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黄金の大地  作者: k0uk1s1n
7/22

ヤマイヌ[中編]

対策本部

本田たちを入れて3チームが集められた。

野犬の群れは北九州を抜け、犬鳴山付近に潜伏しているらしい。犬鳴山、南北に山脈が連なってるが?

「相手は犬でしょ?楽勝じゃんw」

他の隊の奴らが軽口を言う。そうであってほしいが。家畜の牛を数頭倒して、その場では捕食せず、素早く解体して、山中で食べるような、狡猾な相手だ。

本田「居場所の特定は?」

対策本部長「残念ながら、山全体だ。捜索から始めることになる。3チームに分かれて、接敵次第、駆除していく感じになる。この機を逃すとまた群れは移動する可能性がある、ここで仕留めたい。群れのリーダーを無力化して作戦の成功とする。」

他の隊員達は昔あった、犬鳴トンネルの怪談話で盛り上がっている。

西尾「呑気なもんだぜ。(ぼそっ)」

吐き出したくなるのも無理はない、ウチの駐屯地は悪夢騒ぎがあったから。……他の駐屯地は無事のようだ。

といっても彼らがどこの駐屯地から引き抜かれてきたかは不明だ。

本田「質問です。北九州の駐屯地からはチームは来てますか?」

対策本部長「いや?どういうわけか北九州方面は来てないな。お前らも含めて皆、九州南部の隊員だ。」

藪蛇かな?これ以上の質問はやめておこう。

対策本部長「お前らはふもとの神社仏閣から山に入る。作戦開始までまだ時間があるから、戦勝祈願でもしとけ。」

神社仏閣か、内戦後、都会で興隆した新興宗教団体がある。田舎から都会に疎開した連中が中心となって、

起こったソレは地元に帰ることを目的に活動していて、

地元の風習、文化の保護、神社仏閣の管理、修繕なんかもしている。

「今時、神頼みもないでしょw」

そうだよなぁ、今年は何年だ?町中にアンドロイドが闊歩するどころか、専門の高級風俗店があるような時代だってのに。

摩耶「でもまぁ、していこうよ。皆の分の賽銭位はあるからさ。」

アンドロイドは無給なはずでは?


夕暮れの伊野天照皇大神宮に鈴の音が鳴る。

本田、西尾、摩耶はならんで手を合わせていた。

本田「……」

西尾「生きて帰れますように。」

摩耶「隊長さんは何を願ったのさ?」

本田「いい嫁ができますよーに、さ」

何だよソレー、他の二人の乾いた笑いが響く。

1700作戦開始。当たりは暗い。襲われる危険も増す。だが、そうしないと、やつらは隠れて行動しない。

やるかやられるかだった。

しばらくして、他の隊から最初の接敵の連絡が入る。

『野犬2、歩哨と思われる。排除せずに外傷を負わせて本体のところへ戻す。』

本田「なるほど、手練れてる。」

山間の茂み、急勾配の所で本田は聞いていた。

『命中。後を追う。他のチームも合流されたし。』

本田はライトで山道を歩いていた摩耶に合図した。続けて、摩耶が遠くにいる西尾に合図を送る。集合。

摩耶のところに集まる。いったん下山して車で他のチームの所に行く。

西尾『竜海寺のチームのところか遠いな。』

そう言うな。本田と摩耶が西尾の合流を待ってる間に、緊急の連絡が入る。

『やられた!2人負傷、足を噛まれて重傷だ!これ以上の作戦遂行は無理だ!本部!』

対策本部『Aチームは後退しろ。BチームはそこからAチームのバックアップ、Cチームは速やかに移動、捜索を引き継げ。』

摩耶「隊長さん……」

西尾「やばいんじゃないのか?」

Cチーム、ウチだな。

本田「聞いてのとおりさ、作戦を続行する。」


救急車の光で赤く光る竜海寺で負傷者が出たAチームとその後退のバックアップをしていたBチームと合流する。

「救護班早く!」

「破傷風になるぞ!急げ!」

負傷した隊員たちがストレッチャーで素早く運ばれていく。

本田と西尾が呆然とする中、摩耶はAチームの指揮官に状況を詳しく聞き取りをしていた。

ソレを尻目に、Bチームは捜索の続きに山の中へ入っていった。

摩耶「隊長さん。これ、結構やばい案件かもよ?」

本田「……だろうな。」本田はタバコにマッチを使って火をつけた。

西尾「俺たちも行こうぜ。」

本田達もBチームのあとに続いた。


Aチームがやられたので、急遽、戦闘支援用ロボットが投入されることとなった。

西尾「つっても、何分後だよ?」

摩耶「新型の実戦投入もやるってさ。」

本田「企業の連中は、現場をなめてるな。」

少し精神が敏感になってるかもしれない。本田は首を横に振った。Bチームの背中は見える、この距離なら咄嗟の時もカバーができる。

摩耶「ソロソロ、最初の接敵ポイントだ。」

Bチームが血痕を発見して、その後を追う。まだどこかにAチームを負傷させた奴らが潜んでるかもしれない。

Bチームと本田達は警戒しながら暗い山の中を進んだ。

後ろから、カシャカシャと何かが駆動する音が聞こえてきた。たぶん、増援のロボットだろう。

「早かったな。」

Bチームの指揮官が言う。

その時、茂みから野犬が一匹、飛び出してきた。 

今度は、奇襲にならない。すぐにBチームの隊員に制圧、無力化された。

しかし、野犬を見たBチームの隊員の様子がおかしい。

本田も野犬を確認したが、ソレは撃つ前から既に死体だった。所々、ウジが既にたかっている。

西尾「うわ!なんじゃコリャ!?」

西尾はその場で吐いた。そりゃ見たやつはそうなる。

本田「先に進むぞ、野犬リーダーを無力化する。」

摩耶もサイレントモードにしていた肩のレーダーをカシャカシャ鳴らし始めた。

本田「摩耶、生体センサーで探すな。多分、映らないぞ。」

摩耶「何も無いよりマシだよ。いや、敵影1。」

そう遠くない、山の中腹に野犬らしき生体反応があった。

摩耶「野犬のボス、リーダーかな?」

Bチーム指揮官「ソイツだけ生きてるのか?ロボットと合流したらソイツのところに向かおう。」





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