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「本物」のデレ炸裂

「何とも思ってないよ。沙織、篠宮隊長は会ったばかりだし、ただの仕事を教えてくれる人だよ」


 目の前に僕の喉なんかすぐに切り落とすことができそうな刃物がちらつく。

 僕はなるべく落ち着いて沙織に話すと、沙織の表情がパーッと輝きだした。

 そして、勝ち誇ったように病んだ笑顔で笑い出した。


「うひひひぃぃっwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww隊長残念wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww隊長の恋終了wwwwwwwwwwwwwwwwwwwオワタwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織はコンバットナイフをどこかにしまうと、僕を正面から抱きしめた。

 沙織の見た目よりも大きな胸にめっちゃ顔が埋まる。

 とりあえず、沙織の機嫌が良くなったので一安心だ…

 この豪邸内では何があっても、沙織のパパの力で闇から闇へ葬らされそうだからな…


「そうだろう、そうだろうwwwwwwwwwww差身は私の彼氏なんだからなwwwwwwwwwwwwwwwwww寝取らレーゼ残念wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 


 沙織は嬉しそうにそう言うと、清城京を縛ったロープを解き始めた。


「金髪リボンwwwwwwwwwwwww話しは終わったwwwwwwwwwwwwwwwwそろそろ自由になれwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織がそうしていると、天使が僕の前に来て真っ直ぐ僕を見つめ始めた。


「差身君、隊長に気をつけて。あのタイプは急にデレる…」


 何かを確信したかのように天使が言った。

 どうやら沙織達の中で「篠宮隊長は僕のことが好き」という意見で一致しているようだ。


「デレる?」


 デレる?あれかアニメとかの予定調和の中で、普段は隠している主人公への思いを急にヒロインがぶつけたりするやつか。

 つまりは僕のことを篠宮隊長が好きで、そのうちあの厳しい性格が反転し、僕にべったりしてくるとでもいうのか!?

 いやいやない、それはない。

 そもそも、篠宮隊長が僕に甘えてくるなんて考えられない。


「そう、デレる…心の中で爆発。デレは突然やってくる…差身君、リアル『寝取らレーゼ 旦那が留守の間に』が始まっても耐えられるの?」


 淡々と天使は語ると僕を無表情で見つめていた。 


 分かった…もうそのネタは良いんだ…

 おまえたち、なんで「寝取らレーゼ 旦那が留守の間に」ばかりに注目してるんだ!!!!

 僕がまるで年増好きの変態みたいに聞こえて来るから、そろそろそのネタやめて欲しいんだけどなあ!!!!! 


「差身!ISだ!ISのキャラはみんなデレるだろ!好きなのを隠してるとどんどん好きになって、そのうち気持ちが爆発するのだ!私達は隊長の『デレ炸裂!!』を懸念しているのだ!!!!」


 かなっちが良く分からない持論を繰り出してきた。

 何が「デレ炸裂」だよ…

 全くおまえたちの頭の中はどうなってるんだ!!!


「おいwwwwwwwwwかなっちwwwwwwwwwwwwwwwwwwおまえのデレが炸裂しているブログも差身に読んでもらおうwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織が病んだ笑みを浮かべながら興奮気味のかなっちにそう言うと、かなっちの顔が瞬時に真っ青に変わり顔に無数の縦線が現れた。

 目の瞳孔は開き口を開けたまま固まったかなっちは、自分を取り戻すと沙織に負けないように体を大きく見せながら反撃し始めた。


「おい!だから人のブログを読むのヤメロって言ってるだろ!!!!!犯罪なのだ!!!!」


 かなっちがそう言うと沙織はニヤリと気味の悪い笑みを浮かべ、机の引き出しから何かを印刷した紙を持ってきてかなっちの眼前にちらつかせた。 


「かなっちwwwwwwwwwwおまえのブログを1部印刷したwwwwwwwwwwwwwwwwwおまえの気になる人に話しかけてもらった内容を綴った語録集みたいのをここで声に出して読んでもいいか?wwwwwwwwwwwwwあああああっ!?wwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織がそう言うやいなや、かなっちは顔を真赤にしてその紙を奪い取るとグチャグチャに丸めて自分の鞄にしまい、カバンを両腕でがっしりと抱きしめた。   


「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!沙織!!!!!この家に火をつけるぞ!!!!!!おまえのネット環境を壊滅させるのだ!!!!!!」


 荒ぶるかなっちは目に涙をためながら大声で叫んだ。


 いつも通り沙織とかなっちがどうでも良いことで言い争っていると、開放された清城京がゆらりと近づいてきた。


「差身さん、私も同じ意見ですわ。私、今まで、差身さんを見ていたメス豚共を、後ろからずっと見ていたから分かるんです…隊長もメス豚の1人…同じ…私達の仲間…あいつも…あいつも!!!!せっかく差身さんと一緒にアルバイトできると思ったら差身さんを独占しやがってええええええええええっ!!!!!!」


 清城京の目には黒い影がかかり凶悪に光り始めた!!!


 駄目だ…どいつもこいつも「本物」が加速しすぎてどうにもならない。

 天使だけは一見おとなしくぼーっと立っているように見えるが、僕には分かる…天使の頭の中がスーパーコンピューターでも勝てないくらいに超高速で回転していることを!!!!

 

 まだ、本物たちの「会議」は始まったばかりだ…

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