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その女は一体

今日はレイラにとっての恩人が帰ってくる日。一見幸せな日常に思えるが....。

【プロローグ】

 当時は戦争の真っただ中だった。廃墟となった街は賑わいを失っており、餓死するか、命を奪われるかの二択しかないと言っても過言ではなかった。

 その中、一人の少女がそこでひっそりと生きていた。まだ両手で数えられるほどの年ではないのにもかかわらず、孤独に過ごしていた。生きる意味すら分からない中で少女は命をつなぐために日々彷徨っていた。  

 だが、食料の不足にあえいだ少女は街から森へと転々と生き場を変え、小動物を殺し、果実を取り過ごしていた。それは一時期の幸せにしかならない。場所を変えようが空っぽになった心を癒す存在は現れず、むしろ穢していくばかりだった。その話を知るものは....数えられるほどしか存在しない。


【第一話】

 ルシャトー。ここは国の中で一番とされるほどの規模を持つ街だ。その中心には大きな城が建てられていることは誰もが知っている。一見貴族が住んでいそうに見えるのだが実際は「騎士団」という人々を脅威から守り、平和を守るための組織があるのだ。そしてその周りには賑やかな市場が立ち並んでおり、夜になっても人の気配はやまない。

 今日はいつに増しても街がにぎやかだ。それも当然だろう。なんて言ったって、半年もこの街から離れて任務を行っていた副団長アルスが帰って来たのだから。

 アルスは私にとっては父親そのものだ。幼いころ私を拾い、ここまで育ててくれた命の恩人だ。私が今生きているのもアルスがいてこそだろう。

 それで、私はその朝いつもより早く起きた。一番好きな人が帰ってくるのだから寝れるわけがなかった。すぐに騎士団の正装に着替え、街の門へと向かった。

 仮にも私も騎士団員。もし何かあったらいけないと見回る必要がある。私達の部隊である「アーンシン隊」は大勢の人を狙うテロへの対策をしないといけないからアルスを迎えているどころではなかった。だが部隊長はなぜか私に休暇をくれたのだ。最初は断ろうとしたが親の帰りくらい迎えたいだろう、そう言い張った。私はそれに負け、休みをもらうこととなったんだ。

 少し待っていると、遠くから段々とアルスが乗っているであろう馬車が近づいてくる。人々もそれに気づいたのか声を大きく上げ、アルスを歓迎していた。私はちょっとしたプレゼントを渡すつもりだったが...人でごった返していて肝心のアルスの姿がほとんど見えない。一瞬だけ見えたアルスの表情は笑顔で、疲れを感じさせないものだった。派遣先は相当遠いはずだったのに。


 人も空いてきた夜。まだ市場にはいつもよりも人がいるが動けないほどではなくなってきた。私はアルスの執務室へと向かう。

「...アルス!」

随分疲労している様子着替えていた。こんな様子だから申し訳ないとしか思えなかったが、私の姿を見たアルスは一瞬で表情を戻して言う。

「...久々だな、レイラ。会うのが待ち遠しかった」

「私も...会いたかった....!」

 あぁ、暖かい。こんな気分になるのも久々だ。ずっと無理させるわけにもいかないから手早くプレゼントを渡す。

 アルスは帰ってくる前、定期的に私に手紙を送ってくれた。時々ルシャトーの郷土料理が食べたいこと、早く仲間に会いたいことなど多く書いていた。どうやらその地域の料理は大きく違うらしい。私はそんなアルスに料理を作ってきた。それをテーブルの上に置く。まだ作ったばかりなこともあり美味しそうな香りが部屋の中で漂う。

「まさか、こんなプレゼントがあるだなんて...うれしいよ、ありがとう.」

 それからしばらくの間、派遣先とルシャトー、2つの街の様子をお互い共有しあった。ただいいことばかりではないようで、どうやら得体のしれない武器が流通しているとのことだ。調査で得た情報ではだれでも簡単に扱えることができ、殺傷能力が余りにも高いらしい。

 思い返してみれば最近、どこからともなく響く大きな音を聞くことが増えている。その後騎士団の捜査でその現場へと向かうと必ずと言っていいほど人が倒れている。だが犯人の痕跡は全く見つからないのだ。確かに治安が悪いとはいえここまで不祥事が発生することはなかった。アルスも私も、この国で新たな脅威が迫っていると、確信していた。

初めての投稿となります。これからボチボチ気が向いたら投稿します。よろしくお願いします!

~登場人物~

【レイラ】

赤い瞳と赤い髪を持つ美しい少女。遠い異国の血を引いているため、人々の注目を集めることが多い。そんな彼女は騎士団随一の剣士として広く知られている。その実力は騎士団内で最強と言われるほどだ。だが謎めいた部分も多い。


【アルス】

騎士団の副団長を務めている青年。その役職上、彼はルシャトーを離れていたがようやく帰還。だが謎の武器の事件が彼を悩ましている。


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