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「本物」の「真」のデレへ

「ニャンパスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww爆発だあああああああああああああああああああああああああああああああwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwやれえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織がそう発狂したように叫んだ時であった。


「おい!これは一体何が起きたんだ!!!!!誰か説明してくれ!!!!!」


 下から聞き慣れた声が聞こえてきた。

 それは篠宮隊長の声であった。


「本物」達もそれに気がついたようで、屋上の柵越しに下の様子を見下ろした。

 僕も足が痛いのを我慢しながら這いつくばって何とか下が見えるギリギリの位置までたどり着くと、まだスーツ姿で慌てた様子の篠宮隊長がいた。 

 何が起きたか全く分からない様子で右往左往している。 


 そりゃ、慌てるよな。

 出勤したら工場が壊されてるし、動かなくなってる人達がめっちゃ転がってるし、火薬の匂いも酷い。

 日本の市街地でこれだけの銃弾が発砲されたことなんて聞いたことないしな。

 まあ、その撃たれた銃弾のほとんどが、沙織が興奮して適当に撃ちまくったものなんだけどね…


 篠宮隊長は周りの人達から話を聞いていたが「本物」達が工場を占拠していると聞いたのか、驚愕の表情で屋上にいる「本物」達4人を見上げた。


「おまえたち!!!何でそんなことしてるんだ!!!!早く降りてくるんだ!!!」


 怒っているというよりは悲痛に満ちた声で篠宮隊長は叫んだ。


「もう帰るよwwwwwwwwwwwwwwwwwww工場爆破して南の島に行くんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww貨物船wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織が吐き捨てるように言うと篠宮隊長の顔色が変わった。


「爆破だと?おまえたち!!!本気で言っているのか!!!!!今日工場が動かなければどういうことになるのか分かっているのか!!!!!」


 明らかに動揺し始めた篠宮隊長を沙織は睨みつけた。


「そんなの知ったことかwwwwwwwwwwwwwwwww我々は昨日クビになったからなwwwwwwwwwwwwwwwwwwww昨日差身が仕事中に骨折したのに労災も適用せずにクビにした恨みは忘れないwwwwwwwwwwwwwwwwwwww隊長!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身があれだけ頑張って働いて骨折したのに都合が悪くなるとクビにするのかよう!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織がいつもよりも強く篠宮隊長に言い放つ。

 自分の中に溜まっていた心の抑圧を全部ぶつけるような激しく悲しい叫びだった。 

 

 沙織の叫びを聞いた篠宮隊長は急に真顔になり表情が固まった。

 篠宮隊長はしばらく動かなかったが、我に返ったように屋上を見上げた。


「おい!!差身は大丈夫なのか!入院したのか!差身はどうなったんだ?!」


 怯えたような表情で叫ぶ篠宮隊長。 

 心のゆらぎが如実に現れていた。


「隊長には関係ないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww工場が骨折した差身を見捨ててクビにしたんだろ!!!wwwwwwwwwwwwwwww安心しろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww隊長は2度と差身と会うことはないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身に許してもらえると思ったら大間違いだ!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


 沙織が僕のことを思って一生懸命言ってくれてるのを聞いて僕は心を打たれた。

 世の中、理不尽な目にあっても、誰も助けてくれないことは多いと思う。

 でも沙織は心の底から親身になって言ってくれている。

 良い悪いは別にして沙織の僕を思う気持ちが伝わってきた。


 いや、でもね沙織。

 多分許してもらえないのは、僕達の方だと思うよ!!!

 これって僕も沙織達の共犯者ってことになっちゃってるのかな!!!


「頼む教えてくれ!!!!昨日一体何が起こったんだ!!!!」

 

 篠宮隊長は切羽詰まった様子で沙織に叫んだ。

 沙織はそれを病んだ笑みを浮かべながら、返事をせずに静かに見下ろしていた。


 ああ…あんまり目立ちたくないんだけど、これは顔を出した方が良さそうだなあ…

 いつも通りではあるんだけど、沙織にどんどん巻き込まれていく。

 ここで顔を出したら牢屋に入っちゃうかもしれないけど、やっておかないと収集つかなそうだしなあ…   


「…やだっ、やだっ!!!怖いのっ!!!差身と会えないのはいやっ!!!!差身と離れたくないのっ!!!!!」


 うわあっ!ドキッとしたよ!!!

 あ、あれ?急に篠宮隊長がデレてきたぞ…

 こんな時に乙女チックモードで僕の名前を呼んでる。

 なんか声も涙声で普通の女の子っぽくなってるし、見た感じ様子がいつもと全然違っておどおどした感じになってるんですけど…


「差身!!!差身!!!わたし…わたしはっ!!!!」


 今まで頑張っていた篠宮隊長の心が折れたのだろう。

 自分で自分を抱きしめるように身を屈め僕の名前を叫んでいた。


 どうしよう、どうしうよう…これ出てった方が良いのか悪いのか…

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