それは、例えば日曜の朝のような
今回は日常ほのぼの回です。
今日から、また毎日投稿頑張りますので、応援よろしくお願いします!
「もしかして……ここに住んでるのか?」
私の住むアパートを見て、アルゴが絶句する。何も言わなくても、失礼なことを思っていることは確実だ。
なんの変哲もない小さな2階建のアパート。六畳一間プラスキッチンの一般的な部屋だ。……確かに、比較的小柄で華奢なレンはともかく、大きな羊と牡鹿が入るには狭いかもしれない。でも、これは仕方のないことだ。まさか、こんなに大きな動物を部屋に入れることなんて想定していなかったのだから。私の愛すべき六畳間が狭いのではない。こいつらがデカすぎるのだ。
「アルゴ。君は女性に対してあまりに失礼すぎるよ。お嬢さん、しばらく、我らに時間をくれるかな?その間、レンをお任せするよ。」
そう言って、ソアレはアルゴを引っ張って、アパートの裏の方へと消えた。今まで、ソアレの背中で眠っていたレンをなんとか自分のベッドに寝かせてやる。苦しそうではあるが、息は整っている。汗を拭って……飲めるようなら水を飲ませてやろう。
「こうして見てると……全然普通の……いや、それよりも、か弱そうなのに……」
さっきの炎のような姿は全く想像できない。
「それを、これから説明させてもらうよ、お嬢さん。」
「主に、ソアレがな!」
いつの間に入ったのか、ソアレとアルゴの声に思わず振り向く。……が、誰もいない。あの大きなツノを持つ生き物が二体もいるはずなのに、影も形もない。
「!?……待って?どこにいるの?」
「あ〜〜、少し上だな。……そうそう、いいぞ!それで、そのまま少し右をむいてくれ。」
アルゴに誘われるまま、六畳間の天井近くに目をやると……
「はぁぁぁ!?!?!?」
そこには、小さなモフモフした物体と、鹿っぽい小さな生き物がフヨフヨと浮いていた。
もしかしなくても、アルゴとソアレだろう。
「あ、あ、あんたたち!!なんなの、その、それ!?」
魔法少女アニメに出てくる使い魔よろしく、小さく、そして愛らしいデフォルメされたアルゴとソアレの姿に動揺が止まらない。………可愛いすぎる……!!
「あのままの姿だと、お嬢さんの素敵な部屋にお邪魔するのが難しかったからね。僕らの妖精フォルム、気に入っていただけたかな?」
「お前、この姿でも格好つけるのやめろよな……鳥肌立っちまう」
ドヤ顔のソアレと、それをジトっと眺めるアルゴ……大きな姿のままだったら、どうでも良いはずのその光景は、今や可愛い生き物のじゃれあいにしか見えない。
「……い。」
「ん?どうした?ミコ?……おい、ソアレ、お前が気色悪いせいで、ミコの様子がおかしくなっちまったじゃねえか!」
「お前はまた……!!僕は気色悪くなんかない!!」
「かっわいい〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」
思わず、心の声が盛大に漏れる。というか、大洪水状態だ。だって、可愛いんだもん。小さなモフモフと、小さなツノを申し訳程度につけたバンビちゃん……こんなに可愛い生き物を前に、冷静さを保ってなどいられるだろうか。いや、無理だ。
「吸わせて………」
「は!?!?おい、アルゴ!このお嬢さんは何を!?」
「俺だって、わからねえよ!今日出会ったばっかりなんだからな!」
「お前の使いだろ!?」
この可愛い生き物たちのお腹に顔を埋めて、肺の中まで全部この子たちのエキスで満たしたい……この欲望は、人間ならみんな持っているはずだ。
「アルゴ……いいよね……?」
「ミ、ミ、ミコさん……?」
もう、我慢ならない。
その豊満なモフモフ、吸わせていただく……!!
「ミコ!!ミコ!!!落ち着けって!!!ウワァァァァァア!!!!!!」
モフモフに抗える人間なんていませんよ……次回、少しシリアスかもしれません。