ゴブリンキングの有閑 その4
山エルフに、エルフから攻撃を受けて死傷者がでたことを告げた。
正確には200匹のエルフが攻めてきて40人の死者1人の怪我人が出たんだが?
なんかいい方法無いか?全面戦争は避けたい。と、聞いてみた。
わしの言うことを一通り聞いた山エルフは・・・
首を横に振りながら。
『しかたない。今の話を聞いていても、非はエルフ側にある。200人も宣戦布告なしに虐殺まがいの行為をしたのだろ?』
『生き残りのエルフにひどいことをしているとしても・・?』
『一方的に君を責められない状況だし、施政者として民が殺されたらそれなりの罰を与えるのが当たり前だろ?直接命を奪うわけではない罰だ。やられた側としては仕方が無い処置だな。やった側に対しても見せしめの要素もあるし。』
『やっぱり戦は避けられないかな?』
『ああ、多分無理だ。あそこのエルフはちょっと問題ありだとは思っていたが・・・これほどとはな』
『使いの者がきたら、生き残ったエルフを返そうと思う。』
『それがいいだろう。』
などと話しをし・・・割り切るとこ割り切ってさっぱりしたので帰ろうとすると・・・。
『やさしい友人の心が少しでも楽になるように、私も山を降りて・・・一時だが君と行動をともにしよう。』
ゆっくりと立ち上がり準備を始めた。
さて、城に戻ったわしはダニーに兵站の準備をお願いする。
今回は全力戦闘となる食料や消耗品が多量にいる。
ダニーは多量の手紙を書きそれをクロイツに預け・・・自分も走ってどっかに消えた・・・普段はのんびりしてるくせに、こういうときは行動すばやいな~。
山エルフは広がった農地を見に行ったり、建設途中の橋を見に行ったりしている。
戦争の作戦立案、兵士の手配と編成をメアリーとゴブリンジェネラルに頼んで・・・
わしは唯一の生き残りのゴブリンに会いに行く。
何かが攻めてくると聞いたので赤い液体を小ビンに入れ砦の兵士達に渡していたのだ。飲めたのは彼だけだった・・・赤い液体のおかげで致命傷から回復できた為、たいまつに火をつけれたのだ。
彼が言うには、砦の中にいたのにいきなり目の前に現れて致命の一撃をあたえられ・・・仲間も自分も倒れたという。
倒れたさいに、小ビンが割れこぼれた液体が口に入ったことが彼の命を救ったんだとシロが言ってた・・・
わしは心の中に、わだかまりと復讐を誓う矛盾を抱えながら・・・
歩いてたらシロがいたので、頭をなでながら・・・
自分の思うわだかまりを話す・・・
『王様ってつらいですね。でも、ゴブリンキング様にはぼく達がいるから大丈夫ですよ。』
などと言われて頭をなでる手に力が入ってしまった。
今日は、山エルフ歓迎の酒宴をみんなでやって寝た・・・
朝方、雷の音で起こされた・・・川向こうに落ちたようだ。
早速見に行く・・・
結構大きかったから火事とかになってないといいんだけどね。
などと思いながら見に行くと・・・
木々が同心円状になぎ倒され・・・すり鉢上の地面ができてた。
お~!アリ地獄みたいだな~
ずず~っと、斜めになった地面を滑りながら一番深い場所に降りてみる。
地面に黒い饅頭みたいなもんがおっこってる。小さいわしの手のひらに乗っかるほどのそれを
拾い上げようとつまんでみると。ん?
『重いな?』
両手で~ぐぉぉぉ~背骨と腰が~ビキビキいう~が、持ち上がらない。
も一回。ぜ~ぜ~
どわぁぁぁ~りぃぃやぁぁぁぁぁ!!!!
あがらん。
ぜーぜー
小さいわしでは無理か・・・ゴブリンジェネラルを呼んでこよう。
ゴブリンジェネラルを呼んできたわしは、持ち上げさせる。
持ち上がらない、鎧を脱いで装備はずして・・・再挑戦。
むんがぁぁぁ~!!っと力んで真っ赤になるほどに力をこめて体中に血管を浮き出させるも~あがらない。
なんだこれ?
しかたないので、かわるがわる交代しながら。
ふんがぁぁ~!!
もんがぁぁ~!!
と、やっていると・・・
メアリーとシロ、ダニーがきた。
なにやら重いものがめり込んでいると言ったら。
メアリーが目を輝かせながら
『どこどこ?』
『ほれ、あそこあそこに埋まってる黒饅頭?』と指差したとたん・・黒饅頭にハエみたいな羽が生えた。プーンっと音を響かせながら飛び上がってメアリーのもとに飛んでいく。
『あぶない!!』わしらが持ち上がらない重さならメアリーなんかぺしゃんこに・・・助けるにもとっさなことで間に合わず起きるであろう現実から目を背けるように目をつぶった。
ん?女性陣きゃっきゃっする声が聞こえ目を開ける。唖然とするゴブリンジェネラルを見た・・・わしも同じ顔してるんだろな。
メアリーの両手のひらにちょこんと乗ったハエの羽を生やした黒饅頭。
『ぜんぜん軽いよ?』
シロ、ダニーとかわるがわる触ったり持ったりしている。
『やわやわ~』とか『かわいい~』とか・・・うむ、ほほえましいが・・・
わしもさわらせろ~っと、持たせてもらった瞬間。
わしは地面にめり込んだ。
やっぱ重いじゃん!!いや。こいつ!!自分の重さかえれるんじゃ?シロに助けてもらうまでメアリーとダニーが笑い転げていた・・・お前もだ!ゴブリンジェネラル。
なんだかわからない、黒饅頭はメアリーに任せることにした。女性陣の周りを飛んだり肩に乗ったりついてくるので捕まえる必要はなさそうだ。
街に着く
城までの大通りを歩きながら・・・生活の様子とかを眺める。時々声をかけられて食べ物とか握手を求められたりする・・・いつもの日課だ・・・
なぜかもらった大根をかじっていたら・・・。
ひとつの家の扉が開いた・・・・
なぜか扉の向こうから出てきたのは?
赤いマントにブーツ服装の全てがテラテラとひかり、被ってるとんがり帽子も同じ素材で赤い、背中にしょった巨大なハンマーが・・・
『え~、ノッカーキングなんでここに~!!』
この扉は別の場所につながってるんだな。だって、扉の向こうで両膝を突いて腰を落として放心状態になってる1位の魔神が見えるもん。
『へ~い!そこのデンジェラスな馬糞。ORESAMAと勝負だぜ~ぃ!』ずびしぃ!っと、ハンマーを黒饅頭に向けていた。
はっきりいって。危ないのとあまりかかわりたくないので・・・ぶーぶー文句言ってる女性陣に逃げるように命じて、それより先にわしが逃げた。
ノッカーキングのハンマーは馬鹿でかい力場の刃のカウンターウエイト・・・剣を振りまわされたらその被害たるや想像できない。
『喧嘩なら外でやれ~!!』わしは走って逃げながら叫ぶのが精一杯だった。
にらみ合う。ふたり
・・・・黒饅頭に目があるかどうかわ知らんが。
空中にプーンという音を立てながら空中停止する黒饅頭。
剣を構えたままのノッカーキング。
『昨日は逃がしたが今日はそうは行かないんだぜぃ~』
突然黒饅頭から長い棘がまっすぐノッカーキング向かって突き出される、それをハンマーの部分で受け。
『ロッッケンロールだぜぁ~!!』と不適に笑うノッカーキング。
変則的な本数とタイミングで棘を次々と突き出す黒饅頭・・・中身どうなってるんだってほど棘が長いんだけど?
それを剣で受け流すノッカーキング。
受け流しながら黒饅頭に剣が当たる。
ドカン!とかゴキン!とか難い音の連続が響いているが、黒饅頭は切れないようだ。
『ORESAMAの剣でスライスにならないのが納得いかないぜぃ!』
黒饅頭はノッカーキングに向けている反面から一斉に無数の棘を出して攻撃する。
ノッカーキングは自分に当たる棘全部を剣の一振りで折り曲げて、その場から動かない。
何度か動き回りながら同じような攻撃を繰り返す黒饅頭。
同じように棘を折り曲げて動かないノッカーキング。
『お前の力はそれだけか?』と、ノッカーキング・・笑ってる・・・この人怖い
ちょっと、怒ったのか黒饅頭が帯電してるパチパチっと放電が・・・でも、わしには黒饅頭がニタ~っと笑った気がしたんだが・・・
帯電状態が激しくなって周りに被害が出始める・・・近くにあった垂れ幕に火がついたとき両者が激突した・・・・
『ハイ、ストップ。喧嘩なら外でやってくださいね。周りの迷惑はちゃんと考えるように。』
と言って。両手を広げてでっかい宝箱に座ってる人間の女が両方の間に入ったからだ。
その女は枠の無いめがねをかけて緑色の長い髪を魔法使いっぽい帽子に押し込んでいるイカにも魔法使いといった服装の女だった。
その女を見た瞬間に・・・
『イカシタ!!ベィベェ~ここは男と男の戦いの場だぜぃ』と、ノッカーキング
『ずいぶん切っちゃいましたね。』
やっと気がついたのか、素晴らしい切れ味で切り飛ばされた建物を見て・・・うっと言うと何事もなかったように出てきた扉に向かう。
そして振り向き。
『次は絶対切る!!』ずびしぃ!!っと、黒饅頭を指差し去っていった。
なぜかそ~っと逃げ出そうとする黒饅頭・・・・
『あ~あなたは、最強の魔術師の家系の方ですね』と、山エルフ
『その名前を名乗ってるのはいまや私と父だけですけどね。私なんてまだまだです』と魔法使いっぽい女
『いえいえ、血の山脈70日とか空中都市落下とか魔法王国強襲とか、素晴らしいと思いますけどね?』
『なんか印象悪すぎですよね。私は何もしてないですよトホホ』
なんだか、凄いのなんだなと・・・
そういえばこの宝箱、魔法生物だ・・・蓋やら本体やらに目が何個かついててそれがこっち見てたから・・・わしが近寄ったらガゥとか吠えたし・・・自分で動けるのかと思ったら子供の書くような簡略された人の足のようなものが一杯生えていた短い足だ。わしより短足だぞこいつ・・・一杯あるけどね。
でなんのよう?っと聞いたら
『えぬのぜろいちの回収に来たのと・・・・』
なにやらまた厄介ごとが増えそうだ。




