【48】二人のゴブリンが見た夢③
ちょーっと今回は話しが分かりにくいかもしれません……。
すいません、ぜんぶ私の勉強不足です(T_T)
もっとわかりやすくなるよう努力します。
「……目なら、とっくに覚めていましたよ――先代」
上体を起こすと、そこには無精髭を生やした長身の男性。
内側が血のように長いマントを羽織り、精悍な視線が男の
気品を醸し出している。吐く吐息は風のように穏やかだ。
先代のゴブリンロード――メルジェーノフ・ザッハーク。
「――ははは! それは何よりだ」
さっきの神妙な態度から一変、
声音を高くして大きな笑い声を上げた先代は、
何もかもを見透かしたような視線で僕を射抜く。
――この重圧は、昔となんら変わっていない。
「それで、さきほどの情景を眺めて、何を感じた?」
「……おおよそ、今ので分かったことは3つ。これは過去の情景で、
僕の魂に刻み込まれているほど、重要視した光景であるということ。
そして、幻想であるという事と――貴様が先代でないということだ」
重圧に押されないように、努めて脅迫的な声音を向ける。
できれば、その化けの皮が剥がれればよかろうと―……。
「――その通りである! よくぞ見破った、最少年幹部よ!」
「……見破られておきながら、先代の皮はかぶり続けるのか。
厄介極まりないな……『南の賢者』の使役精霊」
「当然だ。試練はまだ続く……イルガス。お前が、
この過去と向き合い真の意味で立ち上がるまでな」
ちっ……本当に厄介な奴に目を付けられてしまった。
だが『南の賢者』の試練に選ばれたというのは光栄だ。
僕がイズミ殿下とともに、この世界を揺るがす人物だと
理解された示唆になるからだ。……まあ、死にかけたが。
……死にかけた。なら、必ず生き返らなくては。
何を犠牲にしてでも、試練に適合し、もう一度。
……殿下に……お会いしなければ!
「……僕とともに、本物のゲイブも死にかけたはずだ。
あいつもこの幻想の中にいるのか?無事なんだろうな」
「ああ。ゲイブも主様に認められた適合者だからな。
それに、『北の魔王』に使えた臣下でも、お前達は
特別だから―……ブラッドフォードも、ここに居る」
「……ッ! ……それは、重畳」
願ってもない望みだ。
殿下に仕える同胞は、みな存命している。
ならば、参謀である僕が脱落はできない。
「『北の魔王』のことは……気にしないのか」
「はっ。バカを言え。あの方はああ見えてもかなり図太い。
絶対に試練をクリアしておられる――我が生命に誓っても」
「随分と買っているんだな、主を」
「ああ。先代のアンタなんかよりもな―……!」
今ついた悪態は、目の前にいるのが先代の皮を被った
精霊だからではない。
僕は、ずっと先代が……アンタが大嫌いだったんだよ!
「……―ほう。私にたてつくかイルガス」
剣はない。
なら、拳で戦おう。
拳が駄目なら、牙を向こう。
僕は絶対、あなたを許さない。
「当然だ。ゲイブが、僕の友が……。
ああなったのは、お前のせいだろ!」
先程のシーンを思い返して、
唾を飛ばして精霊を睨む。
精霊は、どこ吹く風だとしらを切った。
「仕方のないことだ。ゲイブは―……王の
器に満たなかった。ただ、それだけのこと」
この精霊、先代の声まで真似て、僕を惑わす。
それも、いかにも知ったような口で―……。
まあ、全てを知識として知っているのだろうが……。
流石、『東の魔女』と含めて知識の権化なだけはある。
「それでも、何故あそこまでの拒絶を見せた。
ゲイブは、王になりたくてどれほど血を滲ませたか」
「努力など関係ない全ては結果だ。――選ばれたお前が、
なにより理解しているだろう。最少年幹部の、イルガス」
「……ッ! いちいち、その肩書を付けて呼ぶなッ!」
肩書なんていらなかった。
当初はただ毎日王を拝み、仕えていたかっただけなのに。
「どうして、その思いを愚弄する!
どうしてゲイブの努力を無視する!
どうして奴に……見返りを与えなかった!」
本当は、僕は幹部になんてなるべきでは
なかったのに。
ゲイブが王になることを、何より同期の
僕が望んでいたというのに。
――無能の僕なんかが選ばれて、有能なゲイブが
まるで、猫のように捨てられる。
この情景が今でも頭を離れない。
あの時、彼の背を追えなかった。
あの時、先代を前にして言葉が紡げなかった。
そんな自分が、愚かしくて仕方がない。
だから―……こんな幻想の世界に巻き込まれる。
「何度言ったって変わらんよ。奴に、力はなかった。
だから、選ばれなかった……。ただ、それだけの話」
――ああ、なんて無情な世界だろう。
こんな、人の苦労をないがしろにするような
世界の、どんな試練を潜り抜けろというのだ。
やっていられるか。
「話にならないな。貴様を殺す、そうすればこの
幻想の世界も終わるのだろう?」
「ははは! それでもいいが、試練はクリアに
ならないぞ。それでもいいのなら、やればいい」
「ちぃ……!」
八方塞がりだ。どうすればいい。
目の前の有象無象は、過去を
動かすに事足りない。
なら、なにを犠牲にして前へ進めばいい―……。
僕は、あの方にもう一度会うために……なにを。
犠牲にすればいいんだ。
「――認めればいい」
その天の声は―……いや、悪魔の囁きは。
目の前の先代の形をした人形から放たれた。
「己の恥を、認めてみろよ――イルガス」
三話目にでてきたイルガス、今とぜんぜんキャラ違うじゃん……。
某ってなんだよ……某って……。




