ゴブリンキングの迷惑 その7
天幕内のキング種達がソワソワしている。
理由はわかっている。
わしは、ゴブリンジェネラルとその部下達を信じてる。
そして家族を守ろうとするであろうエルフの兵士たちを信じてる。
それにこいつ等は大きな間違いを犯してる。
ゴブリンの上位種達は弱くない。
それに、お前達は民の練磨が足りんから上位種が少ないだろ?
それがわしの民とは違う。
『さて、話し合いを続けようか?』わしは言った。
キング種全員が何らかの宝珠を眺めながらくぐもった声を出していた。
天幕の外から良い身なりをしたそれぞれの部下が入ってきて何やら話している。
この物凄い瘴気の中そんなにこいつ等は入っていられないであろうとわしは思っている。
案の定入ってきたものの何人かはその場で倒れ同族の者たちに引きずり出されていた。
『我々は交渉決裂と受け取った。』
『これ以上の戦闘で両者が失われるのは避けるべきと判断し撤退する。』
などとほざき始めた。
『いや。続けよう。』
えっ!!っと顔を見合わせ言葉に詰まるキング種。
さっきまでゴブリンの分際でとか言ってただろお前等。
『どちらかが滅びるまで続けよう。閉会する権利はわしにある。勝手に話し合いを終わらせることは許さん!仮にこの話し合いを終わらせるなら次はわしがお前達の国に攻め込みお前達を滅ぼす。』
『『『『なっ』』』』動揺するキング種達
もうここでの話は決着がついてしまっていることにも気がつかないのか?
お前達が守るメンツなんてものはない。
『誰からわしに喰われたい?』とわしは舌なめずりした。もちろん冗談だが。
『ふん!ふざけるなやれる者ならやるが良い。わしは帰る!話し合いは終わった!!』と、トロールキングは立ち上がり天幕の外に向かおうとした。
『わかったお前から喰うことにするよ。』その背に声をかけた。わしは見逃してはいない。お前の冷や汗を・・・
『まぁいい、エルフの国の兵をひいてくれるのはありがたいが、やられたことはわしは忘れない。さっさと、巣穴で震えながらわし喰われるのを待つがいい。』
キング種は文字通り思考停止に陥っていたのだろうトロールキングすらまだ天幕の中で固まっている。
『話し合いはこれで終わりにしよう。』
わしはトロールキングを横目に天幕の外に出た。
『命乞いします?』っと、にこやかな笑顔で彼らのほうに向かって言うホーリィ。
怖いぞお前。
巨大な彼らがそそくさと帰っていくのを眺めながら・・・聖職の者たちに天幕内の浄化をお願いした。
あんなに瘴気が充満すると植物や動物に影響が出るかもだし、弱い魔物も具合悪くなるしね。
浄化してる中にシロがいた。
大丈夫なのかあいつ?
『あっ、ゴブリンキング様~』お、気がついたか。
こっちに走りながら前着てた服よりあれ?なんか違うなぁ~?と思っていたら。
『神官になりました~』とわしの前で立ち止まってくるっと回って見せた。
うむうむ、かわいいかわいい。
わしはシロの頭を撫でる。
今までの嫌な事も吹っ飛ぶなぁ~
『回復魔法も強くなったんですよ~ヒール』
ピロリーンっとわしは回復した。少し疲れが取れたような~?
『お疲れでしょう。ヒール』
うむ、なんか元気になったゾ
『何かうれしいですね~ヒール』
ん?ちょっとかけ過ぎでない・・・・
『これからもがんばりますよ~ヒール』
いやもういいから、鼻血出てきちゃったし・・・わしは晴れやかな顔のままで思った。
『あっ、ゴブリンキング様。血が・・・・大変、ヒールヒールヒールヒール!!』
ぶっ、ちがっ、だから、やめれ。
違う意味で死ぬって、ダニーやホーリィも笑ってないで助けて~。
数分後、鼻血の海の中でにやけ顔で倒れてるわし・・・・
そのころ、元エルフ城のほうではキング種連合軍の撤退が始まっていた。いや、実際は敗走だった。兵力が半分以下に減り、ゴブリンジェネラル率いる少数精鋭と白い大柄なコボルト率いる牙狼族とコボルト達による猛攻により指揮系統を寸断されて烏合の衆と化していたのだ。
一方的な追撃を受けた連合側は瓦解した。
『加勢に感謝する。』とゴブリンジェネラル
『わたしはゴブリンキング殿にこれから会いに行く。』と白いコボルト
『このままか、兵を休ませないのか?せめて宴だけでも?』
『いや、このまま行こう。また会おう。』え~って顔を部下を尻目に走っていってしまった。
うは~いっちゃったよ~とか、口々に言うコボルトの足軽連中を叱咤しながら牙狼族達も移動を開始した。
『親方、なんかうれしそうだな。』
『まぁ、家族に会えるかもしれんのだし・・・それは、わし等もか』と、笑いあっていた。




