プロローグ
家の近くには日本一綺麗な海がある。
それは宝石のように輝いていて、夏になると全国から人が集まってくるほどに美しかった。
幼い頃から体が貧弱だった僕は海に入ったことがない。
泳げる泳げない以前に太陽がダメで、日中は日傘をさしてやっと外に出れる。自分でも可哀想と思うほどだった。
そのおかげで肌真っ白、半引きこもり生活を送っている。
でも、そんなことどうでも良くなるような習慣があった。
サンダルで砂を蹴りそこへと向かう。
そこには満点の星が祝福をしてくれているかのように空に咲き誇り街を彩っている。
この街は結構な田舎で夜に電柱以外の光がついていないためか、よく星が見える。
周りには日中いた人も消え、静寂が支配しており、騒がしいことが嫌いな俺にとっては至高の空間だった。
そんな毎日を送っていたある日、いつもとは違うことが起きた。
いつも人っこ一人いない砂浜に人影が見える。それはいつも自分がいる位置に立っていた。
「すいません、星……見てるんですか?」
気持ち悪がられない程度の質問をしてみると、こちらに気がついたようで姿勢を変える。
その瞬間頭に激痛が走った。
それは突然のことで、自分には何が起こったのか理解できなかった。
目の前が暗くなるようなぼやけるような……その中で鮮明に覚えていることが1つあった。
それは今まで呆れるほど見てきたものに酷似しており、とても身近で……それなのに異質にしか感じれない。
それはそうだ、だってそこに立っていたのは。
どうしようもないほどに『自分』だったのだから。
初めての作品なので変なところも多くなると思いますが、今後ともよろしくお願いします!