聖獣 (ソレイユ視点)
家をでてから一週間、精霊達と暮らしている。心も、親から離れたことで、少しずつ回復していき、笑えるようになってきた。精霊達と空を飛びながら移動していると、違和感を感じた。不思議そうにしていると
『何か強いものの気配がする。悪いものではないと思うよ?いってみる?』
クリーンが首をかしげながら聞いてきた
「うん」
私たちは地面に降りて、気配のする方に歩いていった。少しあるくと、森がひらけて、目の前に大きな銀色の狼が寝ていた。私たちに気づいたのか、片目をあけてこちらを見た。少し驚いたように両目を丸くさせ、立ち上がりこちらに近づいて来た。精霊達は私を守るように、私の前に出た。
『万物の聖獣様、睡眠を阻害してしまい申し訳ございません』
クリーンが代表して謝った
『気にすることはない、しかしその子は誰じゃ?魔力が綺麗でしかもたくさんある』
狼が話しかけて来た
「名前、ないです」
『無いだと?人間は名前を持っていると聞くが』
私はぼそぼそと、途切れながら説明した
『そうか、そんなことが。可哀想に、そなたは、精霊の愛し子なのに、愚かな獣人どもだな』
「せいれいのいとしご?」
『そうだ、精霊の愛し子だ。精霊たちに愛される人のことじゃ。しかしそなたはそのなかでもなかなか強いな、まわりが上位精霊ばっかりだ。ふむ、もしよければ我に名をつけてくれぬか?そしたら我を汝に名を授けよう』
「名前…」
『つけるべきだよ』
『私も名前あなたのこと名前で呼びたい』
『万物の聖獣様は強いんだぞ』
『きっと力になるよ』
精霊たちが色々言ってきた
「うん、つける」
『うむ、ではそなたはソレイユだ。異国の言葉で太陽という意味だ。太陽のようにきらきらした日々を過ごして欲しいという我からの願いだ』
「ソレイユ。うれしい、じゃあ狼さんは、スノー。雪のようにきれいだから」
『スノーか。いい名前だ。気に入った。契約成立だな。ふむ、初めての契約だな』
「初めてなの?」
『あぁ、我たち精霊や聖獣は主人がなくなるともう一度契約できるんだが、我は今までの気に入った人間がいなかったからな』
「聖獣ってなに?」
『知らなかったのか。聖獣とは精霊が進化したものと言われているが我は異端でな、もとから聖獣なのだ。普通の聖獣は属性があるのだが、我にはない。得意な属性はあるがな。聖獣は一属性に一体しかいない。我は属性がなく、すべての属性を持つから万物の聖獣と呼ばれてる』
「すごいの?」
『すごいんだぞ?これで、ソレイユはすべての属性を使えるようになったな。』
「ほんと?」
『あぁ』
『ねぇねぇ、私たちも会話にいれてよ』
『そうだ、そうだ』
精霊たちが会話に入ってきた。
それから私たちは聖獣も一緒に旅をすることになった。
私たちはいつもと同じように森を歩き、食べ物を食べ、魔法を練習していた。移動はスノーに乗っている。とても速い。魔法も上手になってきた、スノーが来て、いくつか新しい魔法を覚えた、空間魔法と、植物魔法と、無属性魔法だ。それらを覚えたことで、空間庫や、種から植物を育てたり、姿を消したり、身体強化をできるようになった。ある程度魔法を覚えたから、オリジナルも作った。町には服を買ったりなどで寄った。スノーは、人間になることができる。基本は獣人だが、完全な人にもなれる。魔力を使うから疲れるらしい。私は森で待っていた。人間は獣人を嫌うらしい。スノーは、森で倒した魔物を売って、服などを買ってくれた。魔物は動物が魔力で強くなったやつらしい。魔物によっては大変美味しいらしい。空間庫は便利だ。色々入る。生き物は入らないが、入れれば腐ることはない。
旅をしているとき、スノーが聞いてきた
『そういえばだが、ソレイユは雪を知っているのか?狐の集落は雪が降らなかった気がするぞ?寒いのが苦手だからな』
「うっ、実は……」
転生したことを話した。
『そうか、だったら納得だ。我が知らないことも知っていたし、虐待にあっていたのに会話もしっかりできていた。しかし、災難だな、前世でも今世でも大変なめにあうなんて』
「うん、でも今楽しいからいい」
『そうか』
スノーは狼の姿で移動中だったから顔はわからないが、かすかに笑ったように感じた。
それから約半年がたった