ゴブリンキングの馳騁 その28
備蓄している食料(穀類だけではなく)を供出することになった我が国の動向を見て、各国は身を乗り出す。
ドワウォース帝国のギムリード王は、我が国も出来るだけ協力しようと請け負った。
魔法王国ソーマの王も同じだ。
ロンゴロンゴアナのバロールは、人種の問題ではあり・・・しかし、ゴブリンの王がそこまでするなら協力せねばと思うのだが、我が国は冬期用に備蓄が必要なのだ。
そのため、物を出すわけにはいかん。
しかし、我がフォモールやライカンの者達をこき使ってくれて構わない。
そういう協力ではどうか?
という話が出た。
それは、いろんな意味でありがたいのでその協力は受けた。
セント・クロス・クラウン城のエルダース王は、東方北部の使者を見つめながら・・・
我が国の協力はあまり期待しないでもらおう。
と言った。
それはそうだ。割とかの国に近い為彼らに対する準備が必要だからだ。
それがわかるため、異論をはさむ者はいない。
着々と話が進む中、青くなったのはこの使者の方だった。
まさか、自国の生産力に対抗するだけの量をうちが示して見せるとは思わなかったからだ。
このまま、ここで有利な展開が得られなければ自身の首が飛ぶ。
グルグルと頭の中で言い訳や詭弁を考える。そのたびに自身の首が飛ぶ想像が、そして確率が上がる気がする。
だが、使者はある考えに行きついた。
備蓄の供出により戦争継続能力をいくつかの強国で失われたことになる。
これなら・・・
すがる気持ちで、その思考を深め練り上げる。
メアリーは使者のことなど考える事は無いが、ビンの方を見ていた。
ビンからの質問が出たからだ。
タダでそういうものを与えたら何も得られないのではないか?
ということだ。
さっきもダニー言ったが、それを理由に各国に食い込むことができるのではないか?取引にも使えるのでは?その辺が理解されなかったようだ。
『まぁ、魔界ではどうかはわからないけど。困っている人には助けてあげるって大事な事なんだよ。恩を売るってやつね。』
『それはいくらなのだろうか?』
『ん?』
『その、おんというものだよ?』
その後起きたのは爆笑だった。
まぁ、わしが言うのもなんだが、メアリー発案にアーカイブで情報収集と補正をかけるポー。そして絶妙なタイミングで・・・まさに神業レベルだが売り抜けるということやったダニー。
こいつらが前に仕掛けた【これから収穫のものまで買い占めちゃうよ!!】って、作戦があったっけかな。
周りに国から文句が出るは、敵対国は究極に弱体化するわで・・・まぁ、昔のことですよ。
まぁ、こいつらが突然やらかすことはとっても迷惑なことが起きるんだよね、まぁ、敵視されちゃうほど酷いことした証拠なんだけどね。
わしには彼女らのようなことはできないので、お任せしているわけなんだが・・・
『東方南部なんだが、そこを開墾してはダメか?これからも色々とあった場合にも対応できると思うのだが?』と、わし
『駄目だ。なぜならお前らが儲けるからだ。』とドワウォース帝国のギムリード王
『だって開墾って基本的にお金かかるもので、あそこだと広大過ぎてもの凄いお金が・・・』と、メアリー
こういう時にも物おじしないのよねこの子ったらって、わしは思っていた。
『そういう状態でも、何年かたてば利益になる。その時点でその地の持ち主がかわる可能性がある。その時のお前らの行動を考えると・・・だから、それを許すわけにはいかない。』とドワウォース帝国のギムリード王
周りにいた諸侯が頷く。
まぁ、しかたないか。
しかし、そんなに身構えるようなことなのかな?
でもまぁ、この子達なら何吹っ掛けるかわかったものでは無いし・・・ドワウォース帝国のギムリード王の髭の下のへの字口がそれを表してるようにも感じたので・・・・そういうことなのね~とか、納得した。
その後、各国から厳しい言葉をうける東方北部の使者・・・この集まりは終了した。
この使者はその後どうなったかは知らない。
皇帝の怒りを買い処刑されたか、何とか生き延びたか・・・・
正直もう会いたくはない。
わし等は箱舟に積み込まれていく荷物を見ながらクロイツの入れてくれたお茶をホーリィと一緒に飲んでいる。
側にはメアリーがクッキーを頬張っている。
テーブルの上にはお菓子の乗った皿と並んでビンがいた。
メアリーの脇にはポーがいるが、アーカイブを展開中だ。
ビンはメアリーに、『なぜ、東方北部のあの国はわざわざあんなことをしたのだろうか?そうそう経済という奴の話だが売らないという事は回らないという事なのだろう?それでどのようなことが起きるのだろうか?』
『うん。簡単に言えば戦わない戦争をしたってやつなんだけどね。』
『戦わない?』
『そう、戦わないけど相手の国土に問題が起きる。それに乗じたり、それを利用して国を奪うことをあの国はしたでしょ。今回のゴブキンの判断はそれを止めちゃっただけじゃなくて、あの国に取り込まれた国もうまくいくとサルベージできちゃうのよね・・・まぁ、セント・クロス・クラウン城のエルダース王の手腕にもよるけどね。』
『ふむ。で、この先はどうなる?』
『さぁ?』
『さあとは。』
『国内にだぶついた穀物をどうするかによるんだよね。』
『そうですね~、それなんですよね~。』と、ポー
『どういうことだ?』と、ビン
『うんつまりは、これって国でやったことなわけで・・・如何にあんな国でもそのままってわけにはいかないでしょ。』
『そのままではいかんのか?』
『多分、商人や農家では留めきれない、腐っちゃうかもしれないしね。』
『腐る?魔法をかければいいではないか?』
『そんなことしたらもっと値段が上がっちゃうよ。』
『そうなのか?不便だなここは?それに理解を越える?腐っているほうが良いと好んで喰うものは魔界にはいっぱいいるというのに・・・』
『そうなの?』
『魔獣の肉や魂のことだが・・・』
『その話はまた今度でいいかな?』
『うむ。』
『でね、多分国で買い上げると思ってね。それが問題なのね。』
『金で買うのだろ?』
『う~んと、簡単に言うと国内でのみ使えるお金と、共通貨という万国で使えるお金があるの。この国のエルグラン貨は共通貨幣の一つにになろうとしている通貨なんだけどね・・・それは、置いといて。それでね、あの国がどうしたかなんだけど・・・・軍票で支払ったの。』
『軍票?』
『そう、国内でしか使えない軍で発行するお金。』
『それが何かあるのか?国内では問題なく物が買えるんだろう?』
『そう内需には貢献できるけど・・・つまりね、国内に共通貨が不足してるのか?それとも潤沢にあるんだけど、戦争するためにとってあるのか?』
『戦争に金が要るのか?』
『実際、戦争してても自国では不足してるものは他国から買わなきゃいけないわけで・・・』
『それには、軍票は使えないという事か。』
『そう正解。頭いいね。』
『・・・・・』
『あの国は、まだうちの空飛ぶ商店街と取引してるんだけど・・・』
その後、何やらポーも含めて何やら話し込んでいたが、わしらは少し離れてそれを眺めているだけにした。
な~~~~に、悪いこと考えてるんだ?あいつら・・・くわばら、くわばら。




