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冒険の準備

 「師匠!決めたぜ!やっぱり聖都アルフェンで聖騎士として働く事にする!」


 グランドール爺さんはこちらを見てため息を吐く。


 「・・・どうしてもか?そこに行けばお前の【神眼】の存在だけですぐに聖騎士の仲間入りになるじゃろう。だがな・・・」

 「分かってるって。利用されて終わるだけっだって言うんだろ?けどそれは違う。俺が利用するのさ」

 「はぁー・・・まぁ、よいわ。だが1つ条件がある。これは学園長ではなく、お前の師としての課題じゃ」

 「おう!師匠のおかげで俺の雑用魔法の腕はあがったぜ。感謝している。肉体を酷使する疲れる魔法だ。そんな師匠の課題とあれば喜んで受けるぜ」

 「へらず口を・・・黙っていれば可愛らしい子なんじゃがな・・・で、その課題なんじゃが、聖都アルウェンに行く前に光都オルレアに行き、神託を聞いて来い。それから身の振り方を考えても遅くはないじゃろ?」

 「光都オルレア?神託なんてできるの?」


 『神託(オラクル)』とは、神聖魔法の1つでこの世界から姿を消した天使、あるいは卵野郎(神)からお告げを聞いて、アドバイスを受けると言う魔法だ。それは当たったり、当たらなかったり。

 そもそもが占いに近いが、当たれば神託を受ける者が信心深い、当たらなければ信仰が足りない。そもそもお告げ自体がされない場合は『神託(オラクル)』を使った司祭の力が足りないとされている。よって司祭がそれを認めたくないが為、嘘をつく可能性もある。

 つまり眉唾もいいところの魔法だった。

 

 「安心せい。儂も『神託(オラクル)』なんざ信用はしておらんが聖女がつかう場合は信用できる」

 「聖女って・・・会うのも無理でしょ?」

 「儂の紹介書があれば大丈夫じゃ。それにお前は【神眼】持ち。神託を受けたいと言っても誰も咎めんじゃろ」


 聖女に会う事自体が難しく普段は王城の奥でひっそりと暮らしていて神託を受けるという事はまずない。

 いざという時に備え、聖気を高める為に祈りをただひたすらに捧げているという。

 いざというのは悪魔達が再び戦争を起こすかもしれないからである。

 1000年戦争の際に各地で天使、悪魔両陣営の拠点がいくつも作られた。それらは遺跡や迷宮という形で残っている。いわゆるダンジョンというものだ。

 近年、悪魔達が造った建造物の最奥部などで何かしらの力で空間の歪みが発生し、そこから低級の悪魔や魔物などが生まれているという報告が上がっている。悪魔達が戦争を起こすという事がにわかに現実味を帯びてきている。


 「うーん・・・けど、俺7歳だよ?行ってもなめられて終わりじゃない?」

 「大丈夫だと言っておろうが。それにこれも付ける」


 そう言ってグランドール爺さんは俺に蒼く光る石のペンダントを取り出し俺に渡した。


 「これって・・・」

 「うむ、学園生の卒業証である[抵抗の蒼玉(レジストサファイア)]じゃ。これを見せれば大抵の者は一人前として対応してくれる。レベルの低い冒険者などはただの宝石と思うかも知れんがの」

 「魔法使えないんだけど・・・?」

 「よいか?何度も言っているがお前は肉体強化系の魔法を高いレベルで習得してるという事になっている。実際それに近い。それに加えてお前の【魔眼】はそこらの魔術師が使う『魔力感知マジックパーセプション』より遥かに精度が高い。普通はどの部分にどれくらい魔力がこもっているかしか分からんからな。流れまで見ようとすると神経と魔力をすり減らすからの」

 「つまり?」

 「お主は一級魔術師を名乗ってもいいという事じゃ」


 ― 一級魔術師 ―

 それは立派な魔術師として認められたという事。

 最低でも1つの系統の魔法に熟達していなければ与えられない称号。それは学園の生徒と言えども例外ではない。


 「魔法を使えない魔術師の誕生って事か!」

 「まぁ、体裁の問題もあるじゃて。【神眼】持ちが魔法を使えないなどと有り得んことじゃからの」

 「うっ・・それを言われるときつい」

 「それで、光都オルレアには?」

 「ああ、行くよ。ここまでされたんだからな。師匠の顔を立てるぜ」

 「まったく・・・だが安心したぞ。まだ修学まで日数もある。それまではここにいるがいい」

 「ああ、ありがとう。それに俺も旅の準備しないといけないしな」


 光都オルレアは聖都アルフェンと同じ、ルドネイア教を主としながらも聖都アルフェンよりもガチガチの宗教に凝り固まっていない。というより聖都アルフェンは少し信心が行き過ぎていて狂信に近いものがあり、他の宗派や魔術師からは忌避されている。もっとも、それゆえか1000年戦争時の聖遺物や戦争画、碑文書など他国とは比べものにならないほど貯蔵されている。だからこそ俺が向かおうと思った理由でもあるが。

 グランドール爺さんの考えだと俺が光都に行ったところで【神眼】を見られても俺の意思を最大限尊重してくれる。聖都ならば自由にさせるようで裏でがんじがらめに束縛されるというのが聖都行きを渋っていた理由だった。

 なんだかんだで俺の事を心配してくれているのだ。



 さて、そんなこんなで街に繰り出す。

 金はグランドール爺さんが銀貨を数十枚渡してくれた。これだけあれば旅の用意はできる。


 「・・・で、なんでお前らもいるの?」

 「ん?飯をおごってくれるんじゃないのか?ネリーがそう言ったから来たんだけど?」

 「は?」

 「あんた園長からお小遣いたんまり貰ったんでしょ?別にいいじゃない」


 どっから情報を仕入れたのか、レオンとネリーが付いてきた。基本的に金は親が仕送りをしなければ全く余裕のない生活だ。学費、食費、住居費は税で賄われてるのだから当然だが。

 

 「あのな・・・旅用の衣服と保存食を買うだけだぞ?屋台の果物は少ししか買わん」

 「やっぱ買うんじゃねーか。少しでいいからよこせよ。学園の水で溶いた小麦と炒った豆なんざ飽き飽きだ」

 「言うな・・・あれは修行の一環なんだ。食事じゃない。・・・しょうがないおごってやるよ。それにお前らといるのもあと少しだしな」

 「そういや旅用の服とか言ってたわね、どういう事?」

 「ああ、後で言おうと思ってたんだが」


 あと少しで俺が卒業するという事、卒業後は宮廷魔術師にならず、魔術師ギルドにすら勤めないという事を伝えると2人は驚き声をあげる。

 

 「はぁ!?卒業するってまだ2年だぞ?俺らだって天才って言われてるけどあと2年はしっかり勉強しないといけねーのに」

 「あ、私は短縮してあと1年。レオンと一緒にしないで。けどユリウスが卒業するなんて知らなかった!私の方が早く卒業するけどゴメンねって1年後に言おうと思ってたのに・・・」

 「まぁ、俺はあの学園じゃもうあまり学ぶものが無いし・・・」

 「言うねぇ」


 魔法が使えないからな。学びたくても学べない。術式は大体頭には入れたが。


 「それでどうするのよ?」

 「ん、とりあえず光都オルレアに行こうと思っている。そっから先はどうなるか分からないけど、なるようになるだろ」

 「光都?なんでまた?」

 「いや、神託を受けようと思ってな。そっから身の振り方を考えるよ」

 「神託?また運任せな事をするな。司祭なんざ信用できねーぞ」


 俺もそう思う。けどグランドール爺さんが聖女を紹介してくれるって言うから、そこまでしてくれるなら断れない。言葉に出すとなんか女に飢えてるっぽいな。


 「うん、まぁね。けど全く無計画ってわけでもないよ。ちゃんと考えてる」

 「しかし羨ましいな。俺より先に冒険の旅にでるなんざ・・・って1人で行くのか?」

 「多分そうなんじゃない?師匠は仕事で忙しいだろうし」

 「・・・お前、確かに強いけど誰かと一緒に行った方いいぞ?光都に向かうキャラバンとか冒険者とか。最近魔物が増え始めたっていうし。何かあったら大変だぜ?」


 それは俺も心配してた事だ。治癒系の魔法が一切使えない俺は怪我をしたら致命傷になりかねない。

 

 「それもそうか・・・師匠に相談してみるよ。ありがとうレオン」

 「おう気にすんな。お前頭いいけどどっか抜けてんだよな」


 その後、俺とレオンとネリーの3人は買い物に付き合ってくれた。とうぜん果物も奢らされたが。

 レオンは光都近くの遺跡で珍しい宝が見つかったとかこんな魔物が出るから気をつけろとか、随分とはしゃいでいた。

 

 反対にネリーは暗い顔で俺の事を睨んでいた。よっぽど俺が先に卒業するのが気に入らないらしい。

 けどレオンも含めてなんだかんだで仲良くやってきたつもりだ。また何年後かに会いたいものだ。



 そして俺が旅立つ日がやってきた。

 見送りはグランドール爺さんとサシャリア先生と・・・


 「あのさぁ・・・なんでお前がいるの?もう授業始まっているんじゃないの?」

 「はぁ?聞いてないの?私も行くのよ。実務研修として特例で認められたの。なんで知らないの?」


 ネリーだった。実務研修なんざ初めて聞いた。

 グランドール爺さんは言うの忘れ取ったって顔をしている。サシャリア先生は相変わらず無表情だ。いや、珍しく口角が少しあがってる。


 「ちゃんとお師匠さまの許可の下行くのよ。一年実戦を通して魔力をあげれば一級魔術師として認めてくれるって。学校にこもってるよりもいい経験になりそうだから付いていくだけだらね。別にあんたが心配だから行くんじゃないの」

 「ああそう。まぁいいか。正直1人でちょっと心細かったんだ」

 「え、あ・・・そう、ユリウスはまだ子供だからね。感謝しなさい。素直なのはいい事よ」


 グランドール爺さんは一人旅は少し厳しいって事を伝えたら何とかするって言ってたけど、まさかネリーとは思わなかった。確かに天才魔法少女で多数の魔法を使えるが、子供なのは変わらない。

 しかもちょっと嫌そうだし。けどまぁ少し気楽になった。慣れしたんだ人と一緒にいるってのはいい。

 

 「ああ、ありがとう。これからよろしくな!」

 

 ネリーは顔をうつむけ黙り込む。え?そんなに嫌なら一緒に旅できるのか?そう思っていると、


 「おう、来た来た。こっちじゃ」


 振り向くと俺の後ろから筋骨隆々の大男が歩いて来ていた。青髪短髪。地肌が見える腕は無数の傷がついている。足音をさせず隙の無い動きは歴戦の武人を思わせる動きだ。

 こんな人はこの学園で見たことがない。いったい何者かと思うと、


 「俺の名はドラン・クーガ上級魔術師だ!お前がユリウスだな?グランドール師匠に頼まれたのでお前の護衛をする事になった。よろしくな!」

 「え?護衛?っていうか魔術師?にしては・・・っぽくないって言うか・・・」

 「ハッハッハ!皆がそう言う!見よ!このうごめく筋肉!躍動する肉体!敵がいるならばこの鉄拳の一撃で屠ってやろう!ちまちま魔法をうつなんざ雑魚のする事よ!俺が来たからには大船に乗ったも同然だ!」


 この人凄ぇ!もはや魔術師である必要はない。


 俺はこの先の旅に対して不安になるのであった・・・

今までPVとかユニークとかの仕様が分かってなかったんですけど、読んでくれてた人いたんですね。にわかでした。いや、ぺーぺーもいいところでした。

読んでくれている人がいる限り、細々でも続けていきたいと思います。

読んでいただきありがとうございました。


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