ゴブリンキングの外憂 その27
わしは、どこかに連れてこられたのだろう。
体が動かない。
体をつたい暖かいものがあちこちからたれている。
始めは痛みもあったが今は意識がはっきりしない。
痛みはわき腹と左手、両足のすねに痛みを感じていた。
わしは巨大な何かの金属の柱に無造作に杭で打ちつけられ固定されていた。
悪魔の魔法技師と魔王が話しているのを意味もわからずぼんやり聞いている。
『魔力が不安定ですね、なぜ魔王クラスの威圧ができたのでしょうか?』
『それを調べるのがお前の役目だ。』
『はい!申し訳ありません。やはりまがい物ゆえでしょうか?それにこれほどの結界必要でしょうか?』
『たかがゴブリン。まがい物にも満たぬ。だが、用心だ。』
『はい!そうですね。魔王様。』
扉が不意にノックされる。
『魔王様』扉の外から声がかかる。
『なにか?』
『我等が領域にドラゴブリン等が侵攻。交戦中。砦での交戦も始まってる地域もあり・・・』
と扉の外から
魔王は苛立ちを抑えず、扉を開け。
『どこの国だ!?』
『全方位つまり隣する国全部です。』
『なんだと!龍共はいるのか!!』
『いえ、いません。ドラゴブリンだけです。』
『なぜ、砦までも侵攻を許す?怠慢だぞ!!』
『それが・・・・ドラゴブリンと思えぬ大きさの者もいて・・・』
『言い訳無用!その場を任せている者を更迭、処分し体制を変えろ援軍の派遣もさせろ、薄汚いゴブリンどもを根絶やしにするのだ。』
『はっ!』跪き礼をする、そのものを無視し魔王は扉を閉める。
『なにが?何が起きている?いかにドラゴブリンの群れと言えども私の召喚した悪魔共や私の生成した魔物たちの敵ではないはず。』
『なにかありましたか?』と、魔法技師
少し考えて
『いや、瑣末なことだ。』
ぷーぷー
ぴーぴー
ぷーぷー
ぴーぴー
『ここは?』
『魔王の城だ、お前等はぐれるなよ。』
『ゴブリンキング様は?』
『わかんね。でも、上の方だと思う。ここは悪魔とか魔獣もいるからつかまると喰われちゃうぞ。』
ぴー!!とか、ぷー!!
とか悲鳴が
『声を出すなよ。そんではぐれるなよ。』
だが小人は知らなかったのだ、ティーカップオークは飽きやすいのを。
何度かのバラケと小人の怒り炸裂のなかそれは起きてしまった。
ティーカップオークの一匹が扉の奥を覗いて
『ゴブリンキングしゃま!』と叫んでしまったのだ。
速攻で捕まるティーカップオーク。
小人は他のティーカップオークを連れて急いでそこから離れた。
『やられた。一人連れて行かれた。』と小人
『助けよう』
『あの扉の中にもしかしてゴブリンキン様が・・・』
『食べられちゃう?』
『死んじゃう?』
『おなかすいた』
『さっきのやつもうないの?』と、・・・・・言わずもがな
小人はこいつ等本当にここに何しに来たんだ!?と、心の中で怒鳴った。
こんな奴がいましたが?魔法技師が丸い物体を摘み上げる。
丸い物体は、ぷーぷーぴーぴーいいながら暴れている。
『ゴブリンキングしゃま、助けに来たよ。』少し涙ぐんでいる感じなのに言ってることは勇ましい。
そっと魔王がティーカップオークを魔法技師から受け取りつまみ上げた状態でゴブリンキングに見せながら。
『ふ、心強いなゴブリン。こんな矮小でもろい生き物に自分のみを護らせるか・・・・・わはははははははは。』
『弱き物!!それは死すべき!!』
床にティーカップオークを叩きつけるように投げた。
ぴー!!
床に叩きつけられるティーカップオーク何度か弾んだ後、暫く動かなかったが・・・這いずるようにゴブリンキングの入った結界の方に向かっている。
わしはボンヤリとした意識の中それを見ていた・・・・・
魔王は、その姿に嘲笑を浴びせた。
『見苦しい、見苦しいぞ。』
魔王は左手の指のすべてをティーカップオークの方に向けた。
ズブっ!!
中指の黒い爪が伸びティーカップオークの背に突き刺さった。
『ぷきー!!』絶叫だ。
『くくく。』他の指からも黒い爪が伸びティーカップオークに突き刺さる。
飛び散る血の一部が結界にもかかるほどに・・・
あっという間に、虫の息になるティーカップオークが
『ごめんなしゃい、ゴブリンキングしゃま・・・・助けられなくて・・・・痛いよ・・・』ぷーっと鼻を鳴らした。
わしは、朦朧とそれを見ていた・・・・
わしの中でなにか・・・・蠢いた。




