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059

「……早過ぎですよ、二人とも」


 僕は剣を受け止められた体勢のままそう言った。


「お前がやったことは間違いじゃねぇよ。結果的に人を一人動かした。だがな、これはお前がすることじゃねぇ、あの人がすることだろ?」


 そう言って、ローレンさんは剣を鞘に収めながら、顔を僕の背後に向ける。

 するとそこには、息を切らして走ってくるマクベス先輩がいた。


「……確かにそうみたいですね。でも傍で見てるくらいはいいですよね?」


「いいんじゃないの、それくらいは」


 イリナもそう言って、剣を鞘に収める。

 僕達はそのまま横に移動して、マクベス先輩に場所を譲る。


 マクベス先輩は息を整えながら、ゆっくりと前に進んでいく。


「……ロイ。私は今日、君にお別れを言いにきた」


 フィアネル先輩はマクベス先輩の言葉に顔を青くする。

 おそらく、フィアネル先輩はマクベス先輩をそこまで好いてはいない。

 しかし、今さっきまで、買い物をしていた女性とは話が違っているだろう。


「君が二股をしていたことに関してはもう何も思っていない。寧ろ、今後の良い教訓になった。その女性は絶対に泣かせてはいけないぞ……」


 マクベス先輩は意外にも吹っ切れたような爽やかな笑顔を浮かべてそう言う。


「シ、シーラ……」


 流石のフィアネル先輩もマクベス先輩のこの態度には驚いているようで、目を丸くしている。

 フィアネル先輩の隣にいる女性はこの一連の出来事に頭が追いついていないようで、ぽかんとした顔で二人を見つめている。


「……とでも言うかと思ったか、クソ男ぉぉぉ!!!」


「ぐふぉっ!!?」


 そう思ったのも束の間、マクベス先輩はいきなり駆け出し、フィアネル先輩の鳩尾に強烈なパンチを叩き込んだ。


「「えっ、ええぇぇぇ!!?」」


 僕はこの展開を全く想像していなかった。

 それはローレンさんも全く同じだったようで、僕と同じように思わず声を上げてしまう。


「イリナさん、私達は予想できてましたよね?」


 すると、いつの間にか僕の隣にいたサータリーファルさんがそんなことを口にする。


「そりゃそうよ。あんなことされて、許せる女なんているわけないでしょ。いたとしたら、その女はもう女じゃないわね」


 僕は美しい形で終わるかと勝手思っていたが、女性陣はどうやら違ったらしい。


「え、いや、マジかよ……本当に女って怖ぇな」


「そうだ。君達も女を怒らせるようなことはくれぐれもしないようにな」


 そう言ったのは、フィアネル先輩を殴り終えたマクベス先輩だった。


「それと、今回は世話になった。お礼と言っては難だが、これを受け取ってくれ」


 そう言って、マクベス先輩は僕達に紙袋を渡してくる。

 例のプレゼントが入っているはずの紙袋だった。


 僕が中を確認すると、ティーカップが二つ入っていた。

 特にペアリングされているとかではなく、普通のティーカップなのだが、これを貰うのは何か嫌なことが起こりそうな、そんな気がしたのは僕だけではなかったはずだ。


「…………おい、これはちょっと貰いたくないんだけど?」


 ローレンさんは嫌そうな顔をして、マクベス先輩を睨む。


「何、遠慮することはない。君達の部屋は殺風景だったろう?」


 確かにあの部屋には何もないが、だからと言って、ある意味で曰く付きとなった代物を置いておく気にもなれない。

 僕はローレンさんも丁重にお断りするものだと、そのまま見ていたのだが……。


「……そうだな。ありがたくもらっておくわ」


「そうしてくれ。では私はこれで失礼する」


 そう言って、彼女は片手をひらひらと振りながら、格好良く去って行った。


 残されたのは僕達とフィアネル先輩達ということになるのだが、既に向こうは修羅場に突入しているようだった。


「貴方、二股かけてたのね……?」


「え、いや……そういうわけじゃなくて……」


「じゃあ、どういうことなのよ!?」


 フィアネル先輩のはっきりしない態度にイライラした女性は先輩に詰め寄り、何やら怒鳴りつけているようだった。


「……なんでそれ受け取ったんですか?渡されなかった彼氏へのプレゼントなんて、なんかアレじゃないですか」


「あ?まぁ確かにそうだけどよ……ほら、何かの記念になりそうじゃねぇか。ここに俺達があの依頼を達成したっていう証拠ができたんだからさ」


 僕はいつもなら絶対言わなそうなローレンさんのセリフに思わず笑ってしまう。


「おい、笑うことないないだろ」


 言わなきゃ良かった、とでも言いたげな顔で僕を睨んでくるローレンさん。


「いや、だって、ローレンさんに合わないですよ、そのセリフ。でも、確かに記念になりますね、それ」


「では、カップだけというのもなんですし、あの部屋にティーセットでも置きましょうか?」


「それいいわね、流石レイラちゃん!私も何か足りないと思ってたのよね」


 こんな他愛もない話をしながら、僕らは日々を過ごしていくのだろう、そんなことを考えながら、僕は皆と学院へと続く道を歩いていくのだった。

 本作をお読み頂きありがとうございます。


 作者から二つお願いがございます。

 ずばり、ブクマ登録と評価です!!

 何卒、よろしくお願い致します。


 感想、質問なども、どしどしお寄せください。

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