間だけで十分です。では出演日楽しみにしていますね」

 田中も話す

「はい、では一週間後の土曜日テレビ局でお待ちしております」

俺も返す

「はいでは失礼します」

電話を切って、一息つく。喉乾いたな、冷蔵庫からお気に入りの紅茶のペットボトルを取り出し。喉を潤す。

 思った以上に上手くいったな、何より一つ目の条件の内容を確認されなかったのが上手い。田中さんには少し悪い事してしまったな。まぁ聞かれても適当な事言って、生放送で別の事話せばいいだけで、結果変わらないけどね。

 部屋に戻って中継を始める

「こんにちは死に活です。私死に活は来週の土曜日、テレビ出演することになりました。重大な発表もありますので是非観て下さい。私が参加している間だけは、中継を同時進行で実施しますので、世界中の人々にも観て頂きたいと思います。番組は、日本時間の夜19時からです。生放送という事もあり私死に活の発言に注目して下さい。では土曜日にまたお会いしましょう」

 よし、番組宣伝もしたし、後は、本番で頑張るだけだ。私は飲み終えたペットボトルを捨てて。話す内容の確認を始めた。


















第八章戦線布告

 とうとう土曜日がやってきた、日本ではニュースに成程話題になっている。世界では誰かが私の中継を翻訳した動画が、各国で流れていて、世界的にも注目を集めているようだ。

 そうだろう、現時点俺は、紛争を停めた人として一躍時の人だからな。大きなプレッシャーではあるが、期待に応えてあげよう。待ってろよ皆、死に活の次を見てくれ。そう思い私は自分の士気を高める。

 テレビ局に到着し、控え室で深呼吸をする。やっぱ人前に出るのって独特の緊張感があるな。今まで中継していた時も、一人だったし。沢山の人の前って苦手なんだよな。あれだけ、多くの人に中継を観てもらっていながら番組見学者含めて数十人前に緊張で震える私に少し笑えて来た。そういえば私あがり症なんだよな、上手く話せるかな。手に人って書いてても効かないから、控え室に置いてあったマジックで私は手にひまわりを書いた。それを見つめて思う。あいつらの為に、頑張らないと。

 番組は始まり、私は控え室で観ていた。凄いな実際行ってないのに、まるで見て来たかのような口調で、淡々と話す司会者、司会者の振りに対してどっちつかずの発言でその場を濁らせたひな壇の人、今の言葉絶対理解してないだろって思う。普通に番組を観ていたら、いつの間にかリラックスしていた。

 スタッフが扉をノックする

「どうぞ」

私が答えると、スタッフが入ってきて俺に話かけた

「死に活さん出番が近くなりましたので、スタンバイよろしくお願いします」

あっそうだ私はこの番組出るんだ、少しリラックスしすぎて頭が完全に停止していた。大きく伸びをして私は話す

「了解です。いつでも行けます」

スタッフに案内されると俺は垂れ幕の後ろに座らされた。座った時小声でスタッフが話す

「垂れ幕が開いたら登場です、もう少し時間はありますが、すみませんが待機していて下さい。時間が近くなったらもう一度声を掛けますので、リラックスしていて下さい。

私も小声で話す

「わかりましたありがとうございます」

 スタッフが離れると、私は手に描いたひまわりを見ていた。もう逃げ場はないな、私に撤退という考えはなくなった。前に進むだけだ。

 司会者が話す

「では今もっとも話題の人、紛争地帯を停戦状態にした男、死に活さんに来て頂きました。どうぞ」

 垂れ幕が開く。拍手の中俺はお辞儀をしてから歩き出す。やはり緊張するな、ピリピリする、紛争地帯とはまた違った緊張感だ、声ちゃんと出るかな。ここで立ち止まって発声練習したいわ。でも歩くしかないよな。こんな、逃げ腰の俺が私の本質なんですよ。申し訳ない。そう思いながら歩く。でも、笑顔だけは、絶やさないと思い。笑顔を絶やさずに司会者の隣まで歩いた。

 司会者が話す

「さぁ、改めて紹介しましょう、死に活さんです」

会場は、改めて大きな拍手をくれた。俺は会場全体にペコペコお辞儀をする

 司会者が陽気に話す

「今や、あなたを知らない人がいない位有名になられましたね」

 私は話す

「いえいえとんでもない、でも拍手を頂いた時、少しは有名になったのかなって実感はありましたね」

 司会者は話す

「謙虚ですねぇ。まぁ、色々お話していきたいと思いますので、あちらの席にお座り下さい。」

 私は、ひな壇の最前列に案内された。私が座ったのを確認した司会者が話し出す

「死に活さんがいらっしゃった所でこんな物を用意させてもらいました。どうぞ」

 スタッフの方が、ボードを転がしてした。

ボードに文字が書いてあり、要点の部分にシールが貼り付けてある、人物紹介とかする時に、問題形式でシールを剥がして話を進めていくやつだ。

司会者は話す

「死に活さん今じゃ有名人じゃないですか、そんな死に活さんが有名人になるまでの歴史を皆さんで答えていきましょう」

 続けて司会者は話す

「まず死に活さんが、紛争地帯に行くことになったきっかけ。皆さん分かりますか?」

 ひな壇の出演者は多分わかっているだろう。しかし、わざとなのか分からないふりをして会場を盛り上げようとする。3人位目で正解者が出る。

 司会者が話しながらシールを剥がす。

「正解はこちら、胃癌になってしまい引きこもりがちになっていた時、たまたまテレビで放送していた紛争番組に強く興味を持ち、行こうと思った」

 司会者は私に話かける

「でたらめじゃないですか。普通大変な病気に掛かったら普通治す方に考えますよね。それがよく紛争地帯に行こうと思いましたね?」

 私は話す

「そうですね、普通病気になったら、治す方に考えますよね。でもあまり前向きに物を考える事が出来ない私は、正直、治す事を諦めていました。治ると思っていませんでした。

その時、紛争の特別番組をたまたま観て、どうせ死ぬのなら自分で出来る事はないかと思いまして。始めたのが現地に行って中継するって事ですね」

 司会者は話す

「その行動力は凄いですね。私だったら真似できませんよ」

 でしょうね。あなたは健康体ですからね。私は思ったが言わなかった。

 司会者は話す

「次いきましょう。紛争地帯での中継がどうなったか?」

 ひな壇の人たちは、同じ様に3人ぐらい答えると正解者がでる。番組って一発で当てちゃいけないんだな。完全に傍観者の目線で笑顔だけ装っていた。

 司会者は話す

「正解、2億回再生されて有名になる。実際本人はどうですか?やはり驚かれましたか?」

 司会者は私に聞く。俺は答える

「驚きました。紛争地帯にいる時は、閲覧回数を確認する余裕がなくて、帰国してから観てくれている人がこんなにいたんだって思いました。」

 司会者は私に聞く

「やはり紛争地帯は、余裕がなかったですか?」

 私は答える

「余裕がないというより気が抜けないですね。いつ何処で何が起こってもおかしくない場所でしたから、中継するだけで一杯で確認とか出来ませんでした。寝る事もゆっくり出来ませんでした。帰国してから安心して寝れる環境に対してのありがたみを痛感する事が出来ましたね。」

 司会者は話す

「安心して寝れるって環境がありがたいって言葉なかなか出てきませんよ。その歳でその言葉が出てくるって凄いですよ。

実は、私も死に活さんの動画拝見させてもらいましたが、確かに紛争地帯に着いたときと帰国する時の顔が違いますもんね。」

 ひな壇の人たちも私に対して凄いと称える

司会者は話す

「死に活さんは2億回動画が再生されてある事が起こりますなんでしょう?」

 同じ流れだ、3人目で正解者がでる。

 司会者は話す

「正解、紛争が停まるですね。細かく解説していきますと、世界中の死に活さんの動画を観た視聴者の方が、デモ活動を実施して結果、各組織の資金供給していた国が、資金供給出来なくなり、一時的に各組織が武器を闇雲に使えなくなり停戦状態になったですね。」

 司会者は、私に話す

「凄いですね、紛争を停戦状態にするって、こうなるって狙いとかありましたか?」

 私は話す

「いえ、正直停戦状態になるとは想像もしていませんでした。私の考えとしては、紛争地帯の現場を多くの人に知ってもらい、いつかなくなればいいなって思っていた位です。こんな早く停戦状態になったのも、私じゃなくて、デモをしてくれた方がいたからです。本当に感謝しています。」

 司会者は話す

「本当に謙虚な方ですね。俺がやったぜ。とか思わなかったんですか?」

 私は話す

「現地にいた私からすると、安心しかなかったですね。正直、逃げるように帰って来た私は、自分の無力さに嘆いていました。しかし、デモが起きて停戦状態になった時は、私にも出来る事があるんだって少し自信が付きました。でも、今停戦と言われていても現地で交流があった子供達の事を考えると心配でしょうがないですね。すみませんなんか情緒不安定で。」

 司会者は話す

「そんな風に真剣に考えている死に活さんだからこそ、中継を観ていた人は思う事があったのではないでしょうか。」

 会場の人達が俺に拍手をする。私は、ペコペコ頭を下げていた。

 司会者は話す

「これはまだ、死に活さんの動画でも発表されてない事ですね。今後の死に活さんの活動目的は何でしょう?」

 会場の人は首を傾げる、ひな壇の人たちもこれはマジでわからないようだ。何回か回答があり、ひな壇1人が話す

「募金活動とかですか?」

司会者が話す

「せいか・・」

私は話している途中で声を大きく上げた

「ざんねーーーーーん」

突然の私の声に会場は静まり返る

 司会者は戸惑いながらシールを剥がす。ボートに書かれている内容は正解だ募金活動と書いてある。なぜ死に活は残念って言ったんだ?

混乱した司会者はスタッフにアイコンタクトを送る。静まり返る会場、生放送という事もあり、もはや放送事故だ。司会者がこのままじゃヤバイと思ったのか私に対して真意を問う。

「死に活さん残念ってどういう事ですかね?」

 行くぞ私、手のひまわりを一目して拳を握りしめてから、立ち上がり息を大きく吸い話し出す。

「皆さんこんばんは、死に活です。私死に活は、今度、クラウドファンティングを始めたいと思います。目的は、紛争地帯の停戦ではありません。終戦です」

 ざわつく会場。私の訴えが理解出来てはいる、だけどそれが出来ないから紛争になっているのにこの人は何を思って言っているだ、何を考えて言っているんだ、混乱状態の会場に司会者が話し出す

「皆さん、静かにして下さい。死に活さんから話を聞きましょう。」

 ざわついた会場は静かになったのを確認して、司会者は私に聞く

「死に活さん、打ち合わせと大分違う内容をお答えのようですが、どのような考えですかね?」

 私は話す

「今話した通りです。紛争を終戦させます。それを目的としたクラウドファンティングを設立します」

 司会者は私に質問を続ける

「なぜ打ち合わせで言ってくれなかったのですか?」

 私は話す

「仮に私が打ち合わせの段階で言っていたとしましょう。あなた方は、本当に今の内容をテレビで流してくれますか?

話を通してくれる可能性はあるとしても、こんな雲を掴むような話聞き入れてくれないですよね。逆に聞きましょう?」

 私はたたみかける様に司会者に強く話す

「なぜあなた方はこんなに紛争がテーマの番組に出る機会が何度もあるのに、紛争を停めようともせず、傍観者しているんですか?

自分で出来る事を探さないんですか?

あるとしてもなぜ実施しないんですか?停めようと思わないんですか?」

 司会者は言葉を失う、しかし私は追撃を止めない質問を続ける

「紛争地帯と比べてここは安全地帯ですここで話をしたって、視聴者に伝わるわけないんじゃないですか?

この番組は何をしたいんですか?

何が目的ですか?

もし紛争地帯の厳しさや、悲しさを伝えるつもりなら、まず司会者であるあなたが一度、紛争地帯に足を踏み入れて、その環境を感じて、番組で伝えなければいけないんじゃないですか?

どんなあなたが語録があって人の注目を集める才能があっても、意味がない。この番組は何回も特別番組で紛争地帯を取り上げてますがデモは起きませんでしたよね?

それがあなたの今現在の活動ですよ。人の注目を集めて有名になっても何の実績もない、まさしく自己満足じゃないですか?

語録がないけど現地にいって取材した私の方が皆さん関心してくれていますよ。動いてくれましたよ。デモが起きましたよ。どうなんですか?」

まさに、公開処刑だ。司会者は返す言葉が見つからないみたいだ、唯一プライドがあるのか、私と目を離す事はしなかった。

司会者と私との睨み合いは、数分続いた、今の司会者にとって一秒が長いだろう、手の震え、顔色、アイコンタクト、全てが司会者から全てが伝わってくる。助けてくれと。 私は気が付いている、私が話せばこの場を収める事が出来るが、しなかった。以前言った通り俺はこの番組に強い苛立ちを感じていたからだ。助ける事なんてしてやるものか。

司会者は時間が経過すると共に顔色が悪くなり最終的には、貧血状態になってしまい、立つことも出来なくなってしまった。

司会者は、スタッフによって運ばれる

 前代未聞だ、司会者のいない生放送番組のスタートだ。会場の人は、静まり返ったまま、ひな壇の人たちも、私の標的にされたくないのか黙り込んだままだ。完全に番組は死に活によって制圧された。

 私はこれを待っていた。自分の思った事を話せる状態を、私は静まり返った会場で話し出す。

「皆さん、大変失礼しました。この番組は私死に活が引き継ごうと思います。これから私が考える目的の細かい所を説明していきたいと思います。

 私は立ち上がり、司会者が立っていた場所へと移動する

私はバックからあるものを取り出す、某国の形をした模型だ。それを持つと話し出す。

「まずは、現状のおさらいからしていきましょう。某国は紛争が発生しています。ここまでは、視聴者の方は理解されていると思います。

 ここから分かる方と、分からない方がいると思いますので。細かく説明していきます。

 まず、某国は3つの勢力で分かれています。」

 私は模型を頭の上にあげる

 「内容は単純です。3つの勢力はこの国が欲しいんです。自分の国にしたいんです。簡単に言いますと。国を3つの勢力が取り合っている状態ですね。それが、紛争状態です。

 武器とかのお金ってどうしてるの?って質問が来そうなので、お答えしますね。3つの勢力はそれぞれ他の国の支援を受けています。それは、政治的な面であったり宗教的な面であったりします。

 この前、偶然にも停戦状態になったのは、資金援助している国でデモが発生して資金援助出来なくなった為、闇雲に武器を使えなくなった3つの勢力が戦う事が出来なくなったからです。

 逆に言えば、各国が資金援助出来る状態になれば、また紛争は再開してしまいます。

 そこで私がお願いしたいのは、デモ参加者の方々本当に申し訳ないのですが。停戦状態を終戦状態にするために、停戦状態をもう少し持続したいです。後少しだけ私に時間を下さい。」

 私はカメラに向かってお辞儀をする。お辞儀が終わったらまた話し出す。

「私がこれから目的とするクラウドファンディングの説明に入りますね。

 まず、寄付型のクラウドファンディングを設立したいと思います。皆さんの出来る範囲で構いませんので、寄付をお願いします。資金はあればあるほどいいです。どれだけ寄付されているか、私が開設したサイトで観る事が出来ますので、もし興味があれば、死に活、スペース、クラウドファンディングと検索して下さい。寄付もそこから出来る様に準備してありますのでお願いします。

 そして、一番大事な目的ですが、噛み砕いて説明していきます。

まず、私は終戦させるといいました。どのように終戦させるかと言いますと。」

俺は某国の模型を3つに割った。そして笑顔でカメラに話す

「簡単な事です。3つの勢力で1つの国を取り合っているのなら、国を3つにしましょう。

 しかし、これをするには、必要な条件があります。停戦状態が続く事、つまり資金援助がされない状態になる事です。資金がなくなると食べ物に困りますよね?

そこで私の立ち上げたクラウドファンディングの意向に各勢力の代表者が全員同意してくれれば、寄付して頂いたお金を均等に分け与えます。その資金で復興活動してくれればいいと思っています。

そうなると3つの国が誕生しますね。

折角皆さんから寄付して頂いたお金が、武器に使われては意味がないので、私は条約を建てたいと思います

・条約一 重火器及び武器となる物の所持の禁止

・条約二 自衛隊の設立(条約1に対し特別、訓練の為、重火器の使用を許可する)

・条約三 子供達の義務教育環境の設立

・条約四 3つの国の1つが紛争を起こそうとした場合、残り2つの国が協力し鎮静すること。

以上の事を持ちまして、私死に活のクラウドファンティングを始めたいと思います。どうぞ寄付の方よろしくお願いします」

私はお辞儀をした

「パチパチパチパチ」

会場から拍手が俺に降り注ぐ

私は改めてお辞儀をした

番組の放送時間は、まだ十分ほどあったが、私がお辞儀をする映像が永遠と流れ放送は終わった

控室に戻ると、番組プロデューサーが、訪ねて来た

「死に活さん失礼します。」

部屋に入って来て私の前に座り話し出した

「正直あそこまで言われたら司会者はもう起用出来ないですよ。どうしてくれるんですか?」

私は答える

「すみません。少し頭に血が上ってしまって。」

プロデューサーは話す

「今後、あの内容の特別番組は放送出来ません。死に活さんが責任を感じているのなら。次回放送する時は、死に活さんの密着取材させて下さい」

 私は驚いた。てっきり賠償請求でもされるのかと思っていた、自分でも番組を壊した事位理解している。私は話した

「構いませんけど、なんでですか?正直私が、番組壊したんで賠償請求でもされるかと思いましたよ。」

プロデューサーは話す

「そうですね。普通だったらそうなります。ただ今回、瞬間最高視聴率80.5%だったので、攻めるに攻めれないんですよね。

司会者は、それ相応の出演料を渡して納得してもらいました。死に活さんの今後の活躍を期待していますよ。」

 私は話した

「ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。」

 連絡先を交換してプロデューサーはご機嫌に部屋から出て行った

 瞬間とはいえ、80%か、なんか実感わかないな。単純に5人いたら4人観ている計算かクラウドファンティングに繋がればいいけどな。

 「コンコンッ」ドアのノックされる

 私は話す

「どうぞ」

 私は、驚くと同時に、怯んだ司会者が来た

 司会者は俺の前に座ると、私から話し出す

「すみませんでした。少し頭に血が上ってしまい、失言ばかりしてしまい申し訳ありません」

 司会者は話す

「いや、君が言っていた事は全て正しいよ。ただ、君を恨んで来たんじゃんないんだ。君の映像は体調が回復した後から観させて貰ったよ。君に興味があったから来ただけだ。君だって紛争地帯に行ったのも最初は興味があって見たいって思ったからだろ?

僕もね、君という若者に興味があって来ただけさ。むしろ、僕が倒れてから番組を繋いでくれて感謝しているよ。

生放送で言っているって事は本気だと思うけど、一度会って話してみたくてさ。頑張ってね。」

 何かたくらみでもあるのか?普通番組潰されたら怒るだろ。しかし、よく考えると、私を敵に回すより和解しましたって事にした方が、今後の視聴者の受けがいいからだろう。大人の対応だ。私だったら恨むけどね。私は安心した顔で話す

「番組を潰してしまってすみませんでした。頑張ります。私がやろうとしている事は正しいか正直わかりません。でも、少しでも良くなるよう善処していきたいと思っています。」

 その後、司会者と談笑した

「誰でも考える事だと思うけど、3つに国を分けるってなんで思ったんだい」

 私は返事をする

「外で休んでるとき、子供がお菓子をはんぶんこしているのを見て、1つに統一するよりいっそ分けちゃえばいいんじゃないかなって安易な考えです」

 司会者は笑う

「大分小さな所から見つけたね、でも確かに奪い合うより、分け合う方がいいよね、大人になると欲が出ちゃうのかな、それが出来なくなっちゃうんだよね」

 私は話す

「そうですね、簡単な事なんですけど、出来なくなっちゃうですかね」

 司会者は笑顔で話す

「私も初心に戻って、出来る事をしてみようかと思ったよ。芸能界の人脈はある方だと思うから。君のクラウドファンディングに協力する様に呼び掛けてみるよ。もちろん私自身寄付させてもらうからね。」

 私は笑顔で返事をする

「ありがとうございます。やはり知名度の高い方が動いてくれると影響力が違いますからね。」

 司会者は話す

「言っても今知名度が一番高いのは君だけどね、考え方によるけど、君の行動が今後の君の成功を左右するから慎重に行動しなさい。」

 私は答える

「ありがとうございます」

 司会者は俺と握手をしてから立ち去った

 私も帰ろう、流石に疲れたな。家でゴロゴロしたい。お気に入りの紅茶飲みながら漫画でも読んでいたい。

私はテレビ局から出て帰る事にした。

 家到着、私はお気に入りの紅茶を買って帰ってゴロゴロする予定だったが、予想以上に疲れていたのか横になったと同時に寝てしまった。

 世間では、結構な騒動になっており各地メディアは俺の名前で一杯だ

 新聞のトップ 紛争を停めた男死に活、建国宣言

 ニュース番組でも取り上げられ

 インターネットの検索件数は堂々の1位

 私が気が付いたのは、起きた昼頃テレビをつけた時だ、少し気になりインターネットで【死に活】と検索してみる

 放送事故、死に活建国宣言、死に活が世界を変えようとする理由。

 私は注目を集める環境に慣れて来たのか、意外にも冷静に当然の結果だと思った。少し笑えたのは死に活世界を変えようとする理由だ。誰だよ、書いたやつ私は笑いながら自分の記事を見ていた。動画サイトも各国の字幕付きの生放送の動画が沢山並んでいた。

 私は少し安心した。英語もまともに話せない私だからこそ、字幕付きの動画を作って流してくれている奴はありがたい。私がやりたい事を実行するためには、日本だけじゃ、実施出来ないからな、世界中の人に伝わってくれる事を祈るだけだ。

 さてやれる事は終わったし、その時が来るまで何をやろうかな。そうだ、中継しよう私は携帯を取り出す

「皆さんこんにちは死に活です。いやぁ世間は大変な事になっていますね。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。」

 中継が終わると私は、ゴロゴロした。お気に入りの紅茶と好きな漫画を読んでゴロゴロゴロゴロ。こんな日があってもいいだろう。私はゆっくりだらだらした。





























第九章特定中

 朝母が私の部屋に駆け足でやって来た

「ちょっと起きて」

 母は私の毛布を剥ぎ取り強制的に俺を叩き起こした

「なに?」

 最悪の目覚めに少し期限が悪い私が言う

「外観てきなさいわかるから」

 母が焦った様に言うので、私はしぶしぶ外を観る

「なにこれ?」

 母が話す

「知らないわよ、朝お父さんが出勤する時にはもうこの状態になっていたんだから」

 外には、沢山の人だかりが出来ていた。私は、パソコンを開き検索した【死に活 住んでる場所】

私の家が載ってる。私は言葉を失った。

私は有名になる事がプラスにしかならないと思っていた。正直今外にいる人たちは迷惑でしかない

 母は話す

「取り合えず、あの人たちをどうにかしてきて。あんたが行けば満足して帰ると思うから。」

 私はすぐに着替えてメイクをして外にでた。

 外の人たちは、私が出ていくと歓喜を上げる

「噂は本当だったんだ」

「生放送観ました感激です」

「初めて本人観た」

「写真撮ってもいいですか?」

 雪崩のように私に質問してくる人たち。私は対応しきれず。いったんドアを閉めた。

 凄い迷惑だ、誰だ特定した奴。見つけたら一生後悔させてやる。やり場のない怒りがこみあげてきた。困るのは対応だ、無下に扱えば、私のクラウドファンティングに影響しかねない。ネットとはそういうもんだ。悪い事ほど、目立ってしまう。いったん考えよう。覚悟を決めて私は外にでる。

「写真いいですか?」

私は作り笑いで話す

「いいですよ」

「握手してもらってもいいですか?」

私は話す

「いいですよ」

そんな対応が数時間に及び続いた。ご飯も食べてない私はへとへとだ。努力の甲斐もありひと段落した。

「今外の人帰ったよ」

 母は話す

「取り合えずご飯食べなさい。後、あの人込み何とかしないと近所迷惑だから何とかしなさい」

 私は話す

「どうせ、あれで落ち着いたから大丈夫だよ」

 私は昼食になった朝食を食べながら考える。どうせ行動力がある野次馬が来ただけだ、今日の人たちさえ帰してしまえばもう来ないだろう。私はそう思った。なんにせよ迷惑だったな、無下に出来ないのがまた痛い所だな。

 朝食を食べ終えた私は、部屋に戻り携帯を取り出す。念の為中継しとくか。

「皆さんこんにちは死に活です。今日は皆さんに折り入ってお願いがあります。私死に活に会いに来てくれるのは光栄ですが、家に来てもらいますと近隣住民の方に迷惑になりますので、出来れば控える様にして下さい。お願いします。」

 これで大丈夫だろ、私は強制早起きのお陰で寝不足だ。昼寝することにした。

「起きなさいっ」

 母は強めの口調で私の布団を剥ぎ取る

「なに?」

 昼寝をしていた私に母は話す

「外の人たち何とかしてきなさい」

 マジか、私さっき中継で言ったよね。家に来ないでって。むかつくなぁ。私はしぶしぶ着替えて外に出る。

「すみません、どうしても会いたくて来ちゃいました」

「死に活本当にここに住んでいるんだ」

「写真撮ってもいいですか?」

 さっきの中継観ていない人たちかな、そうだとしてもそうじゃなくても、無下には出来ない私は、ぎこちない笑顔で人たちと交流した

 気が付けば夜、何もしてないわけじゃないけど夜、だるいなぁと思いながら、部屋に戻る。

 まぁ中継もしたし明日は大丈夫だろ、私は今日は何も出来なかったが、夜ご飯を食べて寝た。

「起きなさいっ」

母が怒りながら私の布団を剥ぎ取る

「あれっ?」

母は話す

「そう、行って来なさい」

私は寝不足のまま着替えてメイクをして外に出る

「初めまして死に活さん突然ですみません会いたくて来ちゃいました」

「写真撮ってもいいですか?」

 私は昨日と同じ様にぎこちない笑顔で対応する。

 人たちが去った時には昼だ。昨日と同じだ、このままじゃまずいと思った私は朝食を食べながら考える。止めてくれって言っても止めてくれないしどうしようか。

 追い打ちをかける様に母は話す

「近所の人たちから、迷惑って言われてるからどうにかしなさいよ」

 私は話す

「わかってるよ」

 部屋に戻って考える。どうしようか、策がない。今までとは違った色の悩みだ。

事実私も、街中や旅行先で芸能人とあったらいいなって思った時もある。あわよくばお話出来たり写真撮れたらって思ったりもしたからな。だから、来てくれている人たちの気持ちはわかる。でも芸能人の立場からしたらいい迷惑だったんだな。改めて反省。プライベート中の芸能人は私達で言うところの休暇中なんだから、それを踏まえたうえで話掛けて下さい。私は一人で訴える。

 これで私が避難の為、バカンスに行くと中継しよう間違えなくクラウドファンティングに影響がでる。その金あったら寄付しろとかネット上で荒れるに違いない。家に居たら毎日が荒らされてしまう。紛争地帯に行っても同じだ、今の私は死んではいけない。 

死ぬリスクがある活動が出来ないけど、死に活としてはリスクのある活動しなければいけない。まさに八方塞だ。私は悩んで、一人では解決出来ないと思い。ある人に電話する。

「司会者さんですか、私死に活です。お元気してましたか?」

 司会者は話す

「久しぶりでもないか。元気だよ、どうしたんだい急に?」

 私は話す

「実は、誰かが私の家を特定した人が要るみたいで、毎日人が押し寄せてきて困ってまして、芸能人の方なら何か対処法を知ってるかなって思いまして。」

 司会者は話す

「成程、それは困った事だね。多分だけど、一週間もすれば事は収まると思うよ。要するに君がこの家に来ても会えないって分かれば人は来なくなるわけだ。」

 私は話す

「それは、考えたんですけど。理由もなく行き先を決めれなくて。どうしても、理由がないと旅行と勘違いされてクラウドファンティングに影響でないか心配で。」

 司会者は話す

「分かったじゃぁ家に来なさい。番組を潰した謝罪に行っているとでも言えばいいだろう。」

 私は話す

「いいんですか?凄くありがたいです」

 司会者は話す

「構わないよ。じゃぁ明日でいいのかな?」

 私は話す

「構いません。よろしくお願いします」

 そういうと、司会者は私に住所を教えてくれた。

 私は話す

「ありがとうございます。では明日よろしくお願いします。」

 司会者は話す

「では待ってるよ」

 電話を切った後に、早速私は中継した

「こんにちは死に活です。皆さん毎日家に来ていただいて光栄なのですが、やはり近隣住民の方に迷惑になっていますので、家に来るのは控える様にして下さい。ただ街中で死に活に会いましたら。声を掛けてくれても構いません。応援の声で私も頑張れますので、是非声を掛けて下さい。

 明日なんですけど、司会者さんの自宅におじゃまする予定です。番組では、大分迷惑かけたので謝罪に行って来ます。」

 明日は早く家出よう。私は何泊かする為の荷物を準備して早めに寝る事にした。

 アラームで目が覚める。私は朝4時に起きた。外を確認。よし人は来てないな。私は朝食を食べずにすぐ出かける事にした。

どっか適当なところで食べよう。そう思い家を出るとき。家の門の所に昨日作って置いた物を掛ける。内容はこうだ

【皆さん死に活は今家に居ません。何故かは動画をチェックして下さい】

 私はそれを、取り付けると逃げる様に、家を去った。電車を乗り継いで、司会者の家に到着。道中いろんな人に声を掛けられたが我慢した。自分が言った事だ。相手は悪くない。それに早朝の電車とサングラスが効いたのか余り声掛けられなかったから安心した。

 司会者の家のアラームを鳴らすと。司会者が出迎えてくれた。
































第十章過ち

 司会者は話す

「いらっしゃい」

私は話す

「お邪魔します」

立派な家だ。想定だが、私の家の二倍はあるだろう。私は恐れ恐れ家に入る。客間に案内されると司会者は話し出す

「よく来たね」

私は話す

「大変でした」

司会者は話す

「どうだい、クラウドファンディングは順調かい?」

私は話す

「何かと人が家に来るもんですから、まだ確認が取れてなくて、多分順調だとは思います。」

司会者は話す

「いやいや、それは駄目だよ。多少睡眠を削っても確認しないと、後で、いいわけしてもしょうがないでしょ?」

 最もだ帰す言葉もない。私は話す

「すみませんでした」

 司会者は話す

「後で部屋に案内するからそこで確認取りなさい。」

私は話す

「ありがとうございます」

 司会者は話す

「気にしなくていいよ。見た感じ寝不足みたいじゃないか。少し休みなさい。」

 私は話す

「ありがとうございます。あまり寝れてなかったので助かります。」

 俺は部屋に案内された。置いてある物全て高そうな物だな。部屋に着くと司会者が話し出す

「この部屋を自由に使うといいよ」

 立派なゲストルームだ、私は話す

「ありがとうございます。なんとお礼をしたらいいのかわからない位感激です。」

 司会者は話す

「気にしなくていいよ、余り使われない部屋だし好きに使うといい。何かあったら下の階に来るといいよ」

 そういうと、司会者は下の階へ降りて行った。

 私もベッドで寝たい所だが、まず確認だ。ノートパソコンを取り出し、自分の立ち上げたクラウドファンディングの状況の確認をした。

「おぉっ」

 思わず声を上げてしまった。

 死に活クラウドファンディング現在約1000億。

「すごぃ・・・・」

 私は、パソコンを観て固まった。

 しかしいまいちピンと来ない。膨大過ぎる金額は私の思考を停止させた。

 足りるのか?足りないのか?国を三分割すると言ったが、果たして今の金額はそれ相応の額にいっているのか?

 活動に対して知識が追い付いて来ない。必要な事を調べていなかった。苦手な事を後回しにする悪い癖だ。

 私は直ぐに、ネットで検索した。検索内容は【国 再建】だ。

 検索結果を観て俺は、唖然とした。

必要費用約2500憶ドル。日本円で約2兆5000億円だ。

「足りない・・・」

 私は、現実は頑張った。よく集めた金額ではある。でも足りない。

 私一人生きていく分には十分すぎる金額だ。だが国の規模になってくると話が違う。千円で、最新のパソコンを買いに行くようなもんだ。

 私は後悔した。何故事前に必要金額を調べなかったのか。仮に、調べてクラウドファンディングを設立する時に、公表していれば、金額はもっと変わっていたのかもしれない。実際、今1000憶円ある状態で足りないと、理解する奴はほとんどいないだろう。大多数は、最初私がリアクションした通り。すごぃって思うに決まってる。十分溜まってるって思うだろう。

 私は直ぐに、クラウドファンディングの設定を変えた。無制限ではなく、目標額を提示した。

 それだけでは駄目だ。足りないと伝えなければ意味がない。しかし、仮に私が今、目標額に対して足りないと、中継したとしよう、それでは観た人はどんな反応するだろうか?

 答えは簡単。大きな事言っといて下調べが出来ていない薄っぺらい奴だと思われる。そんな人に、自分のお金を寄付したいと思うだろうか?

答えはしないだ。最悪信頼を失ってしまうと、今後の活動にも支障が出る可能性さえある。

 私がするべき事は、目標金額に対して足りないと、私が下調べをしていなかった事がバレない様に伝える事だ。

 考えたが、答えが出ない。この失敗は余りに大きい。

私がクラウドファンディングするって言ってからいろんな人が頑張っているんだよな・・・

私は、少し浮かれていたのかもしれない。死に場所を探して、興味本位で紛争地帯に行って。偶然有名になって。今までにない位、周りからちやほやされて。勢いだけでここまで来て足元を見ていなかった。

 寝不足の今では、答えが出せない。せめてベストコンディションにしようと思い。私は寝る事にした。

 起きた。久しぶりに自分から起きた。誰かに呼ばれる事なく起きた。夕方寝たが、時計を見ると早朝だ。体調は完璧。昨日とは違い体が軽い。

 私は司会者と朝食を取る事にした

 司会者は話す

「昨日はよく寝てたね。夜ご飯呼びに行った時寝ていたもんで起こさない様にしたけど、夜中お腹空かなかった?」

 私は答える

「お陰で熟睡出来ました。今起きた所なんで夜中は大丈夫でしたよ」

 司会者は話す

「それならよかった。すっきりしたかい?」

 私は話す

「はい、大分すっきりしました」

 司会者は話す

「クラウドファンディングは確認した?」

 俺は話す

「はい確認しました。1000憶円あってびっくりしました」

 司会者は話す

「足りないだろ?」

 直球の質問に私は、目を反らす

 司会者は話す

「君、なんで目標金額設定しなかったよ?」

 私は、見抜かれてると思い正直に答える

「すみません、下調べをしていませんでした。」

 司会者は話す

「これからどうするよ。多分、僕が見抜いたって事は、他にも見抜いている人が要るって考えた方がいいよ?」

 私は話す

「正直に言っても、信頼をなくすと思うので、私は元から知っていましたって伝える事が出来る状況を探している所です。」

 司会者は話す

「僕も、正直に話すのは止めた方がいいと思う。君と同意見だ。しかし、この問題を放置しても状況は悪化してしまうんだろ?」

 私は話す

「その通りです。お金もない状態では、解決出来る事も解決出来ないかもしれません。いつデモ隊の人が鎮静化されて紛争が再開されるかも分からないので悩んでいます。」

 司会者は話す

「そうだね。仮に、僕が君の立場だったらもう一度紛争地帯に行くって考えるだろうね。そこでお金が足りていないって言えばもしかしたら、紛争地帯に行かないと分からない事があって、あえて目標金額を設定しなかったと考えてくれる人が出てくるだろう。でも自分は死ねない状態だから無暗に行けないわけだ。そうなると行動出来る事って限られてくるよね。」

 私は答える

「そうですね。選択肢がない状態なので正直困ってます。」

 司会者は答える

「僕が言った事を、よく考えてみて。君は、紛争地帯に実際行った人だ。実際これくらいだろうと誰かが算出した数字では足りないと思い。あえて目標金額を設定しなかった。そう言えばいいだけじゃないか?」

私は答える

「そうか、そういう表現をすれば、ここで話しても違和感がありませんね。ありがとうございます。」

 司会者は話す

「頑張って」

 私は話す

「はいっ」

 私は朝食を食べ終えると、直ぐに部屋に戻った。そして中継をする。

「皆さんこんにちは死に活です。皆さんの協力のお陰でクラウドファンディングも順調に進み。今現在1000憶円を突破しました。本当にありがとうございます。しかしですね、国を再建させるってなるともっとお金が必要なんですよ。

ネット上で検索すると出てくると思うんですけど、約2兆5000憶円必要とされています。しかし、現地に行った私は、それでは足りないと思っています。誰かが算出した2兆5000億円はあくまで最低限それ位必要と計算されてるでしょう。私は、皆さんと同じ様に、娯楽施設があったり、好きな洋服を選ぶ余裕があってもいいんじゃないかって思っています。私は、それを考えて目標金額を設定しませんでした。

しかし、1000憶円超えてから金額の伸びが悪いです。正直、皆さんは、1000憶円あるからもう十分じゃないって考えているのかなって思っています。

なので死に活クラウドファンディングは目標金額を設定する事にしました。目標金額は3兆円と設定します。これからの死に活の活動も楽しみにして下さい。皆で世界を変えましょう。」

中継を終えた私は、一息着いた。危ない所だった。気が付いてよかった。コメントでも頑張ろうと言ってくれている人はいる。ギリギリ間に合っただろう。

司会者にお礼を言わなくては、私一人じゃ策がなくて紛争地帯での中継を強行していただろう。表現って難しいなって私は思った。



















第十一章 デモ隊

 実家へ押しかける人もいなくなったと連絡もあり、私は家に帰る事にした。

 司会者は話す

「これからの活動頑張ってね。3兆円なんて夢の様な金額だけど君なら出来ると思っているよ。」

私は話す

「ありがとうございます、頑張ります。」

 一礼すると私は、家へまっすぐ帰った。

 俺は話す

「ただいま」

 母は話す

「お帰り」

 私は、直ぐ自分の部屋に戻りベッドへダイブした。やっぱ一番落ち着くのは自分の部屋だ。

 あの中継以降、クラウドファンディングの寄付額はまた伸び始め、私は安心していた。周りの人も、3兆円に対して1000億円は流石に少ないと思ったのだろう。とてもいい傾向だ。

「コンコンッ」

 部屋のノックが鳴る

 私は話す

「いいよ」

 母が入って来た。そして私に話す

「あなた宛ての手紙が来ているけど、見てくれない?」

 俺宛の手紙?まぁ住所がバレてるから来ても不思議じゃないが、海外からだ。

 私は、手紙を開封して、内容を見た。

「読めない。お母さん読める?」

 母は話す

「読めないよ、筆記体だし誰かに翻訳してもらいな。」

 そういうと、母は部屋から出て行った。

 私は、写真を撮ってガイドに送る事にした。今では信用出来る友人だ。するとガイドから電話が来た。

 ガイドは話す

「久しぶりだな元気だったか?」

 私は話す

「元気だったよ。」

ガイドは話す

「お前のクラウドファンディング話題になってんな、3兆円だと。相変わらずいかれてるな」

 私は話す

「いかれてるのは、前からだよ。それより写真送っただろ?内容を教えてくれよ読めないんだ」

 ガイドは話す

「そうだったな、今読んでやるよ」

 ガイドは手紙を読み始めた

「初めまして、死に活さん。私は、ある国のデモに参加しているマリです。最初はデモが始まった時は怖い印象しかありませんでした。しかし、死に活さんの動画を観て私と同年代の人がここまで頑張っているんだと思い。デモに参加する事にしました。参加すると言っても群衆に紛れて声を出しているだけなんですけど。

 デモが始まって、最初は国が対応出来ない感じでしたが、現在国も軍人を導入して、一斉にデモ隊を鎮静させようとしています。

 最初は軍人が、威嚇射撃をしてきたのですが、それに抵抗した人が軍人に本当に撃たれてしまい、そこからデモは激化する一方です。

 紛争を停める為に、戦うことは必要ですが。ここまで激化してしまうと、紛争地帯が増えているようにしか思えません。どうか死に活さんデモ隊に対して動画に上げて。これ以上デモを激化しない様訴えてくれませんか?

 メールで送ろうと思ったのですが、死に活さんは世界中の人からメールを受け取っているので、手紙の方が伝わると思い、手紙を書かせてもらいました。」

 ガイドは話す

「記載されている番号は、その子の携帯番号だそうだ。どうする?お前がこれを止めたらどうなるか分かってるよな?」

 私は話す

「あぁ分かってるよ。私がデモ隊に訴えかけてデモが止まったら、紛争地帯への資金の供給が始まる。そうなると、紛争の再開だ。最悪なのは、一つの勢力だけが資金供給される状態になることで、資金供給されていない残りの勢力は抵抗出来ずに殺されてしまう。

 私がやるべきことは、デモ自体は活動を止めないで、激化する状態を緩和しろって事だろ。」

 ガイドは話す

「よく分かってるじゃねーか。いいか絶対デモは止めるなよ。その子を助けてもいいがデモを止めると、紛争地帯が死体の山になると思え。」

 私は話す

「わかった十分気を付けるよ。和訳ありがとう。」

 ガイドは話す

「お前を信じているからな、頼むぜ。」

 そう言うと、ガイドは電話を切った。

私は直ぐ中継を始めた。

「皆さんこんにちは死に活です。ある国の女性からメッセージを頂きそれの返事を、したいと思います。その国では、デモ隊と軍人の衝突が激化し紛争地帯と変わらない状況になりつつあると書かれていました。デモ隊の皆さんよくやってくれてます。しかし、デモを止めてくれとは、とてもじゃないですが言えません。デモが止まると国からの資金援助が、始まってしまい、結果紛争が再開されてしまうからです。

最悪のケースですが、その勢力だけ資金援助を受けると、その勢力が一方的に2つの勢力を潰しにかかり結果国は統一されても死体の山になってしまうでしょう。

そこでですが、皆さんにお願いがあります。女性がいる国へ皆さんで行きましょう。デモを激化させる目的ではありません皆さんがいる事が鍵となります。もちろん死に活本人も行きます。一週間後の土曜日デモの現場でお会いしましょう。」

 よし何人集まるか分からないけど、これは少し賭けだな。私はマリの携帯へ連絡してみる。

 私は話す

「こんにちは死に活です。マリさんの手紙を拝見させていただき。どうにかしないといけないと思い電話しました。」

 マリは話す

「こんにちは、私はマリです。私は日本語が話す事が出来ません。英語なら多少話せます。」

 そうだ、海外の人だった。中継だと後で勝手に字幕付けて動画にしてくれる人がいるから意味が伝わってたんだった。忘れてた。私は、紛争地帯に持って行った端末を取り出す。

 私は端末に話して、英語に翻訳して、その言葉を話す

「あなたの手紙を受け取りました死に活です。あなたが考えている事に対してお答えできないかもしれませんが、善処します。

 私自身現地へ行きますので、一週間後の土曜日、デモが起きている場所でお会いしましょう。私も、英語は話せないので、返事はイエスかノーでお願いします。」

マリは話す

「イエスッ」

私は電話を切ると準備をした。一週間後、現地へ行かないと話が進まないからだ。

 































第一二章 交渉

 準備が出来た俺は、ガイドとその国で待ち合わせる事にした。もちろん日本人でも英語を話せる人が要るけど、修羅場を潜り抜けて来たガイドを雇う方が心強いからだ。

 現地に到着、なんかデモが発生してるって思えない位、観光地だな。

 私がぼーっと周りを眺めていると、肩を叩かれる

「オワッ」

 私は声を上げるとガイドが笑っていた

 ガイドは話す

「実際会うのは久しぶりだな。元気でやってるか?」

 私は話す

「元気だよ。今日は頼むぜ、場合によっては停戦状態の紛争地帯よりヤバイかも。」

 ガイドは話す

「任せろ、修羅場を超えて来た回数は、人より多いと思うぜ。」

 私は話す

「なんと心強い相棒だ、じゃぁ現地へ行きますか。」

 私達は、マリと待ち合わせている場所へ向かった。

 ガイドが話す

「あの子じゃね?」

 私は話す

「確かに待ち合わせている場所はあってるけど、とてもデモに参加しているような人には、見えないぞ。」

 私はその子に話しかける

「こんにちは死に活です。あなたがマリさんですか?」

 マリは話す

「そうです。死に活さんと会えて光栄です。本当に来てくれたんですね。その方は誰ですか?」

 ガイドが話す

「俺はこいつに雇われた通訳だ、初めましてお嬢さん。」

 マリは話す

「初めまして、私は、マリと言います。」

 初見でガイド見ると皆ビビるよな、体はでかいしプロレスラー顔負けの筋肉だからな。まぁ、時期になれるだろう

 私が話す

「仲間の募集を掛けたんだそこに行こうか」

 私達は仲間が待っている場所へ歩きながら話をした。

 私が話す

「まぁマリさんこいつは怖い顔しているけどいい奴なんだ。余り怖がらないでね。」

 流石にガイドにこの内容は通訳させても説得力ないと思い。俺は翻訳した英語で、話しかけた。

 マリが話す

「分かりました。死に活さんがそこまで言うのであれば信用します。ところでなぜ人を集めるんですか?正直私は、人を集めてもデモが激化するとしか思えないんですけど?」

 ガイドに通訳してもらい私は話す

「そうですね、私にとっても少しリスクの伴う案件ですね。仮に、成功したらとんでもないリターンが待ってますので、是非成功させたいですね。」

 ガイドは話す

「こいつは、頭がいかれているから、お嬢さんが考えている常識にとらわれない方がいいぜ。何やらかすか俺でも分からない時がある。

でも、やるときは真剣だ。だから期待してもいいと思うぞ。」

 ガイドの言葉に不安そうになりながらもマリは頷いた。

 私達は、そんな自己紹介をしながら歩いていると目的の場所へ辿り着いた。

 私は話す

「おい、人が多すぎて前に進めないぞ。」

 ガイドは話す

「お前が集めたんだろ我慢しろ。それにお前はまだいる事がバレない方がいい、この場所がパニック状態になる可能性がある。そのフードを被ってろ。」

 私はガイドに従ってフードを被った。私達が来たのは、デモが毎回行われている場所、日本で言うところの国会議事堂前だ。連日ここでデモが行われていたら。国も対応せざる負えない。いい場所を選んだな。しかし、人が多すぎて進めない。俺が集めた人はどれ位を占めているだろうか。私はそんな事思いながら最前列の所まで足を進める。

私が行きます宣言したからか。もしくは、偶然か分からないが、テレビ局がニュース撮影を行っているのがちらほら見える。これは行幸だ。派手な事やるときは、メディアがいた方がいいに決まってる。

 私は足を進めながらマリに話す

「デモの規模って普段からこんなに人が多いの?」

 通訳したガイドがマリから返答を聴き俺に話す

「普段はこんな多くないってよ。頭のいかれた小僧が声を掛けたからこんな大惨事になってるって言ってるぞ。」

 絶対私に頭がいかれてるとか言ってないだろ。まぁガイドが冗談を言えるほどまだ余裕があるって事と、普段より人が多いって事は分かった。

 最前列に行くにつれて、人々の叫び声が大きく聴こえてくる。旗に本当に死に活って文字が入ってるじゃん。私は少しテンションが上がった。

 「バンッバンッ」

 拳銃の音だ、最前列は近い、確かにここまで激化してしまうと、紛争地帯と変わらないな。

 ガイドは話す

「拳銃の音だぞ、怖くないのか?」

 私は話す

「怖いよ、でも紛争地帯ほどではないよ。」

 ガイドは笑いながら話す

「違いない、ここでの拳銃の球は本気で人を狙っていないからな。紛争地帯でこの人数いたらとっくに人が何百人と死んでるぜ。」

 私とガイドが笑って話しているのを見たマリは少し引いていた。一体彼らはどんな体験をしてきたのだろうとマリは思った。それと同時に、二人とも頭がいかれてると思ったが言わなかった。

 ガイドが話す

「最前列に近づいてきたな。」

 私は話す

「あぁそろそろ準備があるからいったん端に移動しようか。」

 私達は、建物の陰に集まり準備を始める。

 私は話す

「はいこれガイドの分。」

 私が取り出したのは、メガホンだ。ガイドに渡して俺が話す。

「ガイド悪いけど通訳してくれる時、危険に遭うかもしれないけど大丈夫?」

 ガイドは笑顔で話す

「問題ない。」

 私は携帯を取り出しマリに渡す。そして俺は話す。

「悪いけど中継の撮影をお願いしてもいいかな?マリは危険な場所から離れていていいけど、世界に伝えたいから俺達を撮っていて欲しいんだ。」

 ガイドが伝えるとマリの手は震えていた。きっとマリは、デモに参加してもここまで最前列に来た事がないんだ。多分拳銃の音も聴こえない位の場所で活動していたんだろう。

私とガイドは目を合わせて同じ事を思ったんだろう。この子には負担が大きすぎる。それなら最前列の人を連れてきて撮影の依頼をした方がよさそうだ。

しかしそれもリスクがある、デモに参加している全員が善人な訳がない、最悪携帯をパクられる可能性だってある。それをされるとかなり痛い、中継は出来ないどころか、アカウントを乗っ取られる可能性だってある。信用がない人に携帯は渡せないな。

 私とガイドが悩んでいる時、マリも悩んでいた。

せっかく死に活さんは、私の手紙を見てここまで来てくれたのに、私が足を引っ張っている。笑顔で分かりましたなんて言えない。拳銃の音が怖い。恐怖に飲み込まれたマリは、手の震えが収まらなくなっていた。

 私はマリの手を握って話す

「怖いのか?」

 ガイドの通訳を聴いてマリは答える

「とても怖いです。手の震えを止めようと必死なんですけど、思った様に体が言う事をきいてくれません。」

 ガイドは話す

「どうする?代わりに誰か連れてくるか?」

 私はマリのほっぺにビンタした。

 ガイドが驚いて話す

「何やってんだ、震えてるお嬢さんにビンタするって日本はそんな風習があるのか?」

 私は話す

「ガイド伝えてくれ。私達は半端な気持ちでここにいるんじゃないんだ。そうなったらいいなとか、お願い事感覚で俺達を呼んで今ここで、私達の足を引っ張っている。私達は神様じゃないんだ。願い事をしたければ、教会にでも行け。」

 ガイドが通訳するとマリは泣きそうになっていた。ガイドは私に話す。

「言い過ぎじゃないか、確かにお前の言う事は正論だ。しかし、お嬢さんの気持ちを汲み取ってやったらどうだ。」

 私は話す

「確かに、ここで他の人を呼べば解決する話だろう。だけど、これはマリがやらなければ行けない。なぜならこの事一生後悔するぞ。自分は出来なかった。足手まといだって。

 私も、紛争地帯で何も出来ずに帰ったじゃないか。あの時の事は今でも後悔している。何か出来たんじゃないかって。実際出来る事がなかったから諦めは付いている。

しかし彼女は、出来る事がある。なのにやらなかったら、後悔するに決まってるだろ。」

 ガイドはマリに話掛ける

「お嬢さん、自分を大切にする事はいいと思うけど、これやらなかったらきっと後悔するよ。こいつはね、紛争地帯で出来る事がなくて後悔していた時があったんだ。探しても探しても出来る事がなくて邪魔になるだけで、結局何も出来なかった。今でも悔しがってるよ。

 それに比べてお嬢さん、あんたは出来る事があるじゃないか。こいつは出来る事があるのにやらなかったら、きっと後悔するって。お嬢さんの事を思って、怒っているんだよ。そう思うと、こいつよりお嬢さんは今、恵まれている環境にいるんだよ。」

 マリは考える、私が恵まれている?よくわからない。確かに死に活さんは、私の手紙に対して真剣に答えてくれた。今も真剣なんだろう。勘違いしていた。私は死に活さんをトラブルを何とかしてくれる神様だと思っていたのかもしれない。

彼も、私と同じ様にいつも悩んだりしているだろう。彼は、人よりも少し行動力のあるただの人間なんだ。私は真剣な振りをして、本当に真剣に物事に取り組んでいる人に話掛けた愚か者だ。

 そんな愚かな行動に対して死に活さんは怒っているんだ。真剣に物事に取り組みなさいって。

 マリは一息つくと話始める

「撮影は任せて下さい。」

 私とガイドは笑いながら話す

「よく言った。」

 私は、中継の操作方法をマリに教えると。二人に話す。

「じゃぁ行きますか。」

 マリは俺とガイドを撮影しやすいポイントに移動、それを確認した俺とガイドは、メガホンも持って最前線へ歩き出す。

 最前線付近に到着。俺は被っていたフードを取り、メガホンで叫ぶ。

「ストーーーーーーップ」

 聞き覚えのある声に、デモ隊と軍隊はざわつく。

 私とガイドは、最前線に立つと、私はメガホンで話し始める

「皆さんこんにちは死に活です。」

 日本語でも、動画の冒頭で毎回言っているセリフだ。観てくれている人ならわかるだろう。

 私の登場にデモ隊は歓喜を上げる。

「本当に死に活が来た。」

「最前線って危なくない?」

「デモ隊に流れが来た」

 こんな調子で活気が出るデモ隊。テレビ局も俺を撮影しにやってくる。

「ご覧ください、今世界中で注目を集めている死に活さんが、中継で予告していた通り現れました。デモ隊の士気も一気に上がっています。」

 ニュースキャスターは饒舌に報道していた。

 私は話す

「隣にいるのは、私の通訳です。この人の発言は私の言葉と思って下さい。」

 私は、この英語だけは覚えて来た。ガイドは死に活が信用している人だと思わせる為だ。

 私はガイドに通訳してもらいながら話す

「皆さん、今までデモ活動本当にご苦労様です。皆さんの頑張りが今の私の活動に繋がっています。」

 私の言葉に活気ずく人々。一体何人いるんだろうか。憶測でも分からないレベルの人達だ。

「死に活っ」

「死に活っ」

「死に活っ」

 死に活コールは収まらない。人の声が響き渡り俺の体を揺さぶる。

「バンッ」

 拳銃の球は私の手前に着地した。

 一瞬空気は固まり、状況を飲み込むのに時間があったが。デモ隊は激怒した。軍隊に対しての罵声を上げる。

 殺すとデモが激化する恐れがある。威嚇射撃で追い出せ。どうせ日本人だ、拳銃の音一つでも聴かせてやればビビって帰るだろう。とか思ってるんだろうな。

 残念、私の中でこれは想定内、よほどの馬鹿じゃない限り私を殺さないと言うより殺せないと思っていた。ガイドもビビらない私を見て少し笑っていた。銃声なんてなかったかのように私は話し出す

「皆さん武器を下に置いて下さい。これはデモであり戦争じゃありません。まずは、武器を下に置いて下さい。」

 ガイドは渡したメガホンで通訳をする。

 すると、俺の声が届いたのか、デモ隊の人達は武器を地面に置き始めた。

 私は、デモ隊に話す

「私は今から軍隊と話をしに行きます。もし私が無事で帰って来なかったら地面に置いた武器を拾って下さい。後は任せます。」

 私とガイドは、両手を上げて軍隊に近ずく。私は、一定の距離に辿り着くとメガホンで話始める。

「私は、交渉しに来ました。軍隊を動かしている人に会わせて下さい。繰り返します、私は交渉しに来ました。軍隊を動かしている人に会わせてください。」

 それを伝えると、私とガイドは、メガホンを地面に置き、両手を上げて返事を待つ。

 デモ会場は静かだった。普段軍隊とデモ隊が衝突している所に死に活がいるのだから、デモ隊も、軍隊もただ見ている事しか出来なかった。

 体感で10分後位に、軍隊から返事が来た。

「会わせますので、両手を上げたままゆっくりと、前に進んで下さい。後は、軍隊の兵が案内します。」

 ガイドに通訳してもらうと私とガイドはゆっくり軍隊に向かって歩き始めた。

 軍隊の中に入る手前で案内の人が来て私達に話掛ける。

「こちらへ来てください。」

 私とガイドは、案内されると、建物の中へ連れてかれた。一言も話さず軍人はただ私達を連れていく。大きな建物の一つの部屋に案内された。

 軍人は私達に話掛ける

「中でお待ちください」

 私とガイドは椅子に座った。何かで使う会議室だろうか?それにしては豪華な椅子だな。

 ガイドは話す

「お前なにか策があるのか?」

 私は話す

「策はあるけど成功するかは五割だね。」

 ガイドは話す

「五割かよ。そんなリスキーな場所に俺を呼んだのかよ」

 私は話す

「修羅場の経験数が違うんでしょ?ここまで来たら覚悟しようぜ。」

 ガイドは話す

「お前本当に女かよ。交渉内容によっては撃たれても知らねーぞ。」

 私は話す

「大丈夫私は撃たれないから。仮に撃たれるとしたらガイドからじゃない?暴れたら一番危険そうだし。」

 ガイドは話す

「おいおい悪い冗談はよしてくれ。これでも家族がいるんだ。」

 私は話す

「それ私の国だと死ぬ人が言うセリフだよ」

 ガイドは話す

「とんでもない奴に捕まったな。頼むぜ相棒。」

 私は話す

「任せて。世界を変えようぜ。」

 私達は談笑していると、ボディーガードを何人か連れている人が入ってきた。その人は私達に話しかける。

「初めまして死に活さん。私はこの国の大統領です。」

 ガイドは話す

「俺は通訳だ。死に活は隣の奴だ。」

 大統領は話す

「あなたが死に活さんですか?こんなか弱い方があのデモの設立者ですか。」

 大統領は驚いていた。言われてみればガイドの方が死に活っぽいしな。私は通訳と思われてもしょうがない。しかしこの様子だとしっかり中継は観てくれてないな。まぁいい。私が誰なのか知らしめてあげよう。

 私は話す

「そうです、私が死に活です。隣にいるのが私の通訳です。初めまして大統領お会いできて光栄です。」

 隣の男が大統領に話掛けている。向こうにも通訳がいるのか、それなら私の話はより信用されるだろう。向こうの信用している通訳がいる事で、私の話がガイドを通さずに伝える事が出来る。逆もそうだ。ガイドも向こうの話を聞くことが出来るから。2人通訳がいる事でより正確な会話が出来るだろう。

 大統領は話す

「君とは話をしたいと思っていたよ。なんせこの国をこんな状態にしてくれたからね。普通だったら会話すらする気が起きないが、こんなに人を集めらたら会話をするしかないよね。まったく面白くない事をする少年だ。」

 ガイドは私に話す

「なんで大統領はお前と話すつもりないのに、話をしにきたんだ?」

 私は話す

「私はこの日デモ隊以外の人も声を掛けて集めただろ。憶測だが、今までの数のデモ隊だったら、軍隊を率いて鎮静化出来たんだ。しかし、私が人を集めたせいで鎮静化出来るか分からないレベルの人が集まったって事。軍事力で制圧出来ないから私と交渉する事にしたんだよ。」

 ガイドは話す

「成程。それでお前はこんなに人を集めていたのか。」

 私は話す

「そうだよ。副産物で各国のテレビ局まで来てる。流れはこちらにあるよ。」

 大統領は話す

「ところで少年、人を集めて軍隊と戦うと思いや。デモ隊に武器を置かせて、私に話をしに来た。何か交渉しに来たんだろ?」

 私は話す

「流石大統領、頭のいい人は話しが早くていいですね。直球で言います。デモを止めたくありませんか?」

 大統領は話す

「もちろん止めたいに決まってる。デモ隊事態が国の評判を下げ、軍隊にもお金を使っている。君がデモ隊に訴え掛ければ止まるけどきっとそうはしてくれないんだろ?何が目的だ?」

 私は話す

「紛争地帯の資金資金供給を止めてもらえませんか?後、その供給する予定の資金を私のクラウドファンディングに寄付して下さい。そうすれば、私はデモ隊を解散させます。」

 大統領は話す

「本気で言っているのか?仮に私の国が資金供給しなくなって、他の国が供給したとしよう。その供給されなくなった勢力は潰されてしまうじゃないか。」

 私は話す

「本気です。それに他の国も同じ交渉をするつもりです。なので一方的に勢力が潰される事はありません。」

 大統領は話す

「仮に私の国が交渉を成立させたとしよう。他の国が、交渉に応じなかった場合どうするんだ?」

 私は話す

「大統領ならお気づきかと思いますが。あなたの今揃えている軍隊では私のデモ隊に対応出来ませんよね?ミサイルとか使えば何とかなるかもしれませんが、自分の国の首都にミサイルを落とす大統領が今後支持を保てるかって言われると保てませんよね?

 私は他の国でも、同じ事を繰り返します。同じ様に交渉成立させます。」

 大統領は少し声を荒げて話す

「全てお前の計算か?今ここでお前を殺してもいいだぞ?そうすればデモがなくなるかもしれないからな。」

 私は話す

「残念ながら、私を殺さない方がいいですよ。デモ隊には、武器を地面に置けって言いました。いつでも拾える状態です。しかも私に何かあった場合後は任せると伝えてあります。

しかも大統領にとっては最悪な事に、各国のテレビ局も来ています。私を殺したらさぞメディアは私の死を悲観的に放送するでしょう。するとどうなりますかね?デモ隊は激化する恐れもあります。よって私にその脅しは通用しません。」

大統領は話す

「何処まで用意周到なんだ。これは交渉じゃなくて強制じゃないか。」

 私は話す

「そんな事ないですよ。頭のいい大統領でしたら、この交渉は無事成立すると思ってますよ。」

 大統領は思う。少年を甘く見ていた。この少年は、自分を最大限に活用してここにいる。今だってそうだ。時間が経過するごとにデモ隊は少年の安否を心配し場合によっては地面に置いた武器を拾う。考える時間すらくれないこの少年は何者なんだ。

 少し大統領が黙り込んで水を飲もうとした時、私は話す

「大統領、水は交渉が終わってから飲みましょうか?」

 大統領は話す

「水くらい飲んでも構わないだろ?」

 私は話す

「駄目です。飲まないで下さい。飲んだら私は自殺します。」

 大統領は水を置いて話す

「私は君は嫌いだ。今でも殺してやりたいくらいだ。しかし、現状君の考えている事を私はしなければならない。時間がない、いつデモ隊が武器を拾うか分からない。交渉は引き受けよう。」

 私は話す

「流石大統領ありがとうございます。」

 私は、契約書を取り出して大統領に渡した。

 大統領は、契約書にサインしながら話す

「もし、他の国でしくじったら私がお前を直々に殺しに行ってあげよう。」

 私は話す

「そうならない様に頑張ります。」

 大統領は話す

「恐ろしい少年だな。ほら契約書だ。」

 大統領から契約書を受け取るとガイドが確認する。ガイドは話す。

「問題ないぜ。内容は正確だ。サインもしっかりしてある。」

 私は話す

「ありがとうございます大統領の寛大な処置のお陰で穏便に事が収まりそうです。」

 大統領は水を飲んだ後に話す

「なにが穏便だ。全て少年の手の中じゃないか。連絡先ぐらい置いていけ。仮にデモが収まってない場合必ず駆け付けろよ。これは私からの交渉だ。」

 私は、適当な紙に、今の交渉内容を記入して正式な書類として大統領に渡す。

 大統領は話す

「今はいち早くデモを止めて欲しいから聞きたい事は沢山あるが一番気になったのを聞かせてくれ。お前はなぜこんなに紛争地帯にこだわるんだ?」

 私は話す

「私にもわかりません。しかし、自分が紛争地帯に行って感じた事があって動いているだけです。」

 大統領は話す

「実際行かないと分からない事があるって事か。まぁ成功したら、食事でもしよう。失敗したら、少年はこの世にいないからな。」

 私は話す

「じゃぁ食事楽しみにしています。」

 大統領は話す

「じゃぁさっさとデモ隊を片付けて来てくれ。」

 私達は、大統領と握手した後、デモ隊を止めるために部屋からでた。

 ガイドは歩きながら話す

「なんで水を飲ませなかったんだ?」

 私は話す

「水を飲むと頭に上がった血が冷やされてリラックスしてしまうからだよ。だからあえて飲ませなかった。頭に血が上った状態の大統領は早く話しを終わらせたくなり、即決してくれる可能性があったからね。」

 ガイドは話す

「どこまでも用意周到だな。恐ろし奴だ。」

 私は話す

「紛争地帯にガイドしてる奴に言われたくないよ。」

 建物の外に出た。私達は、地面に置いてあるメガホンを拾い。叫ぶ。

「デモ隊の皆さんお疲れさまでした。この国は紛争地帯への資金供給を止めると同時にその送る予定の資金を死に活クラウドファンディングに寄付する事を正式に契約してくれました。」

「うおおおおおお」

 デモ隊の完成が響き渡りビリビリする。取り合えず一つ目は終わったな。

 私は話す

「一週間後の土曜日別のデモ隊に合流し、同じ内容の契約を取るつもりです。皆さん協力お願いします。」

 「死に活っ」

 「死に活っ」

 「死に活っ」

 死に活コールはやまない。私は、手を振り皆に挨拶した。

 その後、私は数週間かけて、全てのデモ隊を鎮静化した。要するに、契約が取れたという事だ。場所によっては死に活を国へ入れない様に、チェックがあったが、メイクをしていない私は、すんなりとチェックを通る事が出来た。

 どの国も同じ内容交渉方法で問題なかった。国によっては、向こうがもう契約書を書いて待っている所もあった。長い旅は終わりを告げ、私はガイドにもお礼を言って家に帰る事にした。




















第十三章 国

 長旅を終え、家で少しの休息をとっている。大量の漫画やアニメを消化する時間とか、自分が元々趣味があった事を思い出すかのように平和な日常を送っていた。もちろん自分の役目が終わった訳じゃない。ただそういう時間も欲しい物だ。

 両親は不安そうにしていたが、旅から帰って来てからの私の行動に心底安心している。癌が発覚した後、死んだように毎日を過ごしていた私が、自分の時間を満喫している姿によかったと思ってくれたんだろう。

 こんな時間がずっと続けばいい、そんな風に思っていた。

「コンッコンッ」

 ドアの扉を叩く音だ。

 私は話す

「いいよ」

 母が入って来た

「お客さんが来てるよ、しかも国会議員の方だと思うけど。」

 私は話す

「なんで私に?」

 母は話す

「分からないけど取り合えず話を聞いてきなさい。」

 私は話す

「準備するから待ってもらってよ」

 母は話す

「わかったけど早くしてね。」

 そう言うと母は来客に挨拶に行った。

 なぜ私の所に国の人が来るのか、思い当たる節しかなくて困る。まぁ一言で言うと怖いだね。

私は急いでメイクを済ませて玄関に行った。

 スーツの人が話す

「あなたが死に活さんですか?」

 私は話す

「そうです死に活です。何か御用ですか?」

 スーツの人は話す

「簡単に自己紹介させてもらいますと、私は国会議事堂で総理大臣の秘書を務めています。総理があなたと話がしたいそうなので。ここに来ました。」

 私は話す

「総理大臣?あの有名な方ですよね?」

 私は驚きを隠せなかった。少し声が裏返ってしまった。

 スーツの人は話す

「はい。あなたも大概有名ですけどね。一緒に来てくれませんか?もちろん車を用意してあります。」

 私は話す

「待って下さい。話の内容はわかりました。しかし、あなた達が本当に総理大臣の秘書なのか分からないじゃなないですか。そんな不安要素しかない案件に対してわかりましたってついて行くほど馬鹿じゃないですよ。」

 そういうと、スーツの人は電話をし始めた。何かを話している。声までは聴こえない。

 スーツの人は話す

「総理からの電話です。」

 マジか、私は唾を飲み込み電話を受け取る。

「もしもし?」

 総理が話す

「初めまして私が日本の総理を務めている物です。君が死に活くんかい?」

 私は話す

「そうです死に活です。」

 声は紛れもなく本物だ、ニュースで話している映像は何回も見た事があるから間違えない。

 総理が話す

「まぁ君が疑うのも当然だよね。でも安心して本物だから。」

 総理は少し笑いながら話していた

 私は話す

「一体どのような御用件で私と話をしたいのでしょうか?」

 総理は話す

「まぁそれは夕食でも食べながら話そうじゃないか。取り合えず店は予約してあって。車も今そこにあるから取り合えず来なよ。」

 私は話す

「わかりました。行きます。」

 総理は話す

「それじゃぁまた後で」

 そう言うと総理は電話を切ってしまった。

 スーツの人は話す

「信用して頂けましたか?」

 私は話す

「実際会うまで信用しましたとは、言えません。ただ夕食には行きます。」

 スーツの人は話す

「では車の方へ」

 私は母に話す

「行ってきます。」

 母は、この状況を把握出来ていない完全にキャパシティーを超えている。

 母は話す

「気を付けて行って来なさい。」

 私は返事をすると車に乗り込んだ。

 スーツの人は話す

「暑くないですか?」

 私は話す

「大丈夫です。」

 私は話す

「なんで総理は私と話したいんですか?」

 スーツの人は話す

「正直私にもわかりません。ただ、意味もなく行動する方ではないので何かしら要件はあると思いますよ。」

 私は話す

「そうですか。」

 車に揺られる事約30分、ぱっと見た感じ食事をする場所に見えない建物で車は停まった。

 スーツの人は話す

「着きましたので、降りましょう」

 ここは本当に食事をする所なのか?私は疑問を持ちながら車を降り。スーツの人に案内されると、店が見えて来た。

「いらっしゃいませ。」

 店の人が挨拶すると私は固まっていた。これが料亭ってやつなのか?実際行った事ないからわからない。ただ、印象に思っているのは高い場所なんだろうなって思っている。

 スーツの人は話す

「私は車を置いてきますので、先に入っていて下さい。」

 スーツの人は行ってしまった。

 私は店の人に案内されると個室に辿り着いた。

 店の人は話す

「お客様が先に到着しております。」

 私は呼吸を整えてから話す

「失礼します。」 

 襖を開けるとそこに総理がいた。本物だ。騙されてなかった安心感と同時に緊張感が込み上げてくる。

 総理は話す

「よく来てくれたね。まぁ座りなさい。」

 私はテーブルを挟んで総理の向かいに座った。

 私は話す

「初めまして、私が死に活です。直球な質問ですみません。私に何か御用があるんですか?」

 総理は話す

「君が噂の死に活君か。ただ単に話がしたいって言うのも本当なんだけど、用があるっていうの当てはまるね。」

 私は話す

「用っていうのはなんですか?」

 総理は話す

「死に活君は、デモを鎮める際、各国から某国への資金供給していた資金を自分のクラウドファンディングに寄付させたでしょ?」

 私は話す

「はい、資金が必要だったので取れる所から取ろうと思いまして。」

 総理は話す

「仮に死に活君が、大金持ちから資金を寄付させたら別に構わないんだけど、国から寄付金を受け取ったら国際問題になるんだよ。わかる?」

 私は話す

「すみませんいまいちピンと来ないです。」

 総理は話す

「死に活君は日本人でしょ、他の国は日本人の寄付活動に国のお金を送ってるのに、日本は母国なのになぜ寄付に参加しないんだって騒がれてしまうわけ。筋が通っていないんじゃないかって話になって来るんだよ。」

 私は話す

「そうですね、言われてみると確かに筋が通っていません。まず自分の母国からお金の寄付を要請するのが自然ですね。」

 総理は話す

「そう言う事だ、これはもう死に活君一人の問題じゃなくなっているんだ。国際問題になっているんだ。」

 私は話す

「どうして欲しいんですか?正直止めろって言われても多分止まりませんよ。多分ですけど止める事も出来ないと思います。」

 総理は話す

「そうだね、止めろって言って止められては日本が本当に批判されてしまう。最悪寄付してくれた国から逆恨みを買って戦争になってしまう可能性だってある。もう成功させるしか日本としては選択肢がないんだ。」

 私は話す

「そうですね。でも成功するまでには、まだ資金が足りていません。正直時間が掛かる作業だと思っています。」

 総理は話す

「そこでだ、残りの必要資金を日本から供給しよう。だから死に活君必ず成功させるんだ。」

 総理は鋭い眼差しで私を見る。

 私は話す

「ありがとうございます。これで目標金額達成出来そうです。」

 総理は話す

「この資金供給に対してこちらから要求がある。

まずは日本からも寄付してもらった事を動画でいいから公開しなさい。死に活君から公開してくれれば世の中は信用してくれるだろう。

 そしてもう一つは契約書は、私達が責任を持って預かるから渡しなさい。今も持っているんだろう?」

 その通りだ、私は契約書の扱いに困り最終的に肌身離さず自分で持っている事にしたんだ。

 私は話す

「よく分かりましたね。」

 総理は話す

「夕食を食べようって言ってそんな大きなバッグを持っていればすぐ分かる。それは私自身じゃなくて他の人でもわかるだろう。重要な契約書だ一つの家に置いて置くより国が管理した方が、安全だろ。」

 私は話す

「そうですね。正直扱いに困っていたので管理してもらえると助かります。」

 私は考えた結果契約書を渡しても大丈夫だと思った。たとえこの契約書が日本によって揉み消されても、消した事が日本と分かれば、契約してくれた国から反感を買う。よって、日本はこの契約書はどうにも出来ない。最悪私がうっかりなくしても、私に対してではなく、日本に対して反感を買ってしまう恐れのある。そんな物一人の人間に管理させるよりも国で管理した方が確実だろう。日本にとってこの契約書は厄介な爆弾みたいな物だ。

 私はバックから契約書を取り出すと、総理に渡した。

 私は話す

「よろしくお願いします。」

 総理は話す

「確かに受け取ったよく集めたね。」

 私は話す

「頑張りました、正直人生で一番苦労したと思います。」

 総理は話す

「寄付の事なんだけど、国会議事堂で話すけどいいよね?多分ニュースになると思うけど。」

 私は話す

「構いません。むしろ話してくれた方がいいですね。国が動くと事の大きさが伝わると思いますし。」

 総理は話す

「そうだね、国のお金って事は皆から頂いた税金って事だから絶対成功させないとね。」

 私は話す

「それなんですけど、一つ提案があるんですがいいですか?」

 総理は話す

「なんだい?」

 私は話す

「仮に成功したとして、某国の組織が私のクラウドファンディングに参加するって話になったとしましょう。

 まず、各組織がそれを表明した時、どこに連絡を取ればいいのか分からないと思うんですよ。

 なので、総理大臣が日本に対して表明してくれればいいと言ってくれるとありがたいです。

 後もう一つなんですけど、国を3つに割る契約をする場所がないのでそこを国から提供して頂けると助かります。」

 総理は話す

「そうだね、死に活君の言う通り各組織が諦めてクラウドファンディングに参加を表明する時に、どこに連絡していいかはっきりしてないね。それに、適当な場所で国を3つに割る契約をしても味気ないからね。分かったそこら辺は私が何とかしよう。」

 私は話す

「ありがとうございます。」

 これで全てのピースが揃った長い旅も終わりが見えて来た。ただ、私がこの契約書を取りに行く前に日本に対して寄付を要求しても、門前払いだっただろう。これは、日本が戦争に巻き込まれない様にする為に総理が動いた。総理はまず日本から寄付の要求と言っていたが、実際この順番が一番よかったのだろう。私はそう思ったが、言わなかった。

 その後、総理大臣と少し雑談をして私は家に帰った。

翌日ニュースで総理大臣が死に活クラウドファンディングに対し寄付をする事、某国の各組織はクラウドファンディングに参加する表明をする時は日本に向けてメッセージを送る事を話していた。

 私は、後は待つだけだ、国が動いてくれたことで私自身が動く事はもうないだろう。紛争を終わせよう。私は改めて思った。
















第十四章 表明

 総理大臣が話してからもう3週間程たった。クラウドファンディングは無事目標額に到達した事で、私の仕事は終わっていた。後は国から連絡が来るのを待つだけだ。私は特にやる事もないのでゴロゴロしていた。

 テレビを観ていると速報が流れる。某国の一つの組織が死に活クラウドファンディングに参加表明してきたという内容だ。

 私は直ぐに総理に電話をした。

「お久しぶりです、死に活です。とうとうこの時が来ましたね。」

 総理は話す

「久しぶり、直ぐ国会議事堂に来てくれないか?今後について話そう。」

 私は話す

「分かりました、準備出来次第タクシーで向かいます。」

 総理は話す

「わかった、到着したら連絡してくれ。迎えを送る。」

 私は話す

「分かりました、ではまた後で。」

 私は電話を切ったらすぐ準備を始めタクシーに乗った。

 国会議事堂到着、私は総理に電話をして迎えを呼ぶ。

 迎えの人が来た。案内されると一つの会議室に辿り着いた。中に総理が座っている。

 私は話す

「すみません遅くなりました。」

 総理は話す

「構わないよ。まぁ座りな。」

 私は総理の向かいに座り、興奮を抑えながら話す

「とうとう来ましたね。」

 総理は話す

「そうだね。死に活君のクラウドファンディングは準備出来てる?」

 私は話す

「もちろん準備出来ています。」

 私はノートパソコンを開き、総理にいつでも資金供給出来る状態である事を伝えると同時に話す。

「私はいつでも、資金供給出来る状態です。一つ疑問があるんですけど、どのタイミングで資金供給しましょうか?」

 総理は話す

「私の考えだけど、まだ資金供給するべきではないと思っているんだ。正直、一つの勢力が死に活君のクラウドファンディングに参加表明してくれた事は嬉しいんだが。残り二つの勢力が参加表明しない限り資金供給するべきでないと考えている。」

 私は話す

「なぜですか?」

 総理は話す

「最悪のケースを私は常に考えているのだけど。仮にだよ、一つの勢力に資金供給しよう。それが君の考えている使われ方をしなかった場合どうなると思う?」

 私は話す

「条約を破られた場合って事ですか?」

 総理は話す

「その通り、武器とかに変えて紛争が再開されてしまっては残りの二つの勢力は圧倒的に不利になるだろう。しかもこのお金は、死に活君がいろんな国から集めたお金だ。お金を渡すタイミングを間違えて紛争が再開されてしまっては最悪日本が責任を追及されてしまう。」

 私は話す

「じゃぁどうすればいいのですか?」

 総理は話す

「死に活君、紛争地帯に立て。」

 私は唾を飲み込んだ。簡単に言ってくれるけど私は一度経験している。死ぬ瀬戸際の居場所。もう行きたくないと心が言っている。

私は話す

「なぜですか?」

 総理は話す

「君が直接交渉してくるんだ。最後は君が責任を持て。」

 私は死刑宣告された囚人の様に、目の力が抜けて口が半開きになっている。正直国が全てやってくれるから、後は何もしなくてもいいと思っていた私が悪かったのか。それとも、この考えを出した総理が悪いのか、どちらにしろ行きたくないと凄く思った。

 私は話す

「交渉といいましても、最悪勢力の中に入り込んで私が死んでしまったらクラウドファンディングはどうするのですか?」

 総理は話す

「死に活君には悪いけど、クライドファンディングの権利を国に預けてくれないか?」

 そう来たか、最悪のケースを考えての総理の決断だろう、しかしながら死ぬかもしれないけど行ってこいとは、総理も凄い決断をしたものだ。

国を守る事に焦点を合わせると私は必要ない状態でもクラウドファンディングの成功を成立させれる状態に持っていきたいわけか。悔しいが確かに理にかなっている。

確かに私が交渉に行くことで伝わる事があるかもしれない。しかしながら納得出来ない条件だな。私が行って仮に死んでもクラウドファンディングが大丈夫な状態って国にとってはいいかもしれないが、私だってここまでクラウドファンディングを育てた愛着がある。最後まで見届ける権利があるはずだ。

 私は話す

「すみませんが条件があります。」

 総理は話す

「なんだね?」

 私は話す

「クラウドファンディングの権利は渡せません。」

 総理は話す

「死に活君は日本が好きじゃないのか?最悪死に活君の身に何かあったら日本は危険な状態になるんだよ。」

 総理は少し不機嫌そうに私に話しかけて来た。私は話す

「私は日本より自分が好きです。私は自分が大好きなんです。なので死にたくありません。」

 私は死にたくないんだ、死に活と言って死に場所を探していた私が初めて生きたいと思っている。それは、私自身が積み上げて来た苦労が最後どうなるか見たいという、ただ一つの好奇心だ。私は自分の考えを曲げるつもりはない。私は生きたい。

 私は話す

「私は死に活です。死ぬ場所を探して旅をしてきました。私は旅の中で目標が出来ました。その目標がどうなるのか最後まで見届けたいのです。

 私は死ぬ気はありません。ですけど総理が言っている事も分かります。なので私は生きて帰って来ます。なのでクラウドファンディングの権利は渡せません。」

 総理は話す

「それは博打と一緒じゃないか。それだったら日本にいてくれた方がましだよ。」

 私は話す

「それは出来ません。私は時間が有限です早期決着を求めています。総理も一人の死に活のファンとして観ていて下さい。一緒に世界を変えましょう。」

 総理は頭を抱えて悩んでいた。そうだろう、そんなリスクのある博打打てるはずがない。賭けている物は日本だからな。

 悩んだ末総理が話し出す

「わかったこうしよう。私は全力で君が死なない様アシストする。仮に死んでしまった場合の話をしよう。三つの勢力が全て参加表明した時、死に活クラウドファンディングが自動的に行使されるようにしてくれないか?」

 私は話す

「それなら構いません。ただ、条件があります。」

 総理は話す

「なんだね?」

 私は話す

「カメラマンを三人雇って下さい。そして二四時間体制で私の中継を行って下さい。」

 私が考えた結果だ。なぜ二四時間体制かというと、殺し屋でも雇われて私が殺されてしまう可能性を未然に防ぐ為だ。国の為とか大儀がある人ほどそう言う事が出来そうで怖い。二四時間体制で中継が行われていれば、視聴者が私を守ってくれる。私が不自然に死んだ場合咎められるのは日本だ。私は自分の立ち位置を理解した上での発言だ。

 総理は話す

「分かったそうしよう。後ボディーガードも着けよう。国からの支援で動いていてボディーガードもいないとなると日本の印象が下がってしまう。」

 私は話す

「分かりました。お願いします。」

 総理は話す

「生きて帰って来てくれ。まずそれが第一だ。」

 私は話す

「中継楽しみにしていて下さい。」

 そう言うと私は家に帰り準備を始める











 第一五章 交渉

 私は準備を終えて空港にいる。前代未聞の中継となった。嬉しい事に総理は確実に私が死なない様に対応してくれている。

 中継は私がいつもやってるように携帯で撮影ではなく立派なカメラとカメラマン三人態勢。中継も動画サイトではなく日本のテレビのチャンネル一本丸ごと中継に使われている。要するに二四時間テレビで中継されているわけだ。私が軽く挨拶をした後聞いた話だが視聴率は八〇%を超えているそうだ。

 海外のメディアも同行していることで一つの群れの状態になっている。軽くスタッフだけで一〇〇人は超えているだろう。

 私はいつも通りガイドと合流する。

 ガイドは話す

「お前今回気合入ってるな。何人連れて紛争地帯に行くつもりだ。こんなに人が入って行くと警戒されるぞ。」

 私は話す

「しょうがない。こうなってしまったのには色々訳があるんだよ。」

 ガイドは話す

「的になっても知らんぞ。それより今から紛争地帯に行くわけだが何処から行くんだ?」

 私は話す

「まずはクライドファンディングに参加表明してくれた場所からだ、そこをベースキャンプに使わせてもらおう。」

 ガイドは話す

「わかった。行くぞ。」

 私達は車に乗るとまずクライドファンディングに参加表明してくれた勢力を目指した。先頭はボディーガードが走り私達は中間辺りを走行している。どうやら丁重に扱ってもらっているみたいだ。

 走行している間、問題もなく目的地に到着した。私は直ぐ車から降りると建物の中に走っていった。

 そう此処は、私が最初に訪れた場所アリーの勢力エリアだ。

 私は建物の中に入りアリーを探す。ガイドが遅れてやって来てアリーの居場所を聞いてくれた。

 私は嬉しくてアリーのいる場所へ駆け寄った。

 私は話す

「アリーがクライドファンディングに参加表明してくれたんだ。ありがとう。」

 アリーは私の顔面を殴り付けた。

 ガイドが止めに入る

「アリーどうしたんだ?」

 ガイドがアリーに話掛ける

 アリーが話す

「こいつが資金供給を絶った事でまともに飯も食えない日もあった。いつか来たら殴ってやるって思っていたのさ。」

 私は鼻血を拭きながら答える

「アリーごめん。でもこうするしか方法がなかったんだ。」

 アリーは叫んだ

「ふざけるのも大概にしろ。」

アリーはその後少し間が開いて話始める

「でも紛争が停まった事で喜んでいる奴もいるのも事実だ。金もなくなれば更に貧困状態になる。俺はだから仕方なく参加表明した。けどお前を殴ってやろうとはずっと考えていた。」

 私は話す

「ごめん」

 アリーは話す

「お前が頑張っているのは分かった。だから俺も殴って終わりにしようと思った。お前は残りの勢力に交渉しに来たんだろ。さっさと終わらせて俺達に未来をくれよ。」

 私は話す

「わかった必ず未来を作って見せる」

 アリーは話す

「此処を好きに使うといい。どうせここに来たのはベースキャンプを此処にする為に来たんだろ。」

 私は話す

「ありがとうアリー。」

 私はスタッフに此処をベースキャンプに使っていいと伝えた。その後私達はベースキャンプを設立して今日は就寝する事にした。

 私が殴られたシーンは動画で話題になっていると言われたが私は嬉しくない。あの殴って許してくれたアリーは寛大だって事が伝わっていないと思うからだ。

 紛争地帯にいるのに安心して仮眠が取れる、まぁこんなに人が要れば多少なりとも心強い物だ。最初はガイドと私だけだったからな。昔を少し懐かしみながら私は寝る事にした。ただ寝てる時もカメラが回っているのが少し嫌になった。

 翌朝私達は朝食を食べた後に、別の勢力エリアを目指した。交渉を早く終わらせるためだ。

 無事勢力地帯へ到着。最初のベースキャンプとは違いボディーガードが周囲を警戒している。それもそうだ、いつ撃たれるか分からないからな。私は、メガホンを取り出し話始める。

「こんにちは死に活です。クラウドファンディングの交渉に来ました。代表の方は返事を下さい。」

 私は同じ内容の事を話し続けた、すると一人武装した人がやって来て話しかけてくる。

「代表に会わせてやる。その代わり武器を所持している人間はここに置いていけ。」

 私はカメラマンとガイドを引き連れて、武装した人の言う通りにした。

 私達は、武装した人について行くと、建物の中に案内された。ここも崩れ落ちそうな建物だ、全員緊張しているがわかる。誰も一言も話さない。建物を上ると一つの部屋に案内された。そこには武装した人が二人、真ん中に座っている人が一人いた。

 多分座っている人が代表だろう。私は直観的にそう思った。全員マスクを着けており表情が分からないのがまた怖い。

 案内してくれた武装の人は話す

「連れてきました。」

 代表は話す

「お前が死に活か?」

 私は話す

「私が死に活です。お栄出来て光栄です。」

 代表は話す

「何しに来た?大体検討は付いているが聞いてやる。」

 私は話す

「私のクラウドファンディングに参加してください。私からの要求はそれだけです。」

 代表は話す

「いいだろう。」

 私は笑顔で話す

「ありがとうございます。」

 なんだ簡単に交渉出来たじゃないか。私は緊張が少し緩んだ矢先だった。

「バンッ」

 カメラマンの足が撃たれた。カメラマンは崩れ落ちる。私は、突然の出来事に硬直してしまった。

 代表は話す

「お前が集めた金全てこの勢力に送れ。さもなくば一人ずつ殺して行くぞ。」

 カメラマンの痛みに対する叫び声と、唐突な要求に私の頭は混乱状態になっていた。

 ガイドが話す

「あのカメラマン早く止血しないと死ぬぞ。」

 私は話す

「カメラマンを一時止血の為に外に出してくれませんか?」

 代表は話す

「お前が要求を飲まない限り出すつもりなどない。助けたければ俺の要求を受け入れろ。」

 どうする、当然要求を飲む事は出来ない。だからと言って交渉する時間もない。時間をかけてしまってはカメラマンの命が危うい。

 代表は話す

「早くしろ、次の奴が撃たれてもいいのか?」

 うかつだった、話が通じる相手ならとっくに参加表明してくれているはずだ。そんな事に気が付かなかった私が馬鹿だった。ボディーガードを連れてくるべきだったんだ。

 考えれば考えるほど答えが見えなくなっていく。

多分この状況は私が死ぬ以外この場は収まらないだろう。私が死ねば自動的にクラウドファンディングの権利は日本に移行する。代表は、私からお金を取り上げる事が出来なくなるだろう。だが私が死んだあと、ガイド達の保証も出来ない。

 私は皆に話す

「ごめん、私と死んでくれ。」

 ガイドは話す

「お前何を言い出す。頭が狂ったのか?」

 私は代表に話す

「私とゲームをしませんか?私が勝ったらクラウドファンディングに参加して下さい。もし負けたら、お金は貴方たちに上げましょう。」

 代表は話す

「俺は命令をしているんだ。ゲームなどやってる暇なんてない。俺の要求を受け入れろ。」

 私はガイドの隠している拳銃を奪い、球を全て取り出し一発だけ残してリボルバーを回した。そして自分の頭に拳銃を押し付けながら話す。

「強引なのは私も変わりません。ゲームは強制的に始めさせてもらいます。」

 私は引き金を引いた

「カチッ」

 どうやら外れたみたいだ、周りの人は私の奇行に対し黙り込んでいる。私は今、命を掛けた事で状況は変わった事を願う。

 私は、拳銃を代表に渡し話しかける。

「次は代表の番ですよ。」

 代表は話す

「ふざけるな。」

 代表はその拳銃を私に向けてきた。

 私は帽子を取り顔をペットペットボトルの水で洗い流した。

 周りはざわつく。私の顔はメイクが落ち女の顔に戻っている。

 スタッフが話す

「死に活さん女なんですか?」

 私は話す

「私は女だ。」

 周りの人は突然の事についてこれない。そうれもそうだ世間は私を男と思っていたからな。

 私は話す

「あなたが仮に、拳銃で私を殺したとしましょう。どうなると思います?

私は命を張ったにも関わらず、代表は自分の命が大事でお金を得る事も出来ずしかも世界的に臆病者として放送されてしまいますよ?

そうなったら世界の人から標的にされてしまうでしょう。」

 私がロシアンルーレットで命拾いした時点でこの勝負はほぼ勝っている。カメラが回っているこの状況下で代表がロシアンルーレットに参加しなかったらそれこそ臆病者だと世界は思うだろう。それも彼が今いるこの勢力下でも言えている事だ、女に負けしかも勢力の為に命を張れない臆病者として、今の代表という立場も危なくなって来るだろう。

 私は話す

「早くして下さい。こっちには怪我人がいるんです。」

 代表は頭に拳銃を突けて無言で引き金を引いた

「カチッ」

 代表も命拾いしたそうだ。私は拳銃を受け取ると引き金を引く。

「カチッ」

 私は無言で代表に拳銃を渡す。

私は思っていた。どうせ私が死んでも代表にお金は入らないなぜならクラウドファンディングの権利は渡しが死んだら日本が所有するのだから。こんなメリットの無いゲームに参加してしまっている代表は参加している時点で負けなんだろう。

代表は頭に拳銃を突きたて引き金を引く

「・・・・」

 代表は引き金を引いていない、体が拒絶しているだろう。指先が震えている

 私は話す

「代表早くして下さい。」

 代表は拳銃を下すと私に話す

「俺の負けだ。」

 私達は直ぐにカメラマンを車に送るよう指示を出した。カメラマンは運ばれ私とガイドと交代で来たカメラマンが残る。

 私は話す

「じゃぁ契約書にサインをお願いします。」

 代表は話す

「なぜ自分の為にならない事に対して命を張れる?」

 私は話す

「私の為ですよ。」

 私は笑顔で答えた

 代表は契約書にサインしながら部下に話す

「すまない、俺は代表として威厳を失っただろう。だけど、降りるつもりはない。責任が取れるまで代表として居させてもらえないか?」

 部下達は励ましの言葉を掛ける

「あんたが代表だからここまで来れたんだ。皆代表について行くよ。」

 サインが終わった後、代表から書類を受け取り私は話す

「必ずいい国を作りましょう。」

 代表は話す

「頼む。」

 私達は、車に乗りベースキャンプへ戻る事にした。戻っている道中ガイドが話す

「お前なんであんな無茶したんだ?」

 私は話す

「昔読んだ漫画でやっていたから真似しただけだよ。それに私は死ぬ気なかったし。」

 ガイドは笑っていた。

「相変わらずいかれてやがる。」

 私達は談笑しながらベースキャンプに戻った。

 私達は、ベースキャンプで朝を迎えた。食事をしている時、スタッフから連絡を受ける。

「死に活さん日本から連絡です。残りの勢力が参加表明して来たみたいです。」

 私は話す

「マジか」

 スタッフは話す

「本当です。多分ですがロシアンルーレットの映像を観て考えを改めたんでしょう。同じ事されてはたまったもんじゃないですから。私達が行く前に参加表明を提示してきたんでしょう。」

 私は話す

「じゃぁ帰れるのか?」

 スタッフは話す

「はい帰れます。」

 スタッフ全員歓喜を上げていた。怪我人は出てしまったが無事終わる事が出来た。本当に良かった。

 私は話す

「帰ろう日本に。」

 準備をして私達は日本に帰る事にした。短期決戦私が望んだ終わり方をしてくれて本当に良かった。



















 第一六章 契約

 日本に帰り私達は総理の元へ契約書を提出しに行った。

 総理は話す

「よくやってくれた。本当にありがとう。まさか死に活君は女性だったなんて想像出来なかったよ。」

 私は話す

「何かと紛争地帯に行くと女性だと不利な局面があると思いまして、男装していたんですよ。」

 総理は話す

「確かに、今の女性の姿の君を見たら私は紛争地帯に行けとは言えなかったね。」

 私は話す

「ですよね。男の方が有利な局面があるんですよね。」

 総理は話す

「折角三つの勢力から契約を取れたのにメディアは死に活君が女だったって事で一杯じゃないか。」

 総理は新聞をいくつかテーブルの上に置いた

 一面を私が女の姿の写真が載っている。

【平成のジャンヌダルク現る。死に活女だった】

【死に活実は女でしかも美少女】

 内容はざっくりこんな感じだ。私が女ってバレた事で、何か変化があるかって言われたら特に何もない。世間は騒ごうが私は私だ。

 私は話す

「いえ私がしたい事をしただけなんで気にしないで下さい。」

 総理は話す

「一週間後、各勢力に集まってもらい契約書の同意の元、クラウドファンディングの資金供給式を行いたいと思っている。もちろん参加してくれるよね?」

 私は話す

「もちろん。最後を観させてください。」

 総理は話す

「最後じゃないよ。始まりだよ。」

 私は話す

「そうでしたね。」

 総理は話す

「此処でやるからこのチケットを持って行きなさい。」

 条約の場所に入場する為のチケットだ。私は手に取り話す

「すみません。このチケット後一枚くれませんか?」

 総理は話す

「構わないよ。誰か呼びたい人でもいるのか?」

 私は話す

「はい。この旅を共に過ごしてくれたガイドを呼びたいです。」

 総理は話す

「あのガタイのいい人か、わかった持って行きなさい。」

 私は話す

「ありがとうございます。」

 私はチケットをもう一枚受け取り話す

「ではまた一週間後に。」

 総理は話す

「待ってるよ。」

 軽く挨拶を済ませて私は家に帰る途中ガイドに電話する

「ガイド久しぶり。」

 ガイドは話す

「おう有名人のお嬢さんじゃないか。」

 私は話す

「うるせえよちゃかすな。」

 ガイドは話す

「かなり美人って言われているじゃねえか。嬉しくないのか?」

 私は話す

「そりゃ嬉しいけど、今気を抜けない時期なんだよ。」

 ガイドは話す

「そうだな、とうとう来週だもんな。」

 私は話す

「ガイドも参加してよ。チケット貰って来たからさ。」

 ガイドは話す

「おっデートのお誘いかい?嬉しいね。」

 私は話す

「だから茶化すなって。いらないなら処分するけど。」

 ガイドは話す

「おいおい怒るなって。行くから捨てないでくれ。」

 私は話す

「待ってるよ、日本で。」

 ガイドは話す

「分かった日本で会おう。」

 電話を切ると私は家に向かった。式典だが、私は男の恰好で行った方がいいのか、それとも女の恰好で行った方が考えていた。まぁ家に帰って家族と相談しよう。私は家に帰った。

 当日、私は家で母と話をしていた。母は女の恰好で行った方がいいと言ったので女性用ドレスを着たが私はどうも馴染めないでいた。

 私は話す

「やっぱいつもの恰好に戻るよ。」

 母は話す

「折角女として生まれて来たんだからそれで行きなさい。世間にはもうバレているんでしょ。」

 そう私は、男装しすぎて女性らしい恰好が恥ずかしくなってしまったのだ。

 私は話す

「せめてスカートは止めてもいいかな?」

 母は話す

「駄目よ。女なんだから女性らしい恰好で行きなさい。」

 そうこうしているうちに、迎えが来る。

 私は話す

「やっぱ男の恰好で。」

 母は部屋に戻ろうとする私を強引に引き留めて迎えの車に送る。

 母は話す

「いってらっしゃい。」

 私は無理やり車に乗せられ、会場に向かうことになった。

 会場に到着、私は入り口でガイドと待ち合わせる事にしていた。

 入り口で待っているとメディアの人が押し寄せる。

「死に活さん写真撮ってもいいですか?」

「ロシアンルーレットの時の心境はどんな感じでしたか?」

「とても綺麗ですね。今度やるテレビに出演してくれませんか?」

 人だかりが出来てしまい動けない。私は苦笑いで対応していた。

 ガイドが気が付いたのか声を掛けてくる。

「おいこんな所でなにやってるんだ。早く行かないと始まってしまうぞ。」

 メディアはガイドに押し寄せる

「あなたが死に活の相棒のガイドですか?」

「あなたはどういう経緯で死に活と出会ったんですか?」

「彼女が女性とは気が付いていたんですか?」 

 ガイドも一躍時の人だ。私は今のうちに受付に走った。ガイドと目が合ったがウインクして困らせてやった。

 受付の人が話す

「チケット確認しました。二枚あるのですが、どなたか御一緒に来場されているのですか?」

 私は話す

「あそこで人に囲まれている外国人を入れてやってくれませんか?」

 受付の人が話す

「死に活様とガイド様ですね。かしこまりました。」

 チケットを渡すと金属探知機のゲートを潜り軽くボディーチェックが入った。流石厳重だな、中に入ると豪華な会場の景色が入ってくる。流石総理国を立ち上げる場所に相応しい会場を用意してくれたな。

 ガイドが時間差で入って来た。

 ガイドは話す

「とんだ災難にあったぜ。よくも置いて行ってくれたな。」

 私は話す

「私は女性なんでレディーファーストをさせてもらっただけですよ。」

 ガイドと談笑していると、ステージに総理が現れる。

 総理が話す

「皆さんお忙しい中お集り頂き誠にありがとうございます。現時刻を持ちまして式典を開催させて頂きます。」

 会場は拍手の波が覆っていた

 総理は話す

「では各勢力代表の方々に登場してもらいましょう。」

 総理が言うと、三人ステージに上がって来た。

 私が世話になったアリーとロシアンルーレットをした人と後は自主的に参加表明してくれた人だ。

 私ははしゃぎながらガイドに話す

「ガイド見てみろよアリーがいるよ。アリーが大統領になるんだよね。」

 ガイドは話す

「お前少し落ち着いて見ていろよ。」

 私は一人興奮していた。そして色々な出来事が頭を駆け巡り涙目になっていた。

 総理は話す

「では改めて死に活クラウドファンディングの内容を説明しましょう。

・条約一 重火器及び武器となる物の所持の禁止

・条約二 自衛隊の設立(条約1に対し特別、訓練の為、重火器の使用を許可する)

・条約三 子供達の義務教育環境の設立

・条約四 3つの国の1つが紛争を起こそうとした場合、残り2つの国が協力し鎮静すること。

 以上の事をクラウドファンディングへの参加条件とし、誓えますか?」

 三人は同時に話す

「誓います。」

 総理は話す

「では、この契約書にサインをお願いします。」

 三人はもくもくとサインを書いた。書き終えたサインを総理は持ち上げて話す。

「今を持ちまして某国の紛争が終わり、新たな国が誕生しました。」

 カメラのフラッシュで前が見えない。でもやり遂げたんだ。私は涙が止まらず笑いながら泣いていた。

 総理は話す

「では今回の参謀である死に活さんに一言貰いましょう。」

 総理は私を見る。いや聞いていない、前もって言ってくれればそれなりに言葉を考えて来たんだけど。

 私は、ガイドに背中を押されるとステージに歩いて行った。

 ステージに上がると、三人の勢力の代表いや今は大統領か、そして総理に軽くお辞儀をしてマイクの前に立つ。

 何を話そう。私は緊張して硬直していた。

 アリーが私に話掛けてくる。

「お前の今の気持ちを言えばいいんだよ。」

 肩を軽く叩かれた時少し落ち着いた。私は話す

「皆さんお忙しい中お集り頂きありがとうございます。私のクラウドファンディングは雲を掴む話でした。しかし多くの人の助けがあり、こうして成功した事を嬉しく思っています。

 たとえ雲を掴むような話でも、やってみれば出来る事だってあるんです。皆さんが今度無理だなって思った事に直面しても、チャレンジしてみて下さい。やらないとやるの違いは大きいと思います。私はやる事で幸いにも今回成功する事が出来ました。これから三つの国が出来上がり多くの苦労もあると思います。でも、皆で協力すれば素晴らしい国が出来ると思います。私はそんな景色を楽しみにしています。

 皆さんクラウドファンディングの協力ありがとうございます。本日は本当にありがとうございました。」

 拍手の音が私の体にビリビリあたる。

 総理は話す

「では建国記念パーティーを開催しましょう。」

 大音量のバックサウンドと共に、テーブルが各場所へ配置されて、一気にパーティー会場に変わった。

 私は、ステージから降りてパーティーに参加する。司会者など懐かしい人とも出会えた。夢の様なひと時は夜まで続いた。























 第一七章 終わり

 建国されてから一年、紛争地帯は紛争が終わり道路などの整備がされ国として順調に進んでいた。懸念されていた各国の確執も今は問題ないみたいだ。皆一生懸命国をいい物へ変えようとしている。未来を創る子供達も義務教育のお陰で元気に学校に行っているという。ボランティアの方々が先生をやってくれたりしているそうだ。多方面からの援助もあり全てが上手くいっているそうだ。

 国旗はひまわりが採用されている。私が動画で撮影した時、壁に描いたひまわりをリスペクトしてくれているそうだ。

 ひまわりの花言葉は、憧れ、あなただけを見ていると言うが、私は未来という解釈をしている。まぁ勝手にしているだけだから誰も分からない事だ。

 全ての事が終わった私は癌治療に専念することになった。と言ってももう助からないので余命を引き延ばしているだけだ。

 お別れの挨拶をしよう。私は携帯を取り出し中継する。

「皆さんこんにちは死に活です。」

 中継で映っているのは病室でベッドに座るか弱い女性の姿だ。

「皆さんクラウドファンディングの成功ありがとうございます。私はもう長くは生きる事が出来ませんのでこの中継を最後にしたいと思います。

 私は最初死のうと思っていました。死のうと思って踏み出した一歩が私の世界を変えそして世界が変わりました。

 正直私はまだ生きて、建国した国を訪問したいです。やりたい事が沢山出来ました。皆さんも悩み事やおっくうな気持ちになる事は多々あると思います。そんな時は、自分が普段やらない事をやって見て下さい。よくなるとは言い切れませんが自分の視野が広がる事は保証します。是非試してみてください。

 紛争地帯は某国だけでなく他にも発生している場所がありますよね。私はいつか全ての紛争が終わる事を願っています。

 最後まで観てくれた方ありがとうございます。私死に活今回を持ちまして終了とさせて頂きます。

 ありがとう皆大好きだよ。」

 私は満面の笑みで話した。

 その後、死に活の中継をされる事はなかった。

 看護婦が入る

「今から検査ですよ」

 私は話す

「今日の空は青いですね」

 いつか同じ空が平等に見れる日が来ることを祈って今日も私は治療をする。

 

 






読んでくれた方、ありがとうございます。

こんな自由な世界で不自由な生活をしている人がいると思いまして、書かせて頂きました。私の理想であり、現実になればなと思う事をぶつけた作品になっております。

人間一人でも、行動すれば可能性は無限大にあると思います。それが出来る出来ないは、個人差がありますが、行動する事に意味が生まれるそんなメッセージが入っております。

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