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「本物」の逃走ルート

「おい!!正面からじゃ狙撃される!!!生きてるやつ全員、裏に回れ!!!いろんな場所に回れ!バラバラに突入するんだ!!!」


 生き残っていた男達のリーダが立ち上がると、すぐに工場の裏手に回っていった。

 それを見て10名程度に減ってしまった男達の生き残りも急いで裏の方に向かった。


 あーあ、馬鹿だなあ。

 沙織はそうするように誘導してるのに…

 正面で酷い目に合わせて、残った人達が裏から入ってくるというシュミレーションをしているのだ。

 沙織から数を数えきれない程の襲撃を受けている僕には分かる。

 

 沙織を止めないといけない。

 僕は工場の入り口付近に倒れている男達を踏まないようにしながら、工場の入口を開き工場の中に入った。

 もう本当に足が凄く痛いんだけど…

 でも、この倒れている人達に比べたら全然大丈夫だから頑張らないとな。


 電気すらついていない暗い工場の中に入ると、案の定何も起こらなかった。

 やっぱりだ…

 さらに裏に仕掛けた罠で人数を減らし、それでも中に入ってきた者は個別に殺すつもりだ。

 僕は屋上に向かって歩き始めた。

 

 工場の階段を上がっていると、裏手から男達の叫び声が聞こえてきた。

 そして窓が割れる音も聞こえてきた。

 何人かは工場の中に入ってきたのだろう。

 

 誰か死んでないと良いんだけどなあ。

 でも、誰か死んだとしても、沙織のパパが始末しちゃうんだろうなあ。

 とりあえず、急ごう。

 時間が経つにつれ、状況が悪化していく。

 

 折れた足を引きずりながら急な階段を上がっていくと、天使とかなっちに出会った。

 やっぱり沙織と似たような真っ黒なゴスロリ服を着ていた。

 かなっちはトランシーバーのようなものを持ち、天使はテイザーガンを手にしていた。


「差身君、骨折しているのにどうして工場にいるの?」


 天使が無表情で僕を見上げた。

 かなっちも驚いた顔して僕を見ていた。

 おいおい、どうして工場を占拠してるのか聞きたいのは僕の方だよ。


「みんなが心配だから見に来たんだ。天使もかなっちも帰ろう。もう工場も十分酷い目にあったよ。みんなに謝って帰ろう」


だがしかし、僕がそう言っても2人ともうんとは言わなかった。


「駄目なのだ!工場が差身に謝るまでみんなで戦うのだ!」


 かなっちが目に涙を浮かべながら声を上げた。


「かなっちもこんなことしてたら警察に捕まっちゃうぞ」 


 僕がかなっちに優しくそう言うと、かなっちは怒ったように言い返してきた。


「捕まる前に貨物船に乗ってみんなで南の島に行くのだ!差身もあとから飛行機で来るのだ。もう、学校に行かなくても良い…あの島でのんびりと…ガルフレで強い部活作りをするのだ…沙織が手配しているのだ…きっと日本にいるより楽しいのだ!」


 何だその亡命的な感じ!!!

 色んな法律に触れてる気がするんですけど!!!

 それからいくら学校に行きたくないからって、日本から脱出するのを何で楽しみにしてるの!

 あと沙織!おまえ!パパに何か頼んだだろ!!!

 何で沙織のパパも手伝っちゃってるの!!!


「差身君、奴らが来た。殺してくる。話は後で」


 そう言った天使は階段下に目線を移した。


 誰かが駆け上ってくる音がする。

 あの男達が僕達を殺しにやってきたのだ。

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