ゴブリンキングの黎明 その84
わ~い
ぼふっ
ずぶずぶ~
あああ~
神殺しが、獣にダイブし毛の海に沈んでいく。
『やめんか。』と獣は言うが、嫌がってはいない。
馴れたというか諦めも含めていちいち対応するのも飽きたのだ。
その様子を見ていたばーちゃん。
その姿は幼女に戻っていた。
指を加えてみている姿は見た目通りにしか見えない。
あの後大変だった。
大人の姿になったままのばーちゃんに布をかぶせて体裁を整えつつ、シュロゲーの町で服を調達し城に戻った。
城に戻ってすぐに服の制作の為に採寸。
玉座の間でも大わらわだった。
何しろ今までの椅子が使えない。
背もたれのない座椅子みたいなものしか使えないんだ。
背からオロチと長大な尻尾が張り出しているためだ。
寝そべった状態になれるようなモノなら別だろうが、息子たちの椅子と離れすぎてしまうからだ。
第一、亜神様の使いが来たときそれで出迎えるのはいかがなものかとなるわけだ。
変身などするもんじゃないね~
服自体も問題だ、背中にも腰の一部にも空間を作らないとオロチが出せない・・・まぁ、かなり露出が多い格好になるだろうと思われるし着るのも難しいデザインになるだろうとのことだ。
武器も新調のためいろいろと打ち合わせもしなくてはならなくなった。
ポールアックスがいいかね~
でも、アックスがデカめで魔石やらどっさりつかっておくれ。あとは任せるよ。
この体で振るっても壊れない奴にしておくれよ。それだけは絶対だからね。
と言っておいた。
『最後の奴をかなえるのが一番難しいんですよ。』と、皆が愚痴ったとか・・・
どのようなものにするか、カリクスとボロゾ、ズィオーダ、グロンは悩んだ。
その結果、国内で作らせるより発想の危険な奴に任せる方がよいのではないかという考えに至った。
自分たちに向けて振るわれた例の複合武器を思い出したからだ。
あれを作ったものは分かっているし、それに魔界でも有名な武器職人であるあの方に任せるのがいいと思ったのだ。
魔王ドブルクそして機械公と蒸気公に頼むことになったようだ。
普通の状態なら平気だけど、いざ本気で動くと服の方もかなり危険だって話も出たんだ。
まぁ、頑張っておくれよ。
この姿になった途端スッポンポンで、いつまでもいるわけにはいかないんだから。
今だって、取り換え取り換え布をただ纏ってるだけなんだから。
なんで取り換え取り換えなのかって、オロチの涎が当たるとシュッ!って音を立てて穴が開くし。
普通に手を上げただけでビリビリと破れちまってね。
仕方ないさ、いまだに私ですらこの体を持て余してるんだから。
そのたびに配下の者たち大臣たち、息子に至るまで視線をこちらに向ける始末だ。
落ち着かないことこの上ない。
で、服もままならぬうちに幼女の姿に戻った私だが。
うらやましい。
飛び込めばさぞ気持ちいだろう。
いってやれ!
わーい
ぼふっ
ずぶずぶ~
あああ~
『やめんか!!貴様まで!!』と、言いつつ獣はあきれ顔だ。
『や~ん、うらやまし~い。と、言うことで、俺らもダイブ~!!』と、6人の息子たちまで来た。
『わ~!!やめろ~!!!むさい~~!!!』獣が喚くか知ったことではない。
獣にダイブした連中はダメな状態になっていた。
全員がめり込んだ状態でモフモフ、ズブズブと浸っている状態になっている状態の時。
カリクスとボロゾ、ズィオーダ、グロンが、玉座の間に入ってきた。
『ええと、獣様これはいったい?』とカリクスが言う。
獣は訝る。
『そういえば、お前たちに名は言わなんだか。私の名はヴィッシュという。ちょっと気になったんだが・・・今ダメになっているコイツらの名は・・・』と獣が言う
ボロゾが、『勿論知っているぞ。なぁ~。ずぃお~だ~』と、助け舟を求めるような目を向けた。
『勿論だ知っているぞ。なぁ~グロン!!』と、グロンの肩をたたくズィオーダ。
何故かうろたえるグロンはオロオロとしつつ、『そこは、君主カリクス殿が・・・』
『いや、まぁ。陛下は我が国に来た時『傭兵だ』と言っていたので。そうなのかと・・・それに、魔神だったしな・・・』
『おい!!知らんかったのか?』と、獣は頭を抱える。
『や~、普通にビックマムって、民からも呼ばれてたしそうなのかって・・・』と、カリクス
『ボク、ミカ!』と、神殺しが元気よく言う
しかし、慈しむようにばーちゃんはその頭を撫でた。
皆の方に向き直ったばーちゃんは『そうだね、言ってなかったね。言わないつもりだったんだ。
長くここにいるつもりじゃなかったからね。だって私の寿命がつきそうだったからね。でも、生まれ変わっちまったし、もう少しいるようだから言っておいてもいいかね~。うん、言っておくか。私の名前はサキだ。息子たち、お前たちもサッサと名乗んな。』
基本的には量産型なのかってぐらい同じような体形と造作のおっちゃんたちなのだがちょっとだけ違うんだ。
ゴブリン城に始め来て暴れた、ボサボサ頭に丸眼鏡をかけた顎髭と口髭のつながった俗にいうベアードって髭のおっちゃんがオオって名前だ。
同じくベアードで眼鏡なし。目の細く、寝てるのか、見えてるのか分からないおっちゃんがカンっていう。
髭もなく眼鏡もない自身ではこの中で色男だと思っているおっちゃんがキョって言う。
顎髭だけで、丸眼鏡 右目から右下顎まで伸びた深い傷があるのがホウ。
ベアードでゲジゲジ眉毛で目が隠れているのがオモ。
ベアードで、やぶ睨みの目でいつも怒ってるみたいなのはヨシと言う。
体形も性格も似たり寄ったりだし、兜とか装備しちゃうとほとんど見分けがつかないんだけどね。
まぁ、そんなこんなで改めて自己紹介が終わったところで再びヴィッシュの毛の中に埋もれてダメな感じになったところで。
『サキビックマム陛下。』と、カリクスに呼ばれ。
『マムなんて呼ぶんじゃないよ、か~ちゃんとお呼び。』と言い返したところで
『重要な報告が!!』と来た・・・やれやれ、ゆっくりはさせてもらえそうにないね~
亜神ブネウマ様の管理地の5つの帝国が、2つは倒れた。
前に述べたが圧政の後、配下の者の不満が爆発しそれに同調した者たちとともに放棄され討ち取られてしまったのだ。
反乱したものもその地に残った者たちも残った帝国に食い潰されていった。
だが、もう一つの方は違っていた。
王は妻を愛していた。
魔界にしては珍しく相思相愛だった。
一夫多妻だったりその逆だったりするのが常識なのにだ・・・
しかし、妻は早く亡くなってしまった。
娘を残して。
娘は魔神だった。
大魔王である両親から生まれたにしては弱い子だとは皇帝は思ってはいたが、愛した人の残していった一粒種だし娘であったため慈しんだ。
動乱の時、国をまとめ維持してきた。
娘は美しく成長していった。
王は娘に妻の面影を見る時があった。
娘は病に倒れた。
不治の病だった。
薬師や治癒に長けたものに見せるが改善する気配はなく、日を追うごとに弱っていく娘の姿に悲嘆にくれた王は段々と心が壊れていった。
病魔が浸透しないよう結界を張り、限られた使用人にその管理と娘の面倒を見せていた。
ユリアンにそそのかされた連中が、かってに弱体化した時。
他の国に先んじて動かなくてはならなくなった。
自国の存続こそが、娘を生かし続けることになると信じ、配下の者も民すら恐れるほどの勢いで周辺国を吸収し歯向かうものを滅ぼしていった。
戦に疲れた王は病床の娘の手を取る・・・妻の面影のある娘・・・・
それのみが王の心を癒やしていた。
大国は帝国と呼ばれるようになった。
その頃から王は皇帝と呼ばれるようになった。
国の運営はうまく行かなかった、バラバラだった国を無理やり縫い付けたような形になったからだ。
娘は意識が混濁し、やがて呼びかけにも答えなくなっていた。
魂の管理に失敗した帝国は他国に対しても疑心暗鬼になった。
皇帝は重圧に耐えきれなくなったのか、愛した妻を求めた・・・
気がつた時、意識も反応も示さなくなった娘を抱いていた。
その状況に皇帝は更に狂っていく。
毎日、娘を求めるようになったのだ。
使用人たちは皇帝の逢瀬を悲しんだ。
だが、それを口に出しはしない。
出せば命に関わるからだ。
だが、そういうことは漏れるものだ皇帝が狂っている・・・と、囁かれた
だが、皇帝は使用人を誅殺し、疑いをかけられた配下の者たちはあらぬ罪を着せられ処刑されていった。
それに、恐怖を覚えた大臣の一人が謀反をした。
その大臣は城にかかっていた魔法防御の呪文を解除させていた。
謀反は失敗に終わり大勢が殺された。
その際に城はだいぶ破壊されたが、皇帝は魔力で修復させる・・・
その時点で、皇帝は違和感を覚えた。
慌てて皇帝は愛しい娘のもとに駆け出していた。
城は修復できたが・・・娘の部屋の中身はそうではなかった。
乱された部屋、結界は解かれていた。
娘がその場にいた。
どうしてそこにいたのか・・・逃げ出したものの一人がそこにいて娘の上にいた。
激昂した皇帝はそのものを八つ裂きにした。
血しぶきが娘を濡らしたが、微動だにしない娘。
近寄り皇帝は娘の頬に触れる。
冷たかった。
娘は死んでいた。
どの時点で死んだのかはわからなかったが、皇帝は悲しみ、抱きしめそのまま愛した。
娘を抱き続けながら皇帝は考えていた。
娘の霊はまだこの近くにいるはずだと・・・・
その魂を今一度、この体に入れてやれば娘は生き返るのではないかと・・・
皇帝は娘を抱え中庭に走り、魔法陣を書く。
儀式を終え魂召喚の術を行いながら・・・魔法陣の真ん中に銀糸で美しく刺繍されたネグリジェ姿で横たわる娘を抱いていた。
行為が終わり、術式も終わった。
魔法陣は光り輝き発動する。
謀反を起こした者たちを駆逐した配下の者が中にはの異様な状況に気がついてやってきていた。
そのものが見たのは皇帝が歓喜の涙を浮かべ『おおっおおっ』と嗚咽をあげる様子と、魔法陣の光の中で立ち上がる人影だった。
それが姫の成れの果ての姿だと気がつくのに時間がかかった。
白いネグリジェはボロボロになり。
金髪碧眼、肌も白磁のように美しかったのだが、全てが漆黒に覆われていた。
開く目は、黒目と白目が入れ替わって見えるようになっていた。
皇帝は『姫か?姫なのか?』とつぶやいた。
『皇帝陛下危険です!』と皇帝の前になだれ込んでくる配下の者たち。
姫らしきものは右腕を配下に向けて振りながら『うっせぃわ!!』と、それと同時にはぜて血しぶきに変わる配下の者たち。
配下の者のち飛沫に濡れる皇帝は呆然とその様子を眺める。
『おとうさま・・・』と声をかける姫らしきもの
『おぅおぅ、我が娘よ分かるか?愛しき娘・・・・』
這いずるように娘のに近づいていく皇帝。
抱き合う二人。
沈黙が訪れる。
『ふは!アハハ!!お前の娘?いるわけ無いだろ!!』と、姫らしきものは嘲笑ったのだ。
驚愕の表情を向けたその首を抱きしめていた左手で切り落とす。
皇帝の首はわずかに口を動かす あ・ざ・れ・あ それが娘の名前だった。
『変な名前だ。でも、いいや貰っておくことにするよ、おとうさま。アハハハ』
皇帝を失った王城と城下の大部分が消滅していった。
アザレアは、何が起きたかと集まる民の中に降り立った。
そして、右手に掴み下げていたそれを民に投げつけた、それを受け取った民はそれが何かを理解した時、悲鳴を上げた。
皇帝の首だった。
その悲鳴は殺戮の始まりだった。
アザレアの口元は血で濡れていた。
皆殺しが終わったあと・・・
魂を吸収しアザレアは魔王になった。
アザレアは帝国のすべての従属国をも一夜のうちに襲いつくし殺しつくした。
そこで、亜神ブネウマに出会った。
ブネウマはアザレアを危険視し抹消しようとしたのだが、自身が傷を負わされた時考えが変わったようだ。
傷自体は自然と治癒する程度のものだったのも原因だったろう。
アザレアに自身の加護を与えた。
これは、鈴をつけるような意味もあるが、嫌がる素振りもなくアザレアはそれを受けた。
ブネウマは、自身の持つ板状のコマが再び乱れることを望んだのだ。
まぁ、乱れるのは自身だけのものだけではないだろう、他の連中も苦しめばいいとも思ったのだ。
アザレアは解き放たれた。
その、話をカリウスがその場にいた者たちに話した時、神殺しのミカが『ソイツ、ボク、オッパラッタヨ。』と言った。
聞けば、城下に降り立ったのに気がついたミカが『オマエナニ?』と、訪ねた時。
おもちゃの剣と盾を持つ子供だと確認したアザレアは安堵する顔を見せると同時に獰猛な笑みを見せさも愉快そうに笑いながら『何でもいいでしょ。だから死んじゃって。』と言いつつ必殺の一撃が飛んできたらしい。
ミカはおもちゃの盾で無造作に受け止め、それに驚いたアザレアは衝撃を感じた。
気がつけば右肩から先が吹き飛んでいた。
『ちっ』と呟きアザレアは『まだ、力が足りないのか?』と言いながら影の中に消えていった。
なんていう話を聞いた私は『ボロゾこりゃ〜いけないね〜』
『たしかに、感知等の術式の強化が必要ですな。そんな者が入ってきていたのにわからなかったのですから。しかし、ミカ殿は良くお分かりになったものですな?』
『キモチワルイノキタ』
『なるほど異質なナニかを感じたのですな参考にいたします。』と、ズィオーダ
何となく思うのだがそういう奴ってやられたことを恨みに思ってちょっかい出してくるよね。
こちらにだけならいいけど、属国とかにとかその辺の強化もいるか・・・・あっ、坊の・・・ゴブリンキング様の方も危ないのか・・・・
『いるかい?』
『はっ!こちらに。』と、現れたのは忍者裝束ものゴブリンキングのとこの忍者だ。
『・・・』ナニかを言いかけようとする私
『ネギギ様の方はおまかせしても構いませんでしょうか?』と忍者が言う
『いいよ』という声を聞くか聞かずのうちに『御意』という言葉を残し姿を消した。




