「本物」の決め台詞、そして…
「うわああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
この世の全ての恐怖が襲いかかってきたような声を上げて男は落ちていった。
沙織はマッドサイエンティストが「偉大」なる実験を行っているかのような、狂気に満ちた薄ら笑いを浮かべながら落ちていく男を見下ろしていた。
他の「本物」達にどうってことないような態度で、男が落ちる様を見下ろしていた。
工場の下からも大勢の人達の泣き叫ぶ声や絶望的な叫びが聞こえてくる。
まさに阿鼻叫喚、本当に救いようのない地獄!!!!
ああ…こういう時ってめっちゃ全てがスローに見えるんだね…
しかしあいつら…人が何人死のうと、既になんでもない感じなんだろうな…
幼さゆえの冷酷さがこの事件を加速させてるんだろうな…
「具の餌となれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が落ちていく男に向かって狂ったようにそう叫んだ。
具ってあれか!のんのんびよりに出てくるれんちょんが飼っている狸のことか!
何が具の餌になれだよ!
具なんていないんだよ!!!!
もうアニメと現実を一緒にするな!!!!
具に食べさせたくても具もれんちょんもこっちの世界にはいないんだから!!!!
別なんだよ!!!アニメなんて2次元なんだよ!!!
あと沙織!!!これ以上のんのんびよりを見るな!!!!
これに気がつかれたら、絶対に神が書くのをヤメロって言われちゃうから!!!!!!
しかし、誰もが男が地面に叩きつけられると思った時、バンッ!という音とともに男の体が地面スレスレ!!空中で止まった。
何が起こったのか一瞬理解できなかったが、その理由は非常に簡単なものであった。
屋上の柵に男を縛り上げたロープの先を結びつけておいたのだ。
きっと沙織がいつの間にか手早くやったのだろう。
男はてるてる坊主のようにぶらんぶらんと宙吊りになっていた。
「ニャンパスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwいいか、覚えておけ!wwwwwwwwwwwwwwwwwww私達に逆らった奴がどうなるのかwwwwwwwwwwwwwwwww広めろwwwwwwwwwwwwwwww今日味わった恐怖に怯えながら広めるんだwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は宙吊りになっている男に向かってそう叫ぶと、肩に下げていたM16A4を手に取り男と柵をつないでいるロープに向かって連射した。
すぐにロープは千切れ男はドサっとアスファルトに落下した。
そして沙織はM16A4を柵に立てかけると、屋上においてあったRPGを手に取った。
おい…まさか撃つんじゃないだろうな…
ここからRPG撃つんじゃないんだろうな…
沙織は長い筒状のRPGの後ろの部分を肩に載せ、斜め上に向かって銃口を向けた。
そして何の迷いもなくRPGを発射した!!!!!
ズッッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!!!!!
轟音と同時にRPGの後ろの部分から白い煙が一気に吹き出す。
プロペラのような羽がついたロケット弾が火を噴き回転しながら飛び出していった。
多分特に目標はないと思う。
沙織はノリで適当に撃ったのだ。
そしてどこかに着弾したのだろう。
10秒位してかなり遠くの方でキノコ雲のようなものがモクモクと大きく浮かび上がった。
そして、それから2~3秒して大きな爆発音がこちらにも響いてきた。
うん、そうだね、いつも通りだ。
光より音の方が速さが遅いんだよね!
だからキノコ雲の方が早く見えるんだよね!!!!
着弾先のみんな!
大変だけど日本の病院は優秀だから、何とか生き延びて下さいね!!!!
沙織はRPGを満足そうに下に置くと、M16A4を手に取った。
そして、工場の下で見ている人達に向かって銃口を向けると、自信に満ちた病んだ表情で悠然と見下ろした。
それはこの世界の全てを支配した王の風格すら感じさせた。
今、沙織に誰もが逆らうことなどできなかった。
神々しい朝日が屋上を照らし始める。
この世の全てが沙織を讃えているかのように、沙織が光りに包まれていく。
美しい…それはまるで女神のようにキレイだった。
「私のことを忘れないように、24時間怯え続けろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は満足そうにそう叫ぶとニヤリと病んだ笑みを浮かべた。
はい出た!いつもの沙織の決め台詞!!!!
沙織…大丈夫だよ…こんなの忘れられるわけがないよ…
これからあの人も一生うなされて目覚める毎日を送るんだと思うんだ!!!
工場の人も近所の人も心療内科とかへ通うことになっちゃうんじゃないのかなあ!!!
「そろそろ工場を爆破して逃げるかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は銃口を下げると、一息つくかのように屋上から周りの景色をゆっくりと見渡した。