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S警察署 刑事課 2
橋本がS警察署に戻ると、刑事課の課長が声をかけてきた。
「O区の科捜研から荷物が届いてるぞ。そこの引き出しに入れておいた」
橋本は礼を言い、自分の机に座った。その上には『パスワード解除が全て終わりました』と書かれたメモが置かれていた。
後でお礼の電話をしなければと思いながら、橋本は引き出しの鍵を開け、松村美々の携帯電話を取り出した。
松久保が自首したことにより、田鳥の事件は幕を引くことになるだろう。取調べで花火大会の件について話すのか気になるが、橋本でもこの先のA警察の仕事には干渉できない。そして事件の被害者が連続わいせつ犯の田鳥だ。田鳥が手にかけた少女達のために、報道も配慮されたものになるだろう。事件は静かに終息していく。
いや、と橋本は思った。まだ終わってはいない。この携帯電話を松村美々の母親に早く返さなければ。五年も前の画像だが、家族にとっては大切な思い出の品となるはずだ。駒井さんにもきちんと報告しなければ。さっきは事実確認のメールだけで済ませてしまったが、今夜にでも事件解決を伝えよう。松村兄弟にも改めて謝罪しなければ。
やることは多いなと思いつつ、橋本は美々の携帯電話にある画像フォルダのチェックを始めた。




