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家事って大変なんだね!

家事ってさあ、普通に生活してりゃできるもんだと思ってたよ。

こんなにしんどいもんだったんだ。

これじゃ、金がある人間は他人に頼むよなぁ。

うちの人らの給金上げたほうがいいんじゃないかって本当に思ったよ。






「すみません。家事ギルドに登録はこちらでいいですか?」


僕もね、ギルド登録は初めてじゃないけどね。

一応、聞いてみるよね!


「は、はい。こちらです」


カウンターの向こうから小走りでくるおかっぱの少女。

危なっかしいなぁ。

うわっ、こけた……ま、まあそんなに早く走っては無かったから大丈夫なんだろうけど。


「大丈夫ですか?」

声はかけるよね、いくら大丈夫そうでも。


「ひゃい、らいじょうぶでし……」


鼻を押さえながら答えてくるけど……

鼻から血がでてるよ……どんなこけかたしたんだ……


「すみません、お待たせしております。お客さまですか?」


横から、妙齢の女性が替わりにカウンターに入ってきた。そして鼻血少女は他の人に連れられて部屋から出ていった。


「ああ、いや。こちらのギルドに登録と斡旋をお願い……」


「シル殿では無いですか!うちのものが何かしましたでしょうか?」


あー……うん、僕を知ってる人もいるよね。


「違う違う。彼女らはとてもいい仕事をしているよ。そうじゃなくてね、冒険者も飽きてきたから、他ので生活の術を得たいんだ」


「え?シル殿は他のでも十分生活できるとおもいますが」


「まあ、そうなんだけど……家事って面白そうじゃないか……」


「シル殿?仕事は遊びじゃないのは分かってらっしゃいますよね?」


「そりゃ当たり前じゃないか。僕だって真面目に仕事をするよ?」


「……アイアン低級からになりますが……」


「そりゃ、当たり前だね!登録してくれるかい?」


「ええ、まあ……カードをお願いします。本当に登録するんですか?」


「はい! お願いします!」


「シル殿……なんですか!カード色がアイアンですが?えっ?」


「そうそう。商人ギルドがねぇ、なかなか上がんないんだよなぁ。新しいもの作って売って歩かなきゃだめかなぁ」


「まさか商人ギルドまで……いくつ登録されているんですか……」


呆れたように彼女はこちらを見てきた。

うん。ま、ね。


「えーっと……今五本だからここで六本になるかな?」


「なるかなじゃなくて……ああ、もう。カードを貸してください。登録してきます。あと講習会はきっちり受けてくださいね!」


「はーい」


講習会ねぇ。どんな事するのかな?


今期、新しく登録した人は僕を入れて四人。

一人は、夫を亡くして働かざるを得なくなった寡婦。

一人はようやく働くことを許可された幼い少女。

もう一人は、落ちぶれてしまった元商家の女性。



中途なのはそれぞれ理由があるという事。


うん。そうだね。人生何があるか判んないからね。


講習会では、雇われる時の契約の仕方から、仕事に関する約束事。

まあそうだよね。

ただの家事をするつもりで行ったのに、性的な役割を押し付けられても困るよね。

他にも、契約で掃除や食事の用意で行ったのに、洗濯から庭仕事までさせられても困るしね。

そういうのがして欲しければ、契約のやり直しを求めることが出来るって……

うんうん……まずはそういう契約のお話かぁ……


ん、次は見習いとしての期間だね。

ほぉ。見習い期間は安いけれど責任が求められないんだ……へぇ……


うんうん、あとは教育かぁ。やり方を習う事も出来るのか。

あ、そういえばうちに来ている子の中にも見習いっていたよね。

掃除の仕方なんかを習ってたのはそういう事か。

あれ?じゃあボクは自分ちで習う事になるのかな?


うーん。窓掃除なんてさせて貰えそうにない気がしてきたぞ。

面白そうなのに。


あ、料理とかもあるんだ!

ふんふん。料理を習う事も出来るんだ……

え?それって料理人になるって事?

あ、違うんだね。普通の料理を作る……普通の料理ってなんだろう。

厨房の賄のことかな……


どれもこれも、まずは習いたいよね!


で、これから何をするの?

面談?何?あ、今できる事の確認なんだね。


「出来る事?掃除?は一応した事が有るよ。えっと学院に通ってた頃に数度やったなぁ。あ、冒険者ギルドの初級依頼でもやったよ。床掃除と厠掃除。あんまり汚過ぎたからちょちょいとやって叱られたよ。いい思い出だね!料理……肉の解体したことが有るからそん時料理をしたよ!食後の後かたずけ?なんだいそれ?」



密度の高い講習会だなぁ。

うん、普通の生活の補助だからって軽くは見てないよ!


寡婦の彼女はすでに職にありつけたみたいだね。早いなぁ。

で、幼い少女は見習いとして商家に預けられることになったんだね!

良かったね。


で、僕と落ちぶれた彼女はしばらくギルド内での教育を受けることになったんだ。


なんでだろう……




シル!魔法を使うんじゃありません!そこは雑巾を絞ってですね……

まだ汚れは落ちて無いですよ。隅から隅まで……

シル!皮が厚すぎです。もっと丁寧に薄く剥いて下さい。


丁寧に扱わないと!ほら!これで割った食器は何枚目ですか!


シル……シル……


ボクは頑張った……

筋肉痛って久々に…… 痛かったぁ……



そして落ちぶれ彼女も、何か言われるたびに唇をかんでいたけど。大丈夫かな?












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