神話と謎
ほぼ説明文です。でもここまで読んでくれている人いるのかな・・・?
次の話からストーリが動き出します。
「ユリウス、何難しい顔してるの?」
そう俺に訊ねてくるのはネリー・ローズ。栗色の髪、小さい顔に大きな青い瞳、白色の肌、将来はきっと美人になるだろう。まだ11歳だが。
学園生活が始まってから2年と半年の月日が経った。もうすぐ新年度が近い時期だ。彼女は通常の学校を2年でなく1年で卒業したため他の生徒よりも1つ年下で入学してる生徒だ。いわゆる天才というやつだ。
俺も7歳になった。魔法学園は魔術師ギルドに付属して建てられている為、蔵書庫には一般の魔術師も出入りする場合がある。運悪く偏屈な奴と鉢合わせるとさっさと追い出されてしまう場合がある。
だが俺は蔵書庫の主という通り名を得て、ジロジロ見られて終わりという程度になった。たまに嫌がらせで読んでいる本を、自分が使うのでよこせ!と、取り上げられる場合もあったが。魔術師はいかんせん性格がひねくれているのが多い。グランドール爺さんに言わせると俺の歳で学園にいる事自体が嫉妬に対象になるんだとか。
2年経っても相変わらず魔法は使えないんだけどな!なんとか新しく覚えたのが『土変化』と『空気変化』、なんとか四大元素は制覇した。基本中の基本だけど。
蔵書庫は授業以外では俺の定位置と化している。ネリーはちょくちょく来ては俺にちょっかいを出してくる。どうやら自分が飛び級でこの学校に入って優越感に浸っている所に俺が来たので僻んでいるらしい。
「ちょっと聞いてるの?!」
「ああ、聞いてる」
「進路の事考えてるの?」
魔法学園は基本的に10歳から14歳までで、この世界は14で大人として認められている。つまり4年間で知識と魔法を学ぶが、俺は魔法はともかく知識に関してはこの2年で完璧になっていた・・・というより知っていた。
まず分かりやすいように基本となる神話を初めから俺の推測も交えて話すと・・・
-天使と悪魔の争いに関する神話―
この世界は昔、聖霊が満ち溢れている穏やかな大地、決して無くなる事のない果実をつけるマナの木があり、天使と悪魔は仲良く平穏に暮らしていた。
そこに突如、災厄の芽といわれる【原初の人間】が突如現れた。原初の人間は悪魔達に言葉を授け悪の心を与えた。
そこで天使達は聖なる言葉を創り、その力で悪魔達の心から邪を取り除こうとした。
しかし、それは叶わなかった。
原初の人間が天使と悪魔の主である神に触れ、怒りをかった。
その怒りは海を割り、大地を砕き、聖霊は散り散りになった。
原初の人間は神の怒りに直接触れ、塵芥すら残さず消えた。
そして神は怒りを鎮める事無くこの世界から姿を隠した。
地上に残された天使と悪魔達は初めは何もしなかった。神の怒りに触れ、力の大半を失ってしまった。
そこで天使と悪魔は眷属を増やした。
天使は聖霊に祝福を与えた。それらはやがてエルフやドワーフなどと呼ばれるようになった。
悪魔は聖霊を創り変えた。それらは醜い鬼や獣となった。
そして戦争が始まった。それは苛烈を極め長きに渡った。両陣営が疲弊していたところ、またしても人間が突如現れた。
この人間達は【光闇の人間】と呼ばれた。ある者は天使に、ある者は悪魔に味方した。
天使に味方した人間達は技術と知識を、悪魔に味方した人間達はより凶悪な魔物を創りだした。
天使と人間が交わり、その子孫達が繁栄していく。
悪魔と人間が交わっても、子はできなかった。
半神半人の人間達が徐々に勢力を広げていく。そして争いが起きてから1000年経つ頃に突如戦争は終結した。
悪魔はもちろん、勝利した天使も消えた。
それは悪魔をも倒し、神の怒りをかった人間を恐れたからか、あるいは愛しい子孫達を見守るためか、それは分からない。
人間は罪があるという事を忘れて生きてはいけない。
人間は神の怒りをかっているという事は忘れてはいけない。
これがこの世界の神話だ。少し要約してるがな。
これから察するに・・・【原初の人間】は俺だ。マナの木の果実ってのも俺がそれしか食うもんが無いからバクバク食ってた実だ。で。【光闇の人間】は恐らくは前世の実験に参加してた奴らだろう。別な文献で見つけた光闇の人間の名前のいくつかが一致してたしな。
けど、謎が残るんだよな・・・まず俺があの卵みたいなの、神話だと神になってたが、俺が触れるまでよく分からないから放置されてただけっぽいし・・・あれが神だったなら名前を付けないとな。卵野郎で決定だ。
それに天使と悪魔って最初から区別があったわけじゃない。俺が卵野郎に触れてからだ。明確な区別がついたのは。俺はすぐに死んだから全員確認してないけど。
そうすると悪魔に俺が言葉を教えたってのはともかく、天使が言葉を創ったてのがよく分からん。
俺があいつらに教えたのは日本語と英語。普段は英語で話すようにって言っといたから、それがあそこでの共通語になっていた。白人さんとかが流暢な日本語を話すと違和感があって嫌だというのが英語を使わせた理由だ。
だけど今の世界の共通言語は日本語が少し変化したものだ。おそらく後からこの世界に転移してきた【光闇の人間】が日本語しか話せなかったからそっちにシフトしていったんだろう。そして古代語魔法に使われている文字は日本語の平仮名と片仮名、そして漢字だ。共通言語は難解度を下げるためなのか全部平仮名と片仮名で構成されている。古代語魔法を覚えるのに漢字を覚える必要があるが、当然俺は知っていた。意味が変わってる文字もあったが微々たる問題だった。
ついでに神聖魔法に使われる言語と文字は英語だった。これは魔術師は知識の為に覚え、宗教関連の司祭などは祝詞をあげるために必須だった。当然俺は知っている。前世はバイリンガルだったからな。
つまり大半の人が苦労する部分を俺は省略できたわけだ。
そうなると、神聖文字は天使が創ったってのは嘘で実際は俺が教えた言語。じゃあ悪魔が使ってる言語って何?ってなるわけだけど・・・両方同じ言語を使ってるけど、聖ルドネイア教の奴らが布教するために虚実を混ぜたんだろうと結論づけたいが、悪魔特有の言語というか通じる言葉があるらしい。これについてはこの蔵書庫ではそれらしい本は見つからなかった。
あと俺は卵野郎の怒りに触れて死んだってのも謎。コアトリアとファストールに顔を裂かれて死んだからな。あれは痛かったぜ。ついでに言うと文献を漁ってるうちにファストールの名は天使軍に散々苦汁を舐めさせた大悪魔として名をちょくちょく見たが、コアトリアは一切出てこないんだよな・・・できればもう一度会いたいものだ。
それに聖霊!多分あのフワフワしてた丸いオーブみたいなやつだろ?あれが妖精とかに変わるの見たからな。創り変えたとか何とか書いてあったけど勝手に変わった気もする。改良くらいはしたのかもしれないけど。
けど、そのまま聖霊ではなく精霊として変質したものが多数だったんだろう。
この世界は【光】と【闇】の2大精霊と【火】【水】【土】【風】の4精霊によるマナで構成されている。
光と闇だけ別なのは、それ単体の属性とは別に、火、水、土、風の4属性それぞれに干渉して力を加えているので6元素とはせず、あえて分けているらしい。
【光】を主体とする神聖魔法
【闇】を主体とする暗黒魔法
【火】【水】【土】【風】を主体とする四元素魔法
ちなみに、古代語魔法とはは四元素魔法を中心に光と闇の力を加える魔法体系だ。けどどちらかと言うと闇よりかな?だから聖騎士連中からは胡散がられる。
ちなみに、俺がこの学園で最初に必死に覚えたのは精霊に含まれる意味だ。こればっかりは無知だったので厄介だった。
【光】
『陽の真言』[光][太陽][正義][輝き][信仰][栄光][信頼][謙虚][誠実][健康][純粋][英雄][誕生][祝福][福音][勇気]
『陰の真言』[妄信][裏切り][虚栄][不正][反感][高慢][狭量]
【闇】
『陽の真言』[月][永遠][再誕][再生][安らぎ][決断][好転]
『陰の真言』[真闇][悪魔][死][恐怖][苦しみ][離別][誘惑][絶望][不幸][呪怨][病気][忘却]
【火】
『陽の真言』[火][炎熱][爆発][情熱][知識][加速][鍛冶][突進][愛情]
『陰の真言』[火事][暴動][消極的][険悪][空回り][束縛][崩壊][傲慢]
【水】
『陽の真言』[水][海][氷結][癒し][治癒][凪][恵み][美貌][母性][清潔][冷静][抱擁]
『陰の真言』[時化][淀み][腐敗][嫉妬][豹変][窒息][渇き]
【土】
『陽の真言』[大地][豊穣][平穏][希少][雄大][発酵][発見][忍耐][堅牢][堅実][頑強][不動][変質][安定]
『陰の真言』[憤怒][疫病][災害][閉塞][怠惰][頑固][朴念仁]
【風】
『陽の真言』[風][嵐][恋愛][直感][自由][清涼][迅速][活発][旅]
『陰の真言』[変心][奔放][欺き][秘密][暴嵐][竜巻][好色]
こんなんだったかな?魔術師のランクは上から順に、
魔導師、上級魔術師、一級魔術師、二級魔術師(徒弟)となっている。
魔導師と認められるには現存する魔法体系に存在しないオリジナルの魔法を創りだす必要がある。
その為に真言の意味を理解してないと上手くできないらしい。ただしオリジナルの魔法を創る為にどういったイメージか、それに最適化された呪文の詠唱と動作を魔術師ギルドに寄贈して認められる。
自分のオリジナルが広まるのを嫌がって申請しない魔術師がほとんどらしく、実質、上級魔術師がトップとして認識されている。
つまりこれらの元聖霊が存在するので、それらを触媒として魔法が使えるという事だ。
しかし・・・腑に落ちない。他の天使や悪魔連中はあの世界で俺が見知ってる名前が文献に出てきた。ワイズマンなんて呪文の基礎動作の動きがまんまワイズマン体操だったからな。きちんと承継されてて笑ったもんだ。生まれ変わっても見る事になるとは思わなかったぜ。
だがコアトリアだけがいない。それに戦いに勝利した天使達が消えたのも不明。卵野郎の事なんかもっと意味が分からん。それと他の研究所連中が転移してどうなったのかも気になる。
文献を読む限り、少なくとも1人はいまだに存在してるかもしれないんだよな・・・
さて・・・どうしたもんか?
俺はもうこの学園は2年短縮で卒業になる。
対外的には身体強化系の魔法を高いレベルで習得している事になっている。
このまま、ここに居ては謎は解けない。
俺は・・・できればコアトリアだけがいない事の謎を解きたい。美人で結構好きだったしな・・・
ついでにあの卵野郎も探してやる。神話どうりなら俺にムカつき過ぎてふて寝してるらしいからな。関節的に俺を殺してくれた礼も言ってやらないとな
そうと決まれば・・・
「ちょっと!本当に聞いてるの!?」
「え?ごめん。何が?」
「・・・もう、知らない!」
ネリーがプリプリしながら去っていく。
「あいつ・・・そんな怒るなら俺のところに来なきゃいいのに・・・」
俺はクスりと笑うとグランドール爺さんの所に向かった。




