告白
僕は今日もこの町で生きている。あの日の告白の答えをまだ迷っている。その中で久々に行った駄菓子屋で見つけたのは…
僕は今日もこの町と生きている。大好きで大好きでたまらないこの町で生きている。彼女からの質問、答えるのは簡単だが責任が伴うだろう。
昔から立ち寄っていた駄菓子屋のばあちゃんに"お前は優柔不断だなぁ"とよく言われたのだが、今も同じだ。彼女への回答にずっと迷っている僕を表すのにちょうどいい言葉と考えるべきだろう。
そして今日も駄菓子屋に来た。やるべき農作業に一区切りついたからだ。小さい頃は友だちと一緒に来ては買うものを悩んでいた。友だちに少し急かされながら、ばあちゃんには愚痴をこぼされながら…そして店の外で買ったものを食べながら喋っていた。今は僕の友だちはみんな街に出て、若者も住民も少なくなって誰も来なくなったから、店もその周りもどこか寂しくなった。
"おぉ、お前か…久しぶりだねぇ…"とあの頃のように笑いかけるばあちゃん。どこか弱々しい見た目になっていたが、口だけは変わらずそのままだった。いつも通りお菓子選びに悩んでいると、いつも通り愚痴をこぼされた。しかし、その愚痴は昔と比べてどこか寂しそうだった。この駄菓子屋に来る客が減ってしまったからなのだろうか。
買うものを決めてばあちゃんの元に持っていくと、あの子が店に入った。店に入ったあの子は僕の肩を叩いた。僕は会計を済ませて外に出た。
あの子は僕にあの質問の答えを聞いてきた。質問の答えはあった。頭の中には答えがあった。しかし、本人の前では答えられないままだった。焦ったい、早くしてほしい…そう思われていると考えると自分の中での葛藤が止まらなかった。
その中で咄嗟に出たのは"近くの滝を見に行こうかな"だった。駄菓子屋の近くの橋の下に流れる川を少し歩けば小さな滝がある。僕が悩むと決まってそこに行くことにしている。この言葉につられたのかあの子は僕に不思議そうにしつつもついてきた。
この小さな滝は昔僕の親が告白した場所だった。あの時の答えは保留だったものの、ここには運命的な巡り合いがあると感じた。なら本当に伝えたいことが言えるのではないか…そう感じた。
隣で答えを待つ彼女にあの日の質問の答えを伝えた。
"こんな僕でよければ、今後ともよろしくお願いします"
告白の答えとしては80点ぐらいだろうか、あの子…いや彼女はくすっと微笑んでくれた。僕の中では彼女は顔見知りから友だちになったばかりの少しぎこちない関係だが、きっと良い関係になるはずだ。
彼女の発作はこの町に来てから良くなったらしい。しかし、いつ再発するかはまだわからない。もしそうなった時、優柔不断な僕はどうするのだろうか…