黒い海
今日の海は黒くてイヤな感じがした。
真っ黒な海は今の私ごと何もかも
飲み込んでしまいそうな気がした。
真っ黒な海の波は私を引き寄せているような気がする。
イヤ…。
そっちには行きたくないんだ。
怖い…。
でも足が重くて動かない。
もう波は足元までせめて来ている。
「必死にもがいてみても無理よ?」
突然そんな声が耳元で聞こえた気がした。
私は恐怖を感じた。
もう引き返せないのだろう。
一歩…。
一歩…。
私は黒い海へと向かって行く。
冷たく身体が震える程の冷たい海。
身体が足から黒く染まって行く。
すべてのみ込まれた…。