「本物」のデレ爆発
考えても仕方ない。目立っちゃうけど、顔を出すか。
あとでちゃんと説明すれば、逮捕されたりしないだろう。
どう考えても出ない方が良いんだけど、話しをまとめきゃなあ。
僕は屋上の柵につかまり足が痛いのをこらえながら立ち上がった。
「篠宮隊長!僕は大丈夫ですよー!ちょっと折れてますが元気です!」
下から見えるように身を乗り出し大きく声を出すと、篠宮隊長がはっとした表情で僕を見上げ立ち上がった。
「ごめんなさいっ!差身!痛くなかった?」
心から奥底から搾り出されるような声。
篠宮隊長が潤んだ瞳で、僕を気遣うように叫んだ。
ああ…何というデレ。
何というハルヒ!!!!!!
そこには完成されたデレ。
完成されたかわいい篠宮隊長がいた。
こ…これは…凄くかわいいお姉さん…
凄く優しくて僕を守ってくれる感じ…
温かい気持ちが伝わってくる…
何だかドキドキしてきた…
落ち着け…落ち着け差身…
あああああ…おかしい…本当に何故僕は沙織と付き合っているんだ?…
どう考えても篠宮隊長と付き合った方が、真っ当で幸せな人生が送れそうな気がする…
少なくとも、M16A4を乱射することはないだろうしね!!!
デレッとした僕がデレた篠宮隊長に見とれて固まっていると、凄まじい銃撃音とともに目の前をM16A4の銃弾が何発も通過していった!!!
我に返りいつも通り反射的に後ろに倒れて、ぎりぎりで難を逃れた!
さすが僕!!戦場で身を守る術においてはトリプルSクラス!!!!
おい!!!バカ!!!!沙織!!!!
当たったら死んじゃうだろ!!!
おまえ、気軽に銃撃ち過ぎ!!!!
僕はずっと日本にいるから!しばらく南の島に隔離されててくれ!!!!
沙織は倒れた僕の前に出て、篠宮隊長に銃口を向けた。
「差身は黙ってろ!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwおいwwwwwwwwwwwwwwwwww隊長wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身に許してもらえると思ってるのかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww骨を折った痛みだけじゃないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww工場のために頑張ったのにクビにされた差身の気持ちを考えてみろ!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこんなものじゃ全然足りない!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwだから爆破するんだ!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は篠宮隊長に怒りをぶつけるようにそう叫ぶと、篠宮隊長は自分の気持ちを訴えるように沙織を見た。
「分かってる!許してもらえると思ってないっ!私の力不足なんだ!全て誤魔化したりせず真正面から取り組まないと何も変わることはない!新しい時代にあった工場に生まれ変わるにはこんなことでは駄目なんだ!」
篠宮隊長は語気を強めた。
篠宮隊長の工場に対する思いや真面目さが伝わってくる。
「ほおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwさすが隊長は良いこと言うなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwでも、違うだろ?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww隊長は差身に言わなくてはならないことがあるんじゃないのか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこのままだと差身は南の島に行ってしまうぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が病んだ笑みを浮かべながら何かを見透かすようにそう言うと、篠宮隊長は不安そうにガタガタと震え始めた。
な…なんだ…何が起きるんだ?
僕は何とか頑張って、もう一度起き上がり柵越しの下を見た。
工場にいる全員が篠宮隊長に注目していた。
「さ…差身!!!わ…わたし…わたしはっ!!!!!」
そこにはめっちゃ顔を赤らめて、僕を見つめている篠宮隊長がいた。