ひとつめ 筆箱を忘れた時の対処法
やっぱり最初に書くことって黒歴史なんじゃないかなーなんて思ったので黒歴史を書きます。
黒歴史と脳内検索をかけて一番上に出たやつにしようと思います。はい、でました。マイルドかつ苦い思い出。
あれは高校に入学してしばらくした頃。5月頃だったと思います。ちゃんとした進学校だったのでみんなピリピリしていて、人見知りの私はよけいクラスに馴染めてませんでした。朝から下校まで運が良ければ(口を開くのは授業で当たった時のみ)口を開かない日も……。
そんなこんなな5月頃。
朝、登校した私はあることに気づきます。
……筆箱を忘れたのです。
陽キャな皆様は思うでしょう。
借りればいいじゃん。
あ、アウトです。何がアウトかって?……私の心がノックアウトなんです!
普段は取り繕えてるんですよ……!
でも、自分から話しかけるなんてそんな恐れ多いことできません。あ、あの……、なんて声をかけようものなら、緊張と精神的苦痛から裏声、ビブラート、ピアニッシモのトリプルコンボやっちゃいます。
変な声で震えながら小さく声をかけられるなんて、向こうも困惑だし私も辛いです。
つまり、筆箱を忘れてしまった今、筆箱なしで1日過ごすしか選択肢はありません。
Qでは、ノートはどうやって取るのか?
Aシャー芯で取ります。
シャーペンではありません。シャー芯です。偶々、予備としてシャー芯ケースをカバンに入れてあったので、シャー芯だけあったのです。
はー。これで一安心です。
シャー芯ちょくでつまんで、字を書けばこれで解決。万事おーけー。
細いシャー芯を、親指と人差指でつまみ、ゆっくりと字を書いていきます。
ん?おかしいって思いますか?シャー芯だけじや無理だって思います?
私は思いませんよ。皆さんだってよくよく考えれば納得できるはずです。
まず、皆さんは紙に字を書く時、何で字を書きますか?
インクとか芯(炭素)とかで書きますよね。
ボールペンで書いてるのではありません。インクで書いているのです。その証拠に、中のインクを抜いてみてください。ほら、かけないでしょ?
シャーペンもそうです。芯で字を書いているのです。鉛筆の木の部分のアレだっていらないけどオシャレでああして、炭素を木で覆っているのです。むしろいらないんじゃないでしょうか?中の芯さえあればかけるのにちょっと個性とかをあそこで出しているのです。そう考えれば、今は芯だけでむしろスリムに……ありのままの姿で素敵じゃないですか。
炭素、いえ、Cの固まりさえあればいいのです。
そういうわけで、私はケースからシャー芯を取り出し、ボキボキと時折力加減を間違えながらも、ミミズのような字でノートをとります。
消しゴム?間違いを消すなんてナンセンス。過ちはそのまま認め、受け入れなければなりません。フランスの教育機関だって、消せないようにボールペンを使ってるってききました。大丈夫大丈夫。などとやっていた自己暗示に危機が訪れます。
あれは3限ぐらいだったでしょうか……。
明確な危機……
小テストが出現。
事前予告無しの小テスト、ゲームの敵キャラとのエンカウントならまさに"不意を突かれた"と出るやつです。
先制攻撃で精神に大ダメージ。
流石に消しゴムくらいないと心もとないですし、この力加減が難しくてミミズみたいになっちゃってる字が先生に解読できるかが大いに不安なところです。
しかし、テストは数学だったで、何とかなりました。
数学はどの問題の答えがどれなのか分かる書き方をしていれば、空いた空間は自由にメモに使っていいからです。
そういうわけで私は恐ろしく丁寧に計算を進め、答えを記入していきます。絶対に間違えられないのてす。消しゴムがないから。
結果テストは無事終了。数学だったのが幸いでした。英作のテストなら確実に撃沈だったでしょう。
一時は NO筆箱NO学校がよぎったもののホット一息。
しかし、世の中そう上手くはいきません。気が緩んでふわふわしているときにこそ、危機がダイレクトアタックしにくるのです。
先生が私に会心の一撃を放ちます。
「じゃあ、隣の人と交換して答え合わせして」
トナリノヒトトコウカンシテコタエアワセシテ?
脳内処理が追いつくのを嫌がっていました。
丸付けには赤ペンが必要なのです。そんなものは持ち合わせていません。在庫無しです、おひきとりを……お願い致します。ほんとないんです、あんまり、いじめないでください。
しかし、そんなことを言ってられません。どうにかしなければ……いやなるかよ!?
答え合わせは諦めるという手も、赤ペンの代わりにシャー芯で丸付けするという考えも、隣の人と交換してというよけいな一言が一蹴。
先生はチーミング対策のつもりだったのでしょうが、関係なくちょーピンチです。もしかしたらチーミング対策ではなく、筆箱持ってないやつをいじめるためなのかもしれません。
しくしくしている間もなく、隣の人と答案を交換します。
自分の答案を心細い思いで見送り、向かってくる答案にはヤバいの一言。恐怖すら感じます。
自分の前には隣の方の答案。
男子生徒なのですが、几帳面な字で綺麗に回答が書かれています。それすらもプレッシャー。
このまま返して、天才には見えないインクで丸付けしましたといえば赦してもらえるてしょうか。
その時、私の様子に気づいたのか、隣の方が問いかけてくれます。
「赤ペンないの?」
コクリと頷き返します。咄嗟に声は出ません。
今なら筆箱を忘れてしまったことを伝え、赤ペンを借りられるかもしれない。そう思い口を開こうとした時、差し出されるのは赤ペンとシャーペン。
シャーペンまで貸してもらえると思わなかった私が相手の顔を見ると、目線は私が使っていたシャー芯へ。
一瞬で理解しました。
私が朝からシャー芯でノートを取っていたことに気づかれていたのです。
あの四苦八苦しているのが、見られていたということでしょうか?
借りれば解決するのに借りられないことがバレているということでしょうか?
ありがたい気持ちとともに感じるのは猛烈な恥。
いや、おかしいだろ私!何でシャー芯でノートとってるの?シャー芯っていうのは、シャーペンの芯だからシャー芯なのであり、シャーペンがなければただの芯。ペン要素は無いんだから書けやしないよ。メーカーだって困惑突き破って驚愕だわ。
黒ずんだ指先。ボキボキ折れるせいで消しかす見たく集まっちゃってるシャー芯。
何でそんなんでノートとれると思った?いっそあきらめればよかったのに。
私の中の私が呆れ顔をしています。でも、とか、けど、なんて言い訳は完全黙殺。だって私だから。
つーか借りればそれでいいんじゃないか?なんて酷なことを言ってくれます。……そ、それは絶対ムリなの。
赤ペンとシャーペンを貸してくれた隣の方に言った感謝の言葉は、ちょっとビブっちゃってたけど、メッゾピアノぐらいの音量は出てたと思います。
なんて話しだ、時間無駄にしたぜ……。って思いました?残念でしたね。
もうあなたは読んでしまったのです。このページを開けてしまった、そして、読んでしまったのが運の尽き。諦めましょう。振り返ったって失った時間は戻りませんし、なかったことにはできないのです。
そう、私のシャー芯事件のように……。
シャー芯でノート取るやつの話も深夜テンションで書けばこんなもんです。
それじゃあ、ぐっない。
即投稿してやるつもりが眠すぎて布団へ墜落。翌朝浮上予定。