【28】実力行使だ!
たとえどんな手を使っても、私は王にならなくてはいけない。
そのためなら、手段は選ばない。
「……何のつもりだ?」
私の殺気にゴブリンの皆が顔を真っ青にしてビビるなか、
相変わらずゲイブは平常心の顔を崩さない。
「あなたを倒して、この里の権利を譲渡してもらう」
それは本気だった。
必要とあらば、お前も私の障害に過ぎない――と。
「殿下、それは――!」
「ははっ、おもしれえ!
俺のスキルがLevelカンストに対抗できるか、一度試してみたかったんだ!」
ゲイブの背中から、尋常ではない量の覇気が漏れ出す。
それは今までブラッドフォードと相対した時よりも、
ずっと濃厚で、意志の強さが桁違いなほど強くほとばしっている。
「絶対意志――!」
かくして当代最強のゴブリンを決める争いが幕を開け――
「――そこまでです、二人とも」
なかった。
なんやねん!
「てめえ、どういうつもりだロウム!」
私には激昂しなかったのに、なぜかロウムさんには感情を露わにするゲイブ。
「どうしてレイへのお土産が浮いてるの……?」
トータウスでレイに買った蝶のブローチが、なぜか宙を浮いていた。
その蝶のブローチが淡く光り、いつぞやのロウムさんの声を発している。
「私の権能、《創意工夫》は――禁書庫にいる私が外界と繋がる唯一の手段なのです」
さすが歴史を見守ってる職業なだけあって、スキルもすごかった。
「――停戦しなさい、ゲイブ。
あなた達ゴブリンは、『北の魔王』に服従する義務があります」
「くそっ……」
何度私が説得しても聞かなかったゲイブが、ロウムさんの言葉だけには耳を傾けている。
最初に会った時も2人は親しげだったし、もしかしたら幼馴染とかだろうか。
そんな人物が、私の味方をしてくれている。
このまま行けば、私が王になることを、認めてくれるかもしれない。
「それにあなた達――今から団結しなければ、大変なことになりますよ」
そんな淡い期待は、ロウムさんの忠告で吹き飛ばされてしまった。
「――西方軍の学徒連合部隊が、北方領土に正式な宣戦布告をしました。
このままではゴブリン城塞もキズル村も、西の手に落ちてしまいますよ」




