第7話 決意
あの日、俺たちはそのままギルドへ方向に行き、別れた。
当然ソフィはシャルロットの様子に気付きシャルロットも事情を説明した。
結局ギルドの確認不足ということで俺たちは本来のランク相当の報酬を貰い、村は本来必要な依頼料を払うことになった。
しかし依頼中の怪我は何があっても自己責任なのでシャルロットへの治療費や迷惑料と言ったものは渡されなかったのだ。
俺は最初はその事に憤慨したものだがシャルロット本人が納得している様子だったので俺が怒るわけにもいかずその場はお開きとなった。
そしてその翌日、つまり今日はそれぞれ休養を取るということになり別行動として後日またコンビで依頼を受けようということになった。
俺は今、宿舎を借りてその部屋の中にいる。
別に昼間まで寝ているわけではない。
昨日のことについて考えていた。俺は昨日、シャルロットが怪我をしそうになった時に何も出来なかった。
心のどこかで「自分は転移者できっと上手くいく」なんて甘い考えがあった。
実際は何もできず。ただ代償を払い、仲間を危険に晒し、そしてその後の対応すら任せてしまった。
この出来事は俺に、変わらなければならないと思わせるのに十分な内容だった。
なので今日の一日を使って変わるために必要なことを考えようと思った。
この世界で、生まれ変わるために。
「転移者」から「転生者」になるために
まず、自分のステータスを確認しよう。
昨日の最後で代償を払ってスキルを獲得したのでその確認もしたい。
剣崎早渡18歳 Male 人間 lv4
Str 3(+0)
Agi 13(+0)
Vit 1(+0)
Dex 1(+0)
Int 1(+1)
Luk 1(+0)
スキル
・公用語理解lv MAX
・剣術lv2
・神速lv1
・疲労軽減lv1
状態
・代償lv 4
・混乱 0.24
・存在値 1.00
案の定代償のlvが4になっている。何があるかは分からないができるだけ代償のlvを上げるのは控えたい。
あとは、剣術がlv2になっている。lvが上がってもアナウンスがあったりはしないのか。
新しく獲得した「神速」と「疲労軽減」はどんな効果なんだろうか。ステータスから説明が見れたりしないのだろうか。
「管理者へリクエストを送信しました。」
「リクエストが許可されました。」
「鑑定スキルを獲得してステータスを詳細表示します。」
「管理者へのアクセスが検知されたため存在値が奪われます。」
「存在値の減少を検知されたため代償を払って存在値を戻します。」
...やってしまった。
いや、これ勝手にリクエスト送信するのやめてほしい。
安易に考え事もできないじゃないか。
まあ、これでスキルの詳細が見れるならみてみるか。
ついでに今までに持ってた2つのスキルも鑑定しよう。
公用語理解 最大Lv-
その世界の公用語を理解することが出来る。
理解した言葉は自身の理解できる言葉に翻訳されて届く。
なるほど、自動翻訳スキルということだな、想像通りだ。
剣術 最大Lv10
剣術を習得できる。また、剣術を用いて戦闘を行う際にlvに応じた身体強化がかかる。
...それだけ?なんか秘奥義とか派生スキルが使えたりしないのか?
まあ身体強化だけでもありがたいものだ。
神速 最大Lv10
爆発的に速度を上げることができる。効果時間と冷却時間はスキルレベル×1秒
効果は(スキルレベル)²×自身のAgiで算出される。
また、スキルを発動しなくてもAgi+12
これは凄まじい効果だ。今はスキルレベルが1なので等倍だが、lvが2になるだけで速度が4倍になる。Lvを最大まで上げれば10秒間、速度が100倍になるということだ。
疲労軽減 最大Lv10
受けている疲労と受ける疲労を軽減する。
説明文が短いのは疲労というものが数値では表すことが難しいからだろう。効果はかなりのものだ。
代償 最大Lv10
上位存在へのアクセスを試みた愚者の烙印
ダメ元で代償を鑑定した結果がこれだ。くれぐれもlvが10にならないようにしなければ。
そして、これからどうするかを考えようと思う。
あのときもっと速度があれば助けることができたはずだと考えた俺は速度を上げることにした。
そのために「神速」スキルのlvを上げようと思う。おそらくスキルは使用すればするほどlvが上がると思う。幸いスキルレベル1では1秒の効果時間でそれが終わったあと1秒したらまた使えるのでずっとこれを繰り返してlvを上げようと思う。
そしてスキルを使用しながら宿舎の部屋の中を歩き回って数時間。もう夕方になってしまった。
しかし神速のlvは2に上がっていた。これで2秒間という短い時間だが速度を4倍にすることが出来る。これからもこまめに使ってlvを上げていこうと決めた。