「本物」の殺戮
もう100名近く集まっているのではないだろうか?
男達は工場入口に向かって走っていく。
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
スバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
どこか遠くから遠距離盗撮者清城京のワルサーWA2000が重たい銃声を一定間隔で鳴り響かせる。
その度に男達の誰かが悲鳴を上げながら倒れていくんだけど、何しろ人数が多すぎて全員倒すことはできない。
清城京は数百メートルは離れた所にいるはずだ。
その程度の距離なら「本物」の遠距離盗撮者清城京にとっては大した距離ではない。
あらゆる気象条件。
あらゆる地形。
あらゆる時間帯。
数年に渡り、絶対に僕に気が付かれないように、僕を遠距離盗撮していた技術が冴え渡る。
そう、僕ですら全く記憶にない、僕の思い出を写真に収めたり遠くから眺めていた清城京。
今頃紙袋を被り暗黒オーラを漂わせながら、男達を虫を殺すかのように1人1人消しているのだろう。
男達は仲間が撃たれても怯まずに工場入口のバリケードを壊し始めた。
その様子を屋上から余裕そうに病んだ笑みを浮かべながら見ていた沙織は、スマホを取り出すとラインでかなっちに連絡した。
「かなっちwwwwwwwwwwwwwwwwwwそろそろだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww殺せwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は待ってましたとばかりにかなっちにそう指示した。
「分かったのだ!殺すのだ!!!!!」
工場内に潜んでいるかなっちはそう言うと、手に持っていたトランシーバーのようなもののスイッチをオンにした。
「死ぬのだ!!!!差身の恨みを晴らすのだ!!!!」
かなっちがそう叫んだ時、工場入口付近に高圧電流が流れ男達のほとんどがうめき倒れていった。
そして、痙攣し麻痺している男達の上空から大量の石が降ってくる。
さらに、ブランコのように四方から大きな釘のようなスパイクが多数備え付けられた木の柱が、男達に向かって降りかかってきた。
3重に仕掛けられた沙織のトラップが炸裂する!
死体にムチを打つように、動けなくなった男達を1人1人清城京が遠距離盗撮していく!!!
地獄だ…工場が戦場と化していた…
痙攣して動けなくなっている者、大量の石で頭を打ち付けられ血を流し意識を失っているもの、木の柱に備え付けられた釘が体に刺さり抜けなくなっている者…
一瞬にして「本物」の悪魔沙織の罠により、工場が絶対に日本では見ることがないであろう凄惨な光景に変わってしまった。
そこにはただただ人間が痛みや熱で苦しむ声だけが残っていた。
「うひひひひhぃぃぃぃwwwwwwwwwwwwwwwwwwwニャンパスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwお前達はもう生きて帰れないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww殺してやるよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww全員地獄に送ってやるよwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は発狂したように叫ぶと、M16A4を天に向かって撃ち鳴らした。
それは勝利を確信したような…
これから行われるだろう男達の処刑の始まりを示すような…
僕には地獄の女神に見えた。
そんなものいないかもしれないんだけど、めっちゃキレイな沙織が殺戮を繰り返し誰も逆らえなくなっている。
その強さは神々しくもあり、全てを支配する沙織は悪魔の様な残酷さも持ち合わせている。
両方を兼ね備えた恐るべき「本物」
「魔女だあああああああああああああああああああああっ!!!本物の魔女だあああああああああああああああああああああああああ!!!」
体に多数のスパイクが刺さってもがき苦しんでる男が、恐怖のあまり助けを求めているみたいにそう叫んだ。