「本物」のドンパチ開戦
「あいつが…あいつが魔女か…あの伝説の呪われた夜…一瞬にして全てが血に染まった…本当に魔女がいたとはな…」
物陰に身を寄せながらも男達のリーダーが沙織に厳しい視線を送りながらそう呟いた。
何か奇跡を見るような…
信じがたい光景を目にした感じであった。
この人、僕とドンピシャ同じ場所に隠れた。
逃げることに関しては天才的な僕と同じ場所に反射的に移動した所を見ると、相当危険も掻い潜ってきているんだろうな。
「あの…すみません…」
僕が小声で隣にいる男達のリーダーに声をかけると、今にも僕を殺しそうな目で睨んできた。
「なんだ、おら!」
男達のリーダーは気が立っているようで、僕をドスの利いた声で怒鳴りつけた。
そりゃまあそうだよなあ。
さっきまで楽な仕事だと思ってたんだろうけど、絶対に日本の市街地でお目にかかれない銃器で撃ち込まれてるんだからなあ…
「もう、止めたほうが良いと思うんです…工場の中に死ぬほど武器を持ち込んでると思うので相手にしない方が…」
これ以上騒動を起こすのはまずい。
このまま続けたら絶対にさらに死傷者が出て…
誰の得にもならない「本物」の事件になってしまう。
それに僕は凄く怖かったのだ。
何が一体どうなってしまうのか?全く分からない。
これだけ大ぴらにドンパチ続けたら、沙織たちや工場はただで済むわけがない…
「てめえ。何言ってんだ?目の前にドル箱が転がってるんだぜ。男を上げるチャンスが来たんだよ」
男達のリーダーは鋭い目つきでニヤッと笑った。
ああ、駄目だ。この人も普通の人達と違う「本物」だ。
これはどちらかが動けなくなるまで続いちゃいそうだぞ…
「おい!!!!お前ら!!!!魔女を捕まえた奴は1人100万だ!!!!2人捕まえたら200万!!!!3人捕まえたら300万!!!!4人捕まえたら400万だ!!!!殺しても構わない!!!!のし上がるチャンスがやってきたぞ!!!!」
空気が変わる。
男達のリーダーがそう叫ぶと、意気消沈していた男達の気がざわつき始めた。
ああ、これは…みなさん、やる気になっちゃったよ。
「うひゃはやはいあいあいああいいいいいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwやってみろよwwwwwwwwwwwこの腐れ○○○wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww全員ぶっ殺してやるよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwやってやるのんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww工場もろとも全部ジ○○ドしてやるよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwジーク差身!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwジーク差身!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が屋上から狂った笑いを浮かべながらそう叫び、再び下に向かってM16A4をむちゃくちゃに乱射し始めた。
しかし今度は、銃撃音がしている間も男達が逃げ惑うことはなかった。
明らかに突入するチャンスを伺っているようだった。
銃撃音が鳴り止んだ時、男達のリーダーがここぞとばかりに立ち上がった!
「今だあああ!!!!突っ込めええええええええええええっ!!!!!!」
鬼のような「本物」の形相で男達のリーダーが叫ぶと、男達が燃え上がるように雄叫びをあげた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!」
男達は一斉に工場入口に向かって雪崩れ込んでいった。
その様子を上から見ていた沙織は「引っかかたなwwwww」と言わんばかりに悪魔のような病んだ笑みを浮かべた。
本当の戦いがここから始まるのであった。