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【59】サバイバル三日目・中期


「――堕天しけいを、執行する」


禍々しい血が塗られた白銀の刀は、

恐ろしいほどスローモーションでレイに向けられる。

上から下まで――舐め回すように流れる男の視線は、

レイの恐怖を斟酌せず容赦なく視姦していく。


「喰らえ」


放たれた斬撃は樹木の幹を砕き、

弧を描いて空気すらも切り裂いた。


レイに緊迫する、血みどろの剣閃。


あと刹那、反応が遅れていたら、レイは

彼の宣言通り、血塗られた剣の餌食になっていただろう。


しかし――彼女とて『北の魔王』の配下、

ゴブリン城塞を管理する住職、参謀幹部。


たった一撃で粉々になるほど、

柔い鍛え方はしていなかった。


「……ぃやあ!」


鼻先をかすめる、ギリギリの回避。


剣戟をはずしたことに目を見開き、

一瞬だけ次の攻撃までの判断が遅れた男。

その一瞬の間隙をつき、後方に跳躍して

距離をとる。


距離を詰めてくるか――…?


レイの思惑とは外れ、男は

場に留まって、またレイの

ことを視姦し始めた。


「へえ―……今の避けれるのか。じゃあ――囲め」


その代わり、男の後ろに控えていた者たちが動き出す。


黒衣の外套をなびかせ、丈の長い包帯を地面に引きずり、

レイの周囲を壁のように囲っていく。

退路が立たれた。レイ、背水の陣だ。


男が言う。


「なら――…じっくりと。嬲って、いたぶって、強姦して、視姦して、

犯して、冒して、侵してから――逝かせてやるよ。ゴブリンの、淑女」


男の視線は、空気中に這う舌を連想させる。

くるくると、器用に小手先で回される剣。

ふらふらと、不規則に揺れる細い肢体。


男のすべてが、『不快』そのものを象っている。


「させるか――この不潔が!」


その叫びは、まるで槍であった。


男が放った剣閃が『不快』を研いだものであるなら、

駆けつけたブラッドの剣は『努力』を顕現したものだ。


『努力』の剣が、『不快』を襲う。


「はあッ!」


ぶつかり合う、たがねの結晶体。

空気と空気が研磨され、爆発的な力が

大気に溶けてかまいたちを生む。


辺りの木々は一掃され、

山道に平地が出来上がった。


「――お前、誰だよ……。あとちょっとで、

あの女と交われたのによ」


「ほざけ不潔……! お前と似たような男を、

俺は知っているからな。俺の兄と似た男達は、

全員クズ野郎と相場が決まっている!」


叫び、周りを囲む男たちにジリジリと

距離を詰められるブラッド。その中には、

無論レイもターゲットに含まれている。

いや、むしろ彼女の方が本命だろう。


「俺が堕天させたいのは……女だけなんだよ。

だってもう、見ろよ。こんな臭い男ばかりに

囲まれて、俺がかわいそうだと思わないか?

ちょっとくらい女に飢えてたって、仕方ない。

――だから、俺たちが犯して冒して犯して、

俺が、堕天させてやるって言ってるのにさ。

気持ちよくさせてやろうって……言ってるのにさあ!」


男の間違った激高は空へととどろき、

空を、森を、山を、次々『不快』な色へと変えていく。

汚らわしい――…彼の言動は、その一言に尽きていた。


「――豊沃ほうよくの大地に眠りし、堕ちた自然の信徒たちよ」


命令は『不快』の息吹を身に着け大地さえも『不快』にさせていく。

この世の全ての汚れを集めた存在が、今、ゴブリンたちの目の前にいた。


「我、染王せんおうゴーディの名において命ずる」


――自然が、空気が、『不快』に喘ぎ、動く。


「かの者らを、拘束せよ」



変なところで切れちゃったぜ……^^;

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