詰めろ逃れの一手
いつから僕は楽しかったんだろう
好奇心から始めた勝負
いつから本気になったんだろう
負けず嫌いの僕の性
いつだって勝敗は
僕のすぐそばにあって
勝つために僕は
赤ちゃんになって泣き叫ぶ
負けたときは悔しくて
勝った時には嬉しい
そんな当たり前なことが
新鮮なことに感じて
負けたときに悔しくなって
なのにいくらやっても勝てなくて
僕は春の椿のように
盤上から駒を落とす。
冬の椿を咲かせる水が
とてつもなく濁っていたならば
椿の綺麗な白い花は
葉と共に灰色に染まるだろう
そのきれいだった川の水は
魚が住めないからと言っても
こんな濁った川の水には
どんな魚が住めるのだろう?
いつから僕は楽しむことを忘れ
相手を恨み始めたのだろう
いつしか僕は勝つことを求め
何を見て
何をして
何と戦っているんだろう