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「シオリ、フレオ君、こっち行ってみないか?」


 言いながら既に進んでいるイリオ。

 目を爛々と輝かせているところを見ると、本当に楽しそうだ。


「そんなに急がないでも、時間は一杯あるよ?」


「ちょ、ちょっと待ってくださいって!置いていかないでくださいよ!」


 フレオは額に汗を浮かべている。

 疲れたというよりも、この特殊な状況が体を強張らせているようだ。


「あ、ごめん……」


 途端にしょんぼりしたような顔をするイリオ。

 分かりやすっ!


「い、いやぁ……やっぱりあそこの店なんて良さそうです!ねぇ、姉様!?」


 わ、私に振ってきた!


「そ、そうだね!早く行きましょう、イリオ!」


 私は咄嗟にイリオの手を取り、美味しそうな串刺し肉が売っている出店に向かう。


「いらっしゃい!お兄さん、可愛い女の子連れてるなぁ!羨ましいねぇ」


 一瞬可愛い女の子というのが、自分を指しているのか分からなくなったが、今はこの中で自分だけが女の子なんだなぁ、と実感する。


「おじさん分かってるね!本当に可愛いよな。この子シオリって言うんだ」


 イリオはニヤニヤしながら、私の名前を広めていく。

 や、止めてぇぇぇぇぇ!!私の悪名を広めないで!


「自慢は気に食わねぇが、お嬢ちゃんの分だけまけといてやるよ」


「やりぃ!ありがと、おじさん!」


 イリオは三人分の肉を受け取り、代金を払う。


「はい、シオリ、フレオ君」


 にこやかな笑みを浮かべて、私達に肉を差し出してくるイリオ。

 男ながら、惚れてしまいそうな爽やかさだ。


「ありがとうございます……」


 フレオはこういうところで食べ歩きをしたことがないのか、心なしか目を輝かせている気がする。


「ありがと、イリオ」


 私もイリオから肉を受け取り、一口食べてみる。


「んー、美味しい!」


 別にいい肉というわけでもないだろうに、こういう風に食べると本当に美味しく感じる。

 お祭りパワーって、素晴らしい。


「どれどれ……うん、美味い!フレオちゃんも温かいうちに食べなよ」


「は、はい」


 フレオは恐る恐るといった感じで、口を近づけていき、一旦匂いを嗅いでから肉を頬張る。


「……美味しい」


 フレオは少し驚いたように目を見開いて、ぽつりとそう言う。


「良かった。じゃ、食べながら次行こう!」


「うん、行こう!」


 私もなんだか楽しくなってきた。

 フレオももっと楽しんでくれればいいのだが。



「っと、ごめんなさい」


 どうやら、フレオが通行人と当たってしまったようだ。


「あん?なんだぁ、兄ちゃん。可愛い女連れてんじゃん?彼女?」


 さっきから思うのだが、私ってもしかして、本当に可愛いのでは……?

 まぁ、それはともかくとしても、面倒くさそうな輩に絡まれたようだ。


「私の弟が何か?」


 私はあくまでも毅然とした態度で応じる。

 こういう奴らは下手に出てやると、つけ上がるのだ。


「いやね、あんたの弟クンが俺にぶつかってきたもんで。それより俺と回らない?金なら全部俺が持つからさ」


 狙いが丸分かりな程、男の視線は胸に行っている。

 世の女性はいつもこんな視線を向けられているのか。

 私も日頃から注意しておかなければならないようだ。


「結構です。行きましょう、フレオ」


「え……はい」


 私はフレオの手を引いて、さっさと先に進む。

 しかし、男はまだ付き纏ってくる。


「ちょっと待てって!楽しい思いさせてやるって言ってるじゃんかよ!」


 そう言って、私の腕を掴んでくる男。

 私はそれを無言で振り払い、そのままフレオの手を引いて、進んでいく。


「だから待てって言ってんだろ!!」


 今度は更に強めに掴まれる。

 流石に面倒くさくなったので、一旦フレオの手を離し、男を投げ飛ばす。


「ってぇなぁ!!もう許さねぇ!」


 男の魔力は膨れ上がり、スキルが発動したことが分かる。

 男は私に殴りかかってくるが、それは買い物から帰ってきたイリオに指一本で受け止められる。


「シオリ、何やってるんだよ?」


「ああ、ちょっとね。この人に絡まれて」


 少しは私の対応にも非があったと思うが、そこには触れずに適当にイリオに片付けてもらう。


「あ、そう……ちょっと、これ持ってて」


 男の拳を指一本で受け止めながら、平然と紙袋を私に渡してくる。


「てめぇは――」


「うるさいって」


 男が全て言い終える前に、イリオは男を地面に叩きつける。


「かはッ!!?」


 地面が割れる勢いで叩きつけられた男は少し吐血して、気を失う。


「お見事」


 私は気絶した男に回復魔法をかけながら、イリオに称賛の言葉を贈る。


「ありがと」


 そう言いながら、私の手から紙袋を取っていくイリオ。

 イリオを見て町娘達がキャーキャー言ってるよ。


「さ、次だ!もっと楽しむぞー!」


「そうだね。ほら()()()、行こ?」


「……はい」


 少し迷った素振りを見せてから、頭を一度横に振って、フレイはそれだけ言った。


 確実に溝は埋まっていってる、それを実感した一幕だった。

 本作をお読み頂きありがとうございます。


 作者から二つお願いがございます。

 ずばり、ブクマ登録と評価です!!

 何卒、よろしくお願い致します。

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