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プロローグ 後編

 よく分からないが変な所に飛ばされたものだ。ここは地球ではないどこかだろう。最初に会った人とコミュニケーションを取ろうと思ったが言葉が通じない。どうしようかと思ったら脳内に直接意味のある言葉が響いた。念話の一種だと思う。色々と会話をすると自分の知らない世界だと気づく。

 まず、彼女とその仲間がいたのだが言語というものを持っていなかった。直接相手と会話できるので必要なかったのだろう。俺はどうも念話というものが苦手・・・というか、聞く分にはいいがこちらが伝えようとすると物凄く疲れるので自分の知ってる言語、日本語と英語を教えた。

 最初は、少し会話が出来ればいいと思ってる程度だったが彼女らはもの凄く飲み込みが早く、あっという間に取得してしまった。今や読み書きだってできる。


 二年くらい経っただろうか?ある日彼女から散歩のお誘いがあった。


 「君、ちょっといいかい?今日はちょっと見せたいものがあるんだよ」

 「ああ、大丈夫だよ。けどここにあるものは大体見せてもらったと思うけど?」


 そう言ったのには理由がある。俺が飛ばされてきた場所は変わっている場所だった。

 1日では回りきれる広さでは無かったが、1か月もあれば外周を1週してしまう広さの島。

 だが、ただの小さな島という訳ではない。空中に浮いているのだ。どういう原理か知らないがこれには俺も驚いて自分は死んで夢でも見てるんじゃないかと思った。けれどもそうではなく、それがここは地球ではないと俺に悟らせてくれた要因でもある。島の外から下界を見下ろすとそこには大陸や島なんかはなく、海が広がっているのみだ。

 

 「んん、ちょっと異質なものでね。君がこちらに転移したちょっと前に空から降ってきてよく分からないけど私とかに無い力があるんだよ。何か関係があるかと思って見せようと思っていたんだけどね。君の教えてくれた言語という概念が面白くてすっかり忘れてたよ」

 「空から・・・?隕石か?」


 日本でも隕石が落ちてそっから変な超能力者がでる現象が出た。それと同じものだったなら俺がこの世界に飛ばされた原因が分かるかもしれない。

 この世界は俺の持っていた超能力の力が増幅して使い勝手がいい。ついでに言うと彼女・・・名前はコアトリアと言う。コアトリアとワイズマンと言う変わり者。あと口の悪いファストールと言う人物に力の使い方を教わった。・・・というよりは何を気に入ったか知らないが勝手に教えてきてくれた。


 ―もっと強くイメージしないと・・・君は下手だなぁ。―


 ―儂の考えた体操をすればすっきりして使いやすくなるぞ?やってみ?―


 ―お前は実に興味深い!俺と一緒にいればもっと面白い遊びができぞ?―


 などと言ってアドバイスやら、変な体操をやらされたりしたわけだ。ファストールのやつは能力を使って俺に対して苛めをしていたが、それに対抗してるうちに俺の力もちょっとしたものになっていた。

 ここの住民は100人もいない。けど全員が超能力を使えた。

 初めはここの住民は天使かなんかかと思ったが外見上は俺と同じ普通に人。変わっているのが彼らの周囲をウロウロしているペットだった。さわっても触れている感触はあるが、持ったり掴んだりはできない。餌の必要もない変わったものだった。

 コアトリアが言うには自分たちは気づいたらここで生活していてペットもいた。との事だったが本当かどうかは知らない。ファストールの奴が本当か?とコアトリアにニヤニヤしながら口出ししてきたからだ。ファストールは不良っぽい感じでコアトリアと顔を合わせるといつもケンカしていた。


 道中、ワイズマンが相変わらず体操をしていた。俺はそれをワイズマン体操と言っていたがヨガっぽい感じだ。実際にやるとスッキリする。そのあとで能力を使うと確かに普段より上手く力を使えるようになるが結構めんどくさかったりする。

 コアトリアに案内されたところは島の最南端に位置する森の中だった。ここはファストール本人とその仲間、いわゆる不良連中のたまり場になっている所だから俺はあまり近づかなかった。元走り屋で反社会行為はやってたがスピードが出すのが楽しかっただけで暴力はむしろ苦手だったからだ。不良って言ってもちょっと悪ぶっている、というか口が悪いってだけで基本的にはいい奴らだけど。


 この島の人達はあちこちに生えている木々に生っている果実を食べて生活し、家は山や大岩をくり抜いて穴ぐらで生活をしている。不思議なのは果実は木から取ってもすぐに実をつけ、無くなるということはなく、栄養の吸収率が100%なのか排便の必要もなかった。もっとも、俺は小の方だけは出さなければならなかったが、ここの住民はそれすらもしなかった。やはり造りが少し俺とは違うのだろう。よって働く必要ななく皆好き好きに過ごしていた。

 文化などは無かったが、争いも無くせいぜいが口喧嘩、ゆったりとした時間を平和に過ごしていた。


 「ここだよ。これ・・・どう思う?」


 俺の思っていたイメージと違った。日本で研究対象になっていたもの外見が異なっていた・・・というより隕石とは似ても似つかない。例の隕石よりも二倍程でかく、卵のようにつるっとしていた。

 こちらに飛ばされる前に隕石を透視した際のあの奇妙なものが脳裏にちらつく。


 「ええ・・と、透視をすればいいんじゃないか?割るとか?」

 「それが私も含めてここの人達は全員が無理でね。君ならもしかして何かできるんじゃないかと思ってさ」


 どうやら透視は不可、全員で割ってみようと思ったがあまりにも固くて無理だったらしい。それなら俺も無理じゃないか?と思う。コアトリアが俺の家を作る際、素手で岩を掘り出して穴を作ったからだ。

 これも当然俺とは違うなと思った部分で、超能力の『身体強化』はそれほど強化されるわけじゃない。俺はせいぜいが素手で木を殴っても痛くないとかそのレベルだ。やはり元から造りが違うのだろうと考えさせられる部分である。ちなみにここに飛ばされる際に敗れた鼓膜は彼女が治してくれた。

 

 「・・・いやぁ、コアトリアに無理なら俺じゃ何もできないだろう・・・まぁ、透視くらいはしてみるよ」


 そう言い、透視しようと近づき卵みたいなのものに触れる。

 

 ―その瞬間―


 卵にヒビが入った。俺は驚いた。卵にヒビが入ったことではなく、俺の周りで起こった現象について。

 太陽が明るい白色から禍々しい黒色に変色し、木々が歪に変容していく。島中に点在していた住民のペット・・・俺の近くにいたやつらも丸いオーブ状のものから形を変えていく。俺はそれを見たことは無いが知っている・・・手のひらサイズの羽の生えた人間。人間サイズの巨大トカゲ、ただし前足の部分は羽が生えている。

 日本で昔やったゲームや漫画なんかに出てくるお馴染みのやつだ。


 「・・・う、あ、あぁぐぅうっっ!!」

 「コアトリア!」


 コアトリアも変容していた。俺とそっくりの人間ではなく真っ白の大きな翼が生え始めている。

 そこに森の奥から黒い蝙蝠みたいな翼を生やした人物が近づいてくる。


 「・・・ファ、ファストール・・か?」

 「ああ、俺だ。ちょっとびっくりしちまったがな・・・これはお前がやったのか?」

 「いや、よく分からない。この卵に触ったら・・・」


 そこでぐらりと地面が揺れる。亀裂が入り大地が割れていく。この島のあちこちが下界に落下していく。

 その落下に俺は飲み込まれていく・・・


 「離さねぇぜ!やはりお前は面白い!このつまんねぇ場所も飽きあきしてたんだ。俺と一緒に楽しい世界を作って行こうぜ!他の奴は舎弟だがお前は相棒として評価するぜ。なんせこんなデカい事をやらかしてくれたんだからな!」


 ガッ!と飲み込まれる寸前でファストールに掴まれる。場所と体勢からかファストールの手は普通ならば掴まない所を掴む・・・俺の右の眼窩を。


 「ウアアアアアアアァァアアッッッ!!!!!痛ぇええ!」

 「悪ぃな。許せ。ここしか掴めなかったんだ」


 残った左目でニヤニヤと笑いながら謝罪の言葉を述べるファストールを睨む。あまりの痛みにファストールの腕を両手で離そうと掴む。離すことができれば下に落ちていく事が分かっていても。

 そこで信じられない事が起こった。残った左の視界が真っ暗になった。と同時に激痛が走る。


 「ごめんなさい・・・でも君をあちらに行かせたら大変な事になる気がする。だから絶対にこの手を離すことはできない」

 「ああん?嫉妬してんのか?こいつは俺の相棒だ。これから面白おかしく世界を創っていくんだからよ。邪魔すんな!」

 「今までは同じ人間だと思ってたけど、あの卵・・・もう下に落下してどこに行ったか分からないけど、あれは平穏を脅かす災厄が詰まってた・・・ファストール!君はそれに毒されている!」

 「お前なぁ、別にいいんだよ。何だって。俺はこの退屈な生活に変化が欲しかった。災厄?俺からしたら福音だぜ!大体お前だって背中から羽を生やしてるだろうが!もう戻れねーんだよ」

 「・・・私はまた今までの平穏な日常を取りもどす。その為にはこの変異をもたらした力を持つ彼を貴方に渡すわけにはいかない。」

 「ちげーだろ?馬鹿なお前がのんきにこいつにアレを見せなきゃ何も無かった。責任をこいつに押し付けて何とかごまかしたいだけだね」

 「そんなことは・・・」


 そんな会話を激痛と視力を失ったショックで朦朧とした頭で聞いていた。何でもいい・・・お願いだからどっちか手を離してくれ。両方に引っ張られて顔が痛い。

 

 ふと、痛みが消えた。岩を素手で砕く力を持つ者達が本気で俺を渡さまいと引っ張り合うのだ。当然の帰結。

 

 ―俺の顔は裂け、ここでの生涯を終えた― 


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