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ゴブリンキングの馳騁 その80

ゴトン!と置かれた、巨大な筒は、シュ~っという音をたてながら冷気を伴う白い煙を吐き出していた。

『多少の難のある子だが・・・最新鋭だヨ』

『どうせ着飾ったお人形さんだわい!』と蒸気王


そう言われても、表情の無い機械公だった。

問題について考えていた・・・

まぁ、いいだろう何とかなるだろうヨ


巨大な筒の上部がゆっくりと開き中から人影のようなものが薄く見える。

中も冷気に満ちた霧に満たされていたからだが、すぐに霧は取れた。

白い体に体の線もあらわなぴったりとした不思議な素材の服を装備した女性、いや、オートマータだった。

『起動テスト・・・1から・・・・スタンバイ。エラー抽出。修正および隔離・・・・起動開始。おはようございます、マスター。オーダーは?』

『うむ、あのデカブツの醜い鉄の塊をお前の力で鉄くずにしてくれたまえヨ』

『この御人形様でわしのオートマトンをなんかできるだと?笑わせるわい。』


『分かりました。あの醜いデカブツの鉄の塊を、私の力で鉄くずにいたします。』と起き上がった。

『うおぉぃ!』と、ちょっと素っ頓狂な声を上げる蒸気王。頭から出る湯気もものすごい勢いだった。

起き上がったオートマータは、機械公を一瞥する。

『分かったヨ。ウールヴ・ヘジン頼んだヨ。』比較的無表情なものが多いオートマータが見せた完璧な笑顔だった。


少し異質な様子がここからも見える。

ウールヴ・ヘジンと呼ばれたオートマータは、筒の中から白い狼の頭のついた毛皮を纏ってススっと歩みだした。


その後姿を見ながら機械公は『やや安定しているのかモネ・・違和感はあるがネ』と独り言を言った。


すっと手をかざす。

瓦礫に手のひらをかざす。

初めは小さい破片が集まり始める手のひらから少し離れたところに塊ができる。

周辺の大きな瓦礫も集まりだす。


『おい!あれは?あれか???』と蒸気王が機械公見て声を上げる。

『そうだヨ。気が付いたかネ』

『貴様!あんなものまで!再現したのか!!』と頭から出る湯気の量がさらに増えた。


集結した瓦礫は固まり地面をまだ残っていた建物を破壊しながらさらにまとまっていく。

地面に小さいクレーターが出来るところまでまとまった瓦礫が急にガキーンとか言う音を立てて圧縮される。


『あいつに全力で攻撃しろ!』とオートマトンに命じる蒸気王

うがっ!とか言ってゴゴゴ~っと動き出すオートマトンは一斉に砲撃と自身の巨大な体を使った攻撃を開始した。

開いているほうの手を、ウールヴ・ヘジンは群がって襲ってくる射出武器に向けると手をギュッっと握るような仕草をすると一定の範囲内の射出武器が一瞬にして圧縮されて爆発した。

いや、爆発までも圧縮してしまったようだ。

そのままの状態で、オートマトンの巌の様な拳を受ける。

オートマトンの受けたのは自身の放った射出武器の爆発だった。

右こぶしが、はじけ爆発する。

ぴゅ~ぴゅ~しゅ~しゅ~と、オイルと蒸気を吹き出しながら瓦解していく上腕部をよそに、間髪入れず左腕を振り回して殴りつけてくる。


疾駆する。

回避だ。

わずかに白い狼の毛皮をかすめる拳。

右腕に圧縮された瓦礫が形作ったのは大きな槍、それが振れて金属的な音を奏でていた。



思考を高速化した。

演算処理を・・・

オートマトンの伸び切った左腕の横に無数の蓋が開きそれぞれから小型の封術管が射出された。


飛びのきながら右腕に持った槍状の塊を振り回し封術管を打ち落とす。

急な機動でも関節がきしむ事は無い人ではないのだ・・・受ける衝撃に対しても内臓が破壊されることもない私はオートマータなのだ。

関節の結合をかなり無茶に起動させる逆関節も可だ。

槍が受ける衝撃を利用して自身を後方に飛ばしていく受ける角度を変えることで方向すら変更する。

衝撃に対しては、接合すら外すことで衝撃を和らげ・・・回避す・・・・

初めに討ち漏らした封術管が大きく迂回して私を撃った。


いくつか当たった中で、顔面に当たったのは一瞬思考回路の受け渡しが必要になるような衝撃だった。

そのまま身を飛ばして地面にはね飛ぶ、関節はアジャストされているがその回転をいかしておきながら遠心力を生かしそのまま狙いをさだめ槍を投げる。


違和を感じる左目は捨てる。

右目での標準で行く・・・多少のずれは相手の大きさを考えればさしたる問題ではないと考える。

地面をヒールが削る。

その様にして強引に制止。

巨大な槍に串刺しになったオートマトンが私の目の前にあった。

爆発的な蒸気を発しながらガクガクと動くオートマトン・・・・私に左手を伸ばして掴みかかろうとするがその寸前で動かなくなる。

私は左顔面を手で押さえてマスターのもとに走って移動する。

思考速度はその時点で元に戻す。

『どうしたのカネ?』とマスター

『感覚器に異常が。』と手を外すと・・・

『なるほど、今はそれは直せないネ』

『アレを使っていいでしょうか?』

『いいんじゃないかナ。もともと君の装備だしネ。まだ、対象が残っているのは理解しているカネ?』

『あと、3塊ですね。理解してます。』


『おい!わしのオートマトンをかたまりとか呼ぶな!』

うるさいこの存在は何なんだろうか?すぐにでも殺してしまえばいいのに・・・なんで、マスターからの命令は無いのだろうか?

目の前の画像がぶれる!

思考回路に何か障害が・・・?

『すぐにそうなります!』と、私はうるさい存在に目を向け笑顔を見せた。

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