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ゴブリンキングの輻輳 その44

敵ガレー船はいったん態勢を整えるために下がりだす。

そこをついて後続の船が前に出て投石器での攻撃を強める。

どうやらこちらの攻撃が弾かれている状況だ。

向こうにもいい魔法使いがいるのかもしれない。

こちらでは艦外の歪みからの浸水などはシロタエが氷の息で止めてオートマータが歪みを力技で直しそれでも漏れるとこをだけを詰め物で塞ぐ。

船員は艦内での水かきですんでいる。


動こうかとするエンガクとゴブリンジェネラル。

『まずいな、そろそろ行かんとこのままでは膠着してしまう。』と、ゴブリンジェネラル

『暴れたいと思ってたんだよね~俺。』ゴキゴキと肩と首を鳴らすエンガク


様相が変わったのはその時だった。

我々の進行方向左側から敵の船に割り込むようにしてきた船団があったのだ。

帆を畳んだままなのに高速で滑り込んできたのだ。


『不味いぞ!敵が増えた。クィーン3艦はさらに後退・・・本艦の援護を!』

『ふむ。ちょっと試してみたいことがあるのだがいいカネ?』

『なんですか?』

『コッペル。頼めるカネ。』

『(・◇・)ゞ』

オートマータ達が箱舟に乗り込んで飛び立っていく。

4隻の箱舟が空を飛ぶ。


『艦長!敵船の下に何かいます!』

『なんだ?』

『まさか!』

『何だ早くしろ!』

『後から追加された敵船の船の下に水龍がいます。』


『なるほど。この船と同じように風に頼らなくていい船と言う訳かネ』

『素早く本艦に接敵中!』

『機械公!どうするんです?こっちも動いていいのですか??』と、ドレッドノート

『おやおや、慌てるなんとかは・・・いやいや、知っているかい?空を制する者は地を制するという事を、さてはて、海ではどうだろうか?』

『はい?』


『さぁ、愚か者共に教えてやるがいいヨ!』


箱舟の全面が開き樽がゴロゴロと海に向かって落とされた。

船の上に落とされたものは魔法の盾や防御障壁に弾かれて海に落ちるもその場で爆発した。

その衝撃で樽の中にある礫がまき散らされ海中に泳ぐ水龍に突き刺さる。

悲鳴を上げ船を振りほどこうと動いたため乗っていた乗組員ごと船が沈んだり慌てて避けるため自身が他の水龍にぶつかったり船をぶつけて破壊してしまったりしていた。

逃げようとして船を捨てる水龍もいたりと阿鼻叫喚に見舞われた。


『礫の入っているのはそんなにないのだがネ。一度ついた先入観に振り回されるなんて不甲斐ないネ』


『不甲斐ない。』離れた場所でもそう思っていたモノがいた。

それが、海上に首をもたげ咆哮した。

『退け!愚か者どもよ!我が大国にこれ以上泥を塗るな!!』と。

残され沈む船をよそに一斉に後退する敵船。

未だ燃えて、こちらの侵攻を止めている敵のガレー船たちを残して。


その周辺の温度が急激に下がっていくのを感じているとき。


『海上進行方向より氷塊・・・いや、流氷です。』

『不味い!あれは・・・』と、エンガク

『なによ』と、わし


船内にいたシロタエも、『あの声は・・・危険です、外にいる人達を艦内に!』と叫んだ。


巨大氷山が近づいてくるのが見えるようになった。

霧ににかすんだその向こうにいる何者か注視する。


『あれは、凍結氷龍ブラムド。何で?』と、エンガク

巨大な水龍がこちらを睨んでいた。

燃えていた火が消え氷結していく。

海が・・・凍る。


『本艦も後退しろ!!全速後退!!』

『外輪一部凍結!航行不能まで時間の問題です!!』

『どうした?でっけ~!何とかならんの?』と、わし

『さすがにオヤジクラス相手にするのは無理!』と、エンガク

ゴブリンジェネラルは彼の妻である赤エルフと暴れるバカ息子のエッジを船の中に押し込めていた。


シロタエが甲板にいつの間にか上がってきていて

『提督!外にいる人達を艦内へ。きますよ!!』

慌てて船内に飛び込む者達をよそに、わし等は外に残っていた。

なぜなら、奴の吐息がもう放たれた後だったからだ。

船首に走ったエンガクがドラゴンブレスを吐く。

白い壁がエンガクを包みそうになるころマツハとカリンの障壁が展開する。

ホッとするのもつかの間。

ビキッと音を立て障壁が崩壊した。

『多重障壁が・・・』ピキッって音を立て凍結しそうになる二人を抱えるようにして回復をしながら船の中に押し込んで中にいる人に渡したシロタエは扉の前で氷結した。


わしが、後ろを向くとゴブリンジェネラルが吹雪に逆らうように進みながら凍りついていた。

舳先ではエンガクが凍ってる。


機械公はとっくの昔に動かなくなってるし・・・

今まで飛んでいた箱舟も凍り付いた海に突き刺さっている。


ん?わし?

わしはとっくの昔に凍ってるよ。

ホーリィに抱きしめられた状態なのが役得だ。


奴のからあの周りに氷の巨大な礫っていうか・・・塊が・・・

あれ当たったらわしら粉々になって完全に死ぬなぁ~何とかしなくてはな。

とか考えられる時点ではわしは生きてる。

外に出てる魔王かそれに類する奴らは生きてるな・・・ホーリィ、シロタエ、エンガク、ゴブリンジェネラルは生きてる。

まぁ、それ以外の艦内に逃げ遅れた奴はダメっぽいが。



『ブラムドよ、しばし待て。』

礫を飛ばそうと身構えたブラムドが動きを止める。

その方向には淡い光の集団が・・・

『八百万の神か?何の用だ。かの地以外の干渉は許されないはずだが?』

『うむ、確かにその通り。そしてお前自体にも干渉できぬ。』

『ではなぜ、その者に干渉するか。』

『その者にも干渉できない・・・我らもその気はなかったのだが・・・お前のつかえるものが、犯した蛮行をその者達が修正した。小さな島の祠や聖域などを荒らしたお前たちの行いをについては何も言わないが、その者達に感謝する神たちから頼まれ、我らは心動かされた・・・』

『ふん、それで何をするというのか?見ているしかできぬなら去るといい!』

『そう。お前にも干渉は我らには無理だ。だが、何故かかの者の近くにその理を介しないモノがいる。それに手を貸すのみ・・・』


海上に水平な巨大なゲートが開いて、何やら柔らかそうな段々の白いふくらみがむにーっとはみ出してきた。

なにやら、もぞもぞと蠢いていたかと思ったら。

Uの字に折れ曲がってはみだしてくるそれはジタバタと短い脚を動かしながらずり落ちた。

落ちた先は氷の上さらに腹から・・

どばーーーん!!

といい音をさせながら、クイロが海面の氷の上に落ちた音だ。


クイロは何が起きたかわからず。

痛さと冷たさに暫くもがいていたが、あちこちキョロキョロし始めた。

巨大なブラムドに目が合い後ずさる。

その後・・・巨大な船に目がいき・・・甲板上に自身の飼い主が・・・そう、ホーリィーに抱きしめられたまま二人して凍り付く姿を・・・


グロロロロロロロロ!!空気を振動させる。

怒りだ。

目から光が伸びる。

誰だ?!

誰がやった!!

礫を振り上げるブラムドを見つめた・・・

炎をまとったクイロが氷を溶かしながら海面に没した。

ブラムドはその姿を見つめ鼻で笑いながらクイロの没した場所に作り上げた巨大な礫を放つ。

海面に張った分厚い氷の壁を吹き飛ばした。

巨大な津波を伴う爆発のようなものが起きたがおさまった後にクイロの姿も何もなかった。

暫くして、分厚い氷の壁の下に何かビカビカと光が見え始めた。

何かが氷の下にいる。

ブラムドは海中にいる存在を攻撃するため潜った。

泳いでいる者はいなかった。


暗く深い深海が見える・・・

違うそこに様々な色の発光が!

二点の光が自分に向いたのをブラムドは気が付いた。

『そこにいるのか!海龍である私に海で挑むか愚か者め!』と深海に急ぎ潜っていく。

ブラムドは氷結ブレスではなく。

破壊をまき散らす光線を撃つ準備をした。

見えた!巨大な何か・・・それは、先ほど見たワニのような姿と似ていたが大きさが全く異なっていた。

『私より大きいとは!そんなものがこの海に?』

破壊をまき散らす光線をブラムドはその巨大なものに打ち込んだ。

背にあたったはずのその光線は奴の肉を骨を血を焼いて穴をあけた・・・血を吹き出しのたうち回るそいつは、額に生える長大な角から何かを発した。

回避行動をしたブラムド。

脇をすり抜ける光る何か・・・

そちらに注意がいき、隙が出来た。

自身の優れた能力に過信していたのもあるのだろうが・・・

穴が開きもがいていたはずのその怪物が自分に向かってきていることに気が付いた。

『私のスピードに勝てるものか!』

向きを変え怪物の突撃を避けようとしたとき。

ブラムドは今まで感じたことのない感触を得た。

似たものと言えば。

幼き頃の母の甘噛み?

違う!化け物の背中から生えた巨大な骨の腕でブラムドは捕まれていた。

さらに拘束され。

様々な属性をまき散らしまといながら近づいてくる巨大な顎。

掴まれたとしても、そこに光線を打ち込めばこちらの勝ちだブラムドはそう思った。

化け物の長大な角から発した光のほうが早かった。

それがブラムドの肉を割いた。

血が噴き出すが急速再生が・・・そこに様々な怪物のまとう属性が巻き付いてきて身を焼き溶かし腐らせる。

初めて苦痛で叫ぶブラムド。

抑える腕から逃れようと、もがき光線を発する、だが狙いがつけれない。

化け物はその腕を激しく揺らしブラムドの攻撃が安定しないようにしていたのだ。

そしてついに怪物はブラムドに食いつき食いちぎる。

さらにそしてさらに噛みつき食いちぎる。

逃げれぬ恐怖、それにこれほど光線を受けてなお攻撃をやめないこの化け物はいったいなんだ?


まずい!海面がどちらのともわからない血で真っ赤に染まっていくのを見てわしは焦った。

突然現れたゲートとそっから落ちてきたクイロを見て、なんで?って思考停止しているうちに事態が進みすぎている。

おいエンガク何とかならないのか?

さっきからやってる!何ともならない・・・いや、いける。

互いに《念話》で、通信していたんだ。

どうやら、ブラムドがクイロと戦っている為、氷の維持支配力が落ちたらしい。

エンガクは全身から炎を吹き出し氷を融かす。

そして、わしのもとに駆け寄り融かしてもらう。

そんで、エンガクには他の者の救出を継続させる。

わしとホーリィは舳先でブラムドと巨大になった怪物クイロの戦う姿を見た。

こりゃ早く止めないと・・・見てたい気もするが・・・

あいつはペットであって化け物ではない!

『こら!クイロ!!わしは無事だ!!』


一瞬クイロの両目の光がわしを撫でていった気がした。

ブラムドは自身のダメージの蓄積があまりにも大きいことに気が付いて驚愕した。

なのに相手は・・・こちらは呪詛をまとっての攻撃をしているはずなのに奴は急速に治っている!

『神々め何かしているのか!!』そしてその神々を睨みつける。


自身を拘束する腕が急に無くなった、ブラムドはクイロから解放されたのだ。

『何?』

小さくなったクイロがうれし気にピーとか鼻を鳴らしながら海面に出ようと泳いでいるのを見たときブラムドは・・・

『貴様!私を愚弄するのか!!』と、クイロに食いつこうとした。


『あの者達に関与したいと思うのは我らだけではない。』と神々の声がした。


赤い巨大な細長い大妖がブラムドに襲いかかる、海の妖怪あやかしだ。

あらゆるものを飲み込む食い尽くす海の妖怪。

それがブラムドの左前鰭周辺を食いちぎったその反動でクイロから引き離す。


そしてそのままどこかに去っていった。


『グッ!だがまだ。』光線を撃つ準備をするブラムド、今の体力ではこれでおしまいだ・・・やられすぎた。

『逃がさぬ!!』クイロを狙い放とうとしたとき

海の下から巨大な何かがクイロを頭に乗っけるようにして現れた。

海の大妖、海坊主だった。

巨大な目でじっとブラムドを見つめる海坊主。

『どけ!如何に大妖といえど・・・』


光線は口腔内で消滅した。

体力がそれを維持できなくなったのだ。


そして沈んでいくブラムド・・・・集まってくる配下の水龍達。

そして、ブラムドの下に入り支えるようにしながら去っていった。


海坊主はその光景に満足したのか、海中にゆっくりと戻っていった。

クイロを置いて。


グレートメアリーの近くでピーピーしながらくるくると回りながら泳ぐクイロ。

船の周りの氷はいつの間にかなくなっていた。


『わかったわかった。』と、わしはウインチとクレーンでクイロを甲板に上げゲートで元の湖に送ってやった。








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