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018

「チィッ!!魔闘術《盾織(たており)》!」


 僕の剣はまたもや見えない何かに弾かれる。

 しかし、直接この魔剣を受けているということは……。


「ぐっ、おぉぉ……!」


 上から落ちてくる雷をまた上手くいなしている。

 だが、このに隙が生まれることは間違いない。


「《業炎球》」


 魔力を多めにして使った《業炎球》を、先輩を囲むように配置する。


「《魔絶(まぜつ)》!」


 先輩は姿勢を低くしているが、それでは避けられないはずだ。

 つまりこれで終わりだ。


 《業炎球》はそのまま先輩にぶつかり大爆発。

 どれだけ対魔法障壁を張っていても、これで無事なはずがない。


 しかし、黒煙が晴れたそこにはボロボロになりながらも、確かに意識を保ったマギレガー先輩がいた。


「……耐え切ったぜ、クソガキィ……!!」


 一体どうして!?……いや、そんなことよりもあの目だ。

 あの目はまだ全く諦めていない、そういう目だ。


「避けろ旦那ァァア!《組陣(そじん)紅地獄炎(くれないじごくえん)》!!」


 突如フィールド全体が赤く発光し出し、幾何学模様が浮かび上がる。


 これは地面に描かれた魔法陣だ!


「しまっ――」


 瞬間、魔法陣の中心がピカッと光り、光の柱が現れた。

 そして、それから間もなく《業炎球》の時よりも圧倒的に大きい爆発が僕とイリナを巻き込んだ。


「危ねぇ、危ねぇ……危うく負けるところだったぜ」


「……誰が負けたって?」


 黒煙が晴れてそこから姿を現したのは、今度は僕達だ。

 ギリギリのところで僕とイリナを守る対魔法障壁を張ることができた。


『……ローレン、どうだね?彼等は』


「ヤベェよ、マジで。今の俺じゃ、届かねぇ……だけど、次は必ず勝つ!俺の名前を覚えとけ、シオン!」


 まだ試合中だと言うのに、そんなことを言い出すマギレガー先輩。


『「降参だ」』


『し、試合終了!!優勝は――』


 その時、周りの景色が一瞬にして変わった。


 そこの地面は砂のような色をしているが、とても硬く、空は夕焼けのような、けれども全く違った。

 とにかく異質な場所だった。


「ようこそ、我が異空間へ。私はリガルス・アナデッド、よろしく頼む……そして、死ね」


 瞬間、白爆発に僕達は巻き込まれた。

 対魔法障壁を展開するが、威力がさっきとは桁違いだ。


 僕達は爆風で大きく後ろに吹き飛ばされる。


「中々やるではないか。その力、貴様の手には余るだろう……返して貰うぞ」


 アナデッドとやらはそのまま悠然と、しかし、とんでもない速さでこちらに近づいてくる。


 一歩で進んでいる距離と歩幅があっていないのだ。

 相手はまるで地面を滑るように進んでくる。


「誰だか知らないけど、応戦するわよ!」


 イリナは高速で駆け出し、そのままアナデッドの腹部に剣を突き刺す。


 決まった、と思ったが、イリナが剣を抜いた瞬間、時間を戻したかのように、相手の腹部の傷は再生していく。


 イリナは後方に飛び退いて、一旦距離を取る。


「なるほど……アンタ、高位の不死族ね?」


 イリナの剣を見ると、酷く腐食が進んでいて、完全に使い物にならなくなっている。


「ほう、よく分かったな。貴様のような人間と戦うのはどうにも苦手だ。何度滅ぼされかけたことか……」


「なーに、ぶつぶつ言ってんのか知らないけど、アンタには私の最強武器を見せてあげるわ」


 イリナはそう言って、自分の胸に手を当てる。

 そして、何かを胸から引きずり出すようにしながら、手を胸から離していく。


 すると目が潰れそうになる程の凄まじい光を外に放ちながら、何かがイリナの胸から出てくる。


「忌まわしい……《聖剣セイゼラリア》か……!」


「良く知ってるじゃない。なら自分に対しての効果も分かるわよね?……行くわよ!」


 イリナは再度駆け出し、光速で相手に肉薄する。


「知っている。だが、当たらなければどうということはない」


 相手は滑るように移動し、次々と繰り出される剣撃を交わしている。


「甘いな、まだその剣の力の一割も出せていない」


「そりゃそうよ!こちとら実戦投入初なのよ!」


 思わず僕はボーッとしてしまっていたが、とりあえず、《魔強化》でイリナを強化する。


 残念だけど、僕があの戦いに参戦したところで、あまりの速さに全くついていけない。


「そんな事情は知らぬ。ここで貴様が死ぬのは決定事項だ」


 そう言って、相手は十を超える大魔法陣を自分の後ろに展開させる。


「我が猛攻、未熟な貴様に耐えられるか?」


「ったり前よ!生憎アンタとは背負ってもんが違うのよ」


「その威勢だけは褒めてやる」


 アナデッドが手を振りかざすと、ドス黒い闇の鎖が四つの魔法陣の中から現れ、イリナに向けて飛び出す。


 イリナも勿論躱すなり、剣で弾くなりするが、残り六つの魔法陣から闇の槍が飛び出し、それを捌き切れずに、最後は鎖に捕らえられてしまう。


「イリナ!」


「おっと、貴様はそこから動くな。貴様が動こうものなら、最後に話す暇も与えずに此奴を殺す。いいな?」


「わ、分かった……」


 一体こいつの目的は何だ?

 イリナと僕に何の恨みがある?


「貴様は自分の正体……否、貴様に宿っている力の正体を知っているか?」


 力?……この体に溢れているもののことか?


「わ、分からない。自分の意思、というか何の理由かは分からないけど、まともに使えたのは初めてだ」


「……なるほど、何も知らないか……知って殺されるのと、知らないまま殺されるの、どちらがいい?」


 力の正体をこの人は知っている?

 だけど、今はそんなこと関係ない。


「イリナが殺されない方」


 僕が迷わずそう答えると、何に苛立ったのかアナデッドは語気を強めて言う。


「貴様のそれが私を更に苛立たせる!何故貴様はそうもっ!……残念ながら、此奴を殺さないという手段はない」


「さっきから人を抜きにして殺す殺さないとか、ムカつくのよ!私だって、シオンが殺されないなら、代わりにいくらだって死んでやるわ!」


 イリナも僕と同じ気持ちというわけか。

 もういっそ、ここで心中するかな?


 だが、ここでいきなりアナデッドがキレた。


「……そうか。いくらでもこの男の代わりに死ぬと言うか……ならば、千回分の死を味わうか……?」


「どういう意味よ?死ぬのは一回なんだから、そこに千回も万回もないでしょ?」


「いや?そのままの意味で千回分の死ぬ夢を見てもらう。それでも貴様が正気を保っていられたら、貴様らを解放してやる。どうだ?」


 イリナはそのアナデッドの条件を一笑に付す。


「そんなの楽勝よ。本当に死ぬわけじゃないんだから、私は正気を保ってられる。言ってるでしょ、こちとら背負ってるもんの重さが違うのよ。こんなところで、くたばってられるかってのよ!」


 そんなイリナの態度をアナデッドは嘲笑する。


「本当に威勢だけはいい奴だ。では――」


 その時、この場全体が一瞬にして凍りついた。

 物理的にではない。心が、体が、空気が、圧倒的な気配に怯えて凍りついたのだ。


「リガルス、人の生徒を捕まえてなんだい?殺す?随分と冗談が上手くなったね。だけど、今回ばかりは少しはしゃぎ過ぎたんじゃないのかい?」


 背後を振り返るとそこにいたのは学長だった。


「ルキフグス、貴様!どうやってこの空間に入り込んだ!?」


「それは今どうでもいいだろう。僕ははしゃぎ過ぎてないかと質問しているんだ。答えなよ」


 冷徹な眼差しをアナデッドに向け、学長はそう言った。


「この空間の中で私とやり合うつもりか?そうなれば、お前とてただでは済まんぞ?」


「たたでは?済まない?この僕が?笑わせるなよ、リガルス。年季の差を思い知らせてあげるよ」


「ふっ、お前こそ調子に乗っているのではないか?」


 アナデッドは不敵な笑みを浮かべて、そう言う。


「試してみるかい?」


 数刻の沈黙の末、戦いの火蓋が切って落とされた。

 本作をお読み頂きありがとうございます。


 作者から二つお願いがございます。

 ずばり、ブクマ登録と評価です!!

 何卒、よろしくお願い致します。

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