「本物」の終結
「わかったパパwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww家に帰るよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwだから転校はさせないで下さいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は観念したのかすまなそうに頭を下げた。
沙織、これだけのことをして転校するしないで済む、おまえたち家族に何だか凄く問題ある気がするんだ…
多分これだけのことをしたら、死刑になってもおかしくない気がするんだよ…
少年法が根底からくつがえることをやってると思うんだよね!!!!
まあいいや、これで工場が爆破されることはなくなったし、ひとまずこれで終戦だな。
「よーし、良い子だ沙織。全部仕掛けたものは片付けなさい。急いでやるんだ」
沙織のパパは機嫌良さそうにそう言うと、小さな子供のように沙織は頷いた。
そして、他の残念そうな顔をしている「本物」達を見た。
みんなよほど学校のない世界へ行きたかったんだろうな。
かなりへこんだ様子であった。
「みんなあきらめるんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww学校なんていつだって破壊できるwwwwwwwwwwwwwwwwwwww今日は片付けて帰ろうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww南の島に遊びに行けなくなってしまうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
みんなをなだめた沙織は「本物」達に何か細かい指示をすると、それぞれが作業をするために散っていった。
沙織が片付け始めたのを下から確認した沙織のパパは、昨日僕達をクビにした事務所の偉そうな感じの人の所に歩いて行った。
「おい、お前が事件の元になったやつか。未成年者に重労働させておいて、労災の申請をしようとしたらクビにするってどういうことなの?挙句に反社会的組織で事件をもみ消そうとするなんてねえ。タダで済むと思ってるの?君のせいでこんなになっちゃったよ。んっ!?」
沙織のパパはニヤニヤしながら事務所の偉そうな感じの人に言うと、事務所の偉そうな感じの人は大変気まずそうに言葉をつまらせた。
「いえ、そういうわけでは…」
萎縮する事務所の男に沙織のパパは追い打ちを掛けるように睨みを効かせた。
「じゃあ、どういうことなのよ?分かりやすく説明して下さい。あなたこの工場に融資している地銀から来た天下りの人なんでしょ?全部調べたよ。これって銀行さんも関係してるってことなのかな?とりあえず社長さんを今すぐ呼んで。そちらの出方次第だが悪いようにはしない。儲かる話を持ってきたんだ。な、早く呼べ。分かったか?」
優しく言ったり言葉を荒らげたり誘導するように話を持ちかけたり、沙織のパパの話し方は聞いてるこちらも怖くなる。
何だか反社会的組織の人達よりも、反社会的組織っぽいですよ…
あっ!ぽいっ!っていうか、あなたも裏では多分そちら側の人間ですものね!
僕が想像できないくらいに、とんでもない人なんでしょ!!!!!
「社長は不在で連絡が取れないので…」
事務所の男もどうにもできないのだろう。
ただただ下を向いて、この悪夢が去るのを祈るばかりだ。
「そう、じゃあ、お前もこの工場も生きていけないようにしてやるよ。お前が元々いた銀行もタダじゃ済まないぞ。全部証拠はまとめてあるから、あとは表に出すだけにしてるんだけど良いのか?今回のことだけではない。お前達つまらない悪さをちょこちょこやってるみたいじゃない。工場も銀行も。なあ、『お前が呼んだ』反社会的組織の人間がこれだけ転がってるの見たら、警察はなんて言うかなあ?せっかくそっちも後かたづけしてやろうと思ったのに。いいんだな?」
矢継ぎ早に言葉で追い込んでいく沙織のパパ。
全く慈悲のない追い込み方だ。
事務所の男はガタガタ震えながら完全に何も言い返せなくなっていた。
「なあ、良く考えろ?私の言うことを聞いておけば、この工場でお前も老後の蓄えを今まで通りチマチマ稼げるわけだ。そんなに稼ぎを減らしたいのか?ひょっとすると前いた銀行からもらった退職金とかも没収されるかもしれないのになあ」
さらに沙織のパパが追い込むと、逃げ切れないと悟ったのか事務所の男は小さな声で話しだした。
「承知しました…少々お待ちください…」
事務所の男が恐る恐るそう言うと、事務所の方に戻ろうとした。
「私は忙しいんだ!早くしろッ!」
沙織のパパが事務所の男を怒鳴りつけると、足早に事務所の男は立ち去った。