依頼修了
先日、やーっと解消できたパーティーは冒険者ギルドのギルマスから指名依頼されたものだった。
田舎から一人で出てきた少年が、近来珍しくスライムや掃除などの最低ランクの依頼を自分から進んで受けてきたからだ。
慎重なその姿はもしかしたらバケるかもしれないという期待からだったが……
最初は先に冒険者となったらしいツレのいう注意やアドバイスを聞き入れていったが、なれるにつれ直接攻撃できる自分を上にみて次第に注意を聞かなくなった。
受ける依頼も実力より上のものを選ぶようになり、パーティーで分けるはずの依頼料も、最後に討伐したからと自分優先になっていった。弓で羽を傷つけたり、脚を傷つけられて動けない相手であっても。
その上、狩れるものなら何でもとなり持ち帰る量も増えていった。得る金が増えたことにより、道具を丁寧に扱うこともしなくなった。剣も防具も手入れをするのではなく、買い換えていった。
少しずつ大事に扱っていたはずのマジックバックすら綻びが見えていた。
いくら注意しても聞かなくなってから、ランクアップの依頼を受けるといってきた。
もう駄目だなと思った。
やはり、帰って来たところで自分から解散を言ってきたから乗ってやった。
こいつ、やっぱり向いてない。
冒険者で稼ぐには、一にも二にも慎重さが必要なんだ。装備の手入れは自分の身を守るためには絶対なのにな。そこが分かんないんじゃ死ぬだけなのに。
まあ、ブロンズに上がってもすぐ落ちるから安心だな。
それ以上の依頼は受けられないからな。
一つ一つギルドには報告書を書き、それで僕への依頼は修了した。
まあ、子供の面倒をみるのも大人の義務かなぁと思ったからだけどね。
ちょくちょく色んな人に声を掛けてるのは見かけたけど。
成功はしないだろうな。
人を見下す癖をいつの間にかつけていたから……
ん?
それって、もしかして僕のせい?
いやいや……
まあ、途中で面倒になったのも確かだけど……
僕?
今は家事ギルドでお世話になっているよ。
掃除も極めれば大変なんだね。
使わない筋肉を使ってがんばっているよ。