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「本物」のフィナーレ…しかしもう少しだけ続く

 その後、みんな大慌てだったが、騒ぎの割には工場内部の損傷は激しくなく、工場内の仕事は何とかいつも通り回っていった。

 割れた窓はダンボールやビニールシートで塞ぎ、破壊されていた器具などは取りあえず使えるように修理し、汚れて衛生状態が悪い場所は一斉に掃除してから殺菌した。

 それぞれがそれぞれできることを行い、作業できる状態に工場内を戻すと、いつもよりもピッチを上げてみんなが作業し始めた。

 これだけの人数で一気に連携して動けるのは、工場の結束力の強さだろう。

 僕も着替えてできることは手伝い、沙織達も仕掛けた爆発物などを片付けると、みんなと一緒に作業に加わった。

 外で倒れている反社会的組織の人達は沙織のパパが対処し、どうも騒ぎを見ていた近所の人達にも口止めをしたらしい。

 沙織が興奮してRPGが撃ち込まれた先は幸いなことに、どこかの倉庫だったらしく奇跡的に死傷者は出なかったそうだ。

 これも沙織のパパが闇から闇へと力づくで握りつぶしたんだろうね。

 そして篠宮隊長の指示で今朝あったことは他言無用だと工場のみんなに指示が出た。

 みんなそれにはすんなり従っているようだった。

 まあ、余計なこと喋って仕事がなくなっちゃったら、みんな困るだろうからな。


 そして、いつも通りではあるんだけど…やはり警察が来ることはなかった…

 この国の治安維持は一体どうなっているのか…

 警察も面倒なことには関わりたくないんだろうね!!!!!

 あとお金とか権力を持っている人が何かすると見過ごしてもらえるんでしょ!!!!

 本当にこの国は法治国家として成り立っているのか分からなくなってくるよ!!!!


 工場の作業が終わり、僕と「本物」達は篠宮隊長の所に挨拶に行った。

 僕達はクビになったわけだし、どちらにせよそろそろ工場でのアルバイトは終わりの予定ではあった。

 ちゃんとお世話になったというか、めっちゃ迷惑かけたから謝らないといけない。

 みんなで篠宮隊長を探すと、篠宮隊長は1人休憩室で休んでいた。

 

「篠宮隊長、色々ご迷惑をお掛けしました。本当に申し訳ありません」


 篠宮隊長に僕がそう謝ると「本物」達もしおらしく僕の後ろで頭を下げた。

 すると、篠宮隊長はおかしそうに笑った。


「いや、良いんだ。おまえたちが来て毎日楽しかったよ。私も反省すべき部分があるのも分かったし、この工場がさらに変わっていく良い切っ掛けを与えてくれた」


 隊長が怒ってないのが分かると沙織が病んだ笑みを浮かべながら前に出てきた。

 

「隊長も旅行に行こうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwちゃんと羽田から飛行機で南の島へ行くwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww貨物船ではないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織の誘いに少し驚いたような篠宮隊長であったが、若干自嘲気味に笑いながら首を振った。


「まだ、そんな余裕はないんだ。この工場がいつか完成したら一緒に出かけよう。その時まで駆け抜けないといけないんだ」


 篠宮隊長は何かを自分に言い聞かせるようにうなずいた。

 でも、それは悲壮感あふれるものではなく、希望に満ちたものであった。


 しかし良い感じで話がまとまりそうな雰囲気になってきたその時であった。

 沙織がなにもないはずの休憩所の天井を見上げた。

 嬉しそうに何もない天井に身振り手振りを加えながら、1人で何かと話していた。 


「分かったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww神よwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww好きにするよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 何かとの交信が終わった沙織は、何かを心得たようにみんなの方に向き直した。


「今神から連絡が来たwwwwwwwwwwwww本当のエンディングはここでは書かないから好きにしろと言っているwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwじゃあ隊長wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww今日はカラオケに行こうwwwwwwwwwwwwwwww工場バイトの打ち上げなのんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 それを聞いて篠宮隊長も「本物」達も喜んでいるようだった。 


「ああ、それなら大丈夫だ。カラオケなんて久々だな」


 篠宮隊長は快く承諾したが、僕は頭が一気に真っ白になった。


「おいっ!!!沙織っ!!!カラオケは止めるんだ!!!!」


 僕は沙織の肩をガッチリと掴み、沙織を全力で止めにかかった。


「なんでだ?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身もおかしなことをいうなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 絶対に解ってるくせに沙織は病んで笑みを浮かべながら素知らぬふりをした。


「著作権!!!著作権だ!!!!!!歌詞はやばいっ!!!!!もう終わりだ!!!!!この話は全部終わりだ!!!!!!」


「にゃんぱすwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww大丈夫だ差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwどうせ数ヶ月雲隠れしてからの夏に復活なんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww最後は好きにやらせてもらうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 ああああ!!!もう!!!!!!その「ニャンパス」だっていつまで勝手に使っていて良いのか分かったもんじゃないのに!!!!! 

 こんな狂った作品絶対に書籍化なんてするわけないよ!!!!

 好き放題やらかしてるだけで、絶対にこんなの小説、いやラノベですらない!

 何だか妙に読んでる人が増えてきたけど、作品を楽しんでるじゃないと思うよ!!!

 今まで見たこともない「本物」が溢れているから、怖いもの見たさで読んでるだけだと思うんだよね!!

 おい!神!おまえ、なんでこんな意味不明な狂った作品書いてるんだよ!!!!!!

 そもそもこれは一体何なの!!!!

 おもしろいつもりか?!おもしろいつもりなのか!!!!!!

 僕達は一体何なんだあああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!


「いざwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww『本物』のカラオケへwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww最高神れんちょんの歌などをwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織の目は黒い影がかかり凶悪な光を発した。

 もう駄目だ…そろそろ本当にどこかから怒られるかもしれない…

 逃げきれるか…リアルで逃げ切れるのかなあ!!!!!


「本物」達との宴が、今まさに始まろうとしていた。

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