【69】名前
うおおおおおお2000文字以上を書く時間がないいいいい
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ときは少しだけ遡る。
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『急ぎ――イズミ様に申し伝えたいことがあります』
それは……ゲイブがゴーディと死闘を繰り広げ、
ブラッドが応援を求めにくる、
ちょうど同じ時間帯だった。
私とイルガスの元に、
――訪れるはずのない
来訪者が、現れていた。
その人物は、己を『南の賢者』の使者だと名乗り。
フードを脱いだ。
その顔に見覚えがある私は、
思わず声を張り上げて目の前の少女の名を呼んだ。
「もっ、もしかしなくてもノイリー!?」
「はい。お久しぶりです、北の魔王。
……あ、いえ。これじゃ不適ですね」
ごほんと咳払いを一つして、
「――よっ、いずみん。ひっさしぶりー!」
几帳面な言葉遣いから一変、
いっきに砕けた口調になったノイリー。
――もとは賢者さまの使役精霊だった。
らしいから、お硬い口調のほうが性に
合っているのかもしれない。
白い外套を身にまとい、首元から下げた
ネックレスには青白い光が宿っている。
フードの下の精巧な顔の作りは夢で観たままに。
ノイリーは私が、私が思うような思考で、声で、
喋ってくれていた。
少し機械敵ではあるが、
それがまた、ノイリーのかわいいところだと思う。
能面の奥に隠された素顔にこそ美しさは宿るのだ。
……と、まあ。
私のノイリーリスペクトはいいにして。
「どうして私たちが南へ向かってるってことを
知ってるの、とか。分かりきった質問はしない」
なんて言ったって、死にかけの
私たちを蘇生してくれた人だ。
もう何でもアリなことは知ってる。
「僕たちが聞きたいのは、なぜ、賢者様の使者が――
僕たちが満身創痍になったこの状態で、タイミングで。
この場に現れたのか。なのだが……」
私の続こうとした言葉を、
パーティのなかでも無傷なイルガスが
代弁してくれた。
そして、言葉の奥に隠された、真意も。
イルガスは剣の鞘に手をやって、
警戒の体制を見せる。
しかし、ノイリーは
全く動揺した様子を見せずに。
「もし、我々に危害が加えられるような
要件であれば、早急にお帰り願うが?」
それは、いくら相手がノイリーといえど
同感だった。
負傷したジヲォン、レイ、ブラッド。
私たちは今、
満身創痍だ。
ここに厄介事が持ち込まれれば、
普通に南へ向かうのも危ぶまれる。
「滅相もありません、イルガス殿。
私しと共に、南の賢者様を――」
ノイリーは青く輝くネックレスに
手をやって、少しだけ表情を歪め。
「キサラギ・ショウコ様を、
助けて頂きたいのです」
――その名前に、
間違えようもない
既視感が宿った。
それは。
ユキミヤ・リョウヘイに続く、
第二の日本人のお名前であった。
実はキサラギのお名前は、けっこう前にも
出てきました。穂刈誠太くんの元カノです。
……キサラギって名字、かっこいいですよね。




