【73】タイマンなら負けねえよ
言ってみるもんですねm(_ _)m
「『泥人形』は魔力を使わず、
個々の力で圧倒するしかない」
冷や汗をかくしながら、
クライスが冷静に言った。
しかし、戦場で少しの
気がかりは電波する。
私とゲイブにも、その緊張感が伝わった。
それで理解できる。魔力を使えない敵が、
どれだけな危険なものであるのか。
「俺たちが魔力や魔法を使ったら、それはすべて吸収されて
『泥』の養分となり、不死身の『人形』の原動力となる」
つまりは、無敵。
ゲイブの打撃が聞かなかったのに、
どれだけの威力を込めた物理攻撃なら
ダメージが通ってくれるのだろうか。
「……くるかッ」
クライスに狙いを定め、
進撃する人形たち。
その進撃に意思はなく、
自らを回復してくれる魔力を
求めてただ足を動かしている。
「魔王! さっきのチート能力だけは使うな、
あれは自身の魔力を触媒にしてのものだろう」
さすが目ざとい。
天から降らせた槍や地中から出した壁は、
云わば『私の魔力の塊』と言ったところか。
その魔力に『創造』のちからを付与させて、
本来、可変不可能な事象を可能に変換する。
それが西との激突で進化した
私の権能、《創造の権化》。
――今は、まったくの無力。
「ゲイブ、ここは一旦引いたほうが……」
家臣の前で弱音を吐くわけにはいかない。
それは意識してはいたが、
本音が口をついて出ていた。
そんな私に向かって、
ゲイブは――しかし不敵に微笑んで。
「安心しろよ、俺の女神サマよ。
タイマンなら、誰にも負けねえ」
――地中のあらゆる魔力が、
ゲイブの体躯へと集結する。
ゲイブ・ザッハーク――権能名――《絶対意思》
「ッはァおらぁああああぁぁああ!」
轟く地鳴りが、風になびく木々が、
恐怖にとまどい逃げる動物たちが、
真のロードの血筋である者の
力を喝采して止まない。
力の根源たる咆哮よ、
かの者に力を。
「ゲ、ゲイブ!? 何するつもり?」
「アイツらの原動力が魔力ってこたァよ、
それは魔力がある方向に惹きつけられる
ってこったよなあ?」
そうすると、彼の言葉を裏付けするように、
『泥人形』の一派が「ぐるん!」と首の骨が
変な方向に回りそうな勢いで振り向いた。
ゲイブの権能は、自身の魔力を
爆発的に高めることにあり――
それはつまり、『泥人形』を引きつける
最強の盾になれるということを意味する。
「人形ども――来いや死ようぜ真っ向勝負だ。
そのふざけた体、バランバランにしてやるよ」




