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約束の樹

【閑話休題】幸福日記

作者: 雨夜 紅葉

君と居られるだけで幸せだって

そう、思えたんだ。


村を見下ろす丘の上、約束の樹の下で。

僕らは出会い、恋をした。

結局、伝えることはできなかったけれど。

それは確かに、恋だった。


春も夏も、秋も冬も

君が居るだけで、毎日は輝いて。


『もしこの想いを、伝えられていたのなら

僕らの未来は、変わっていたのだろうか』


指先が触れあうぐらいの距離で

僕らは、たくさんのことを話した。

明日のこと、今日のこと、昨日のこと。

そんな、普通の毎日が

奇跡のように思えた。


『君と居られる時間は

いつだって、あっと言う間に過ぎ去って』


君は、幸せだったのかな。

少なくとも、僕は

君と出会えて、幸せだった。

こんな結果になった今でも

君のことをあいしている。


『あの日々が、ずっと続いて欲しかった』


これ以上なんて望まないから。

ーーなんて。

全部終わってしまったあとで

そんなことを思う。


僕らはきっと

何よりも不安定で、何よりもちぐはぐだった。

それでも。


もしも、もう一度君に逢えるなら

今度はちゃんと、伝えるから。


『ずっと、好きだった』




これは約束の樹シリーズの

『おとこのこ』と『おんなのこ』が幸せだったときのお話です。

わかりにくくて申し訳ありません。

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