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【26】原点回帰だ!

最近どうも暗かったので、タイトルだけでも明るくしました(・∀・)


「私こそが――みんなの王にふさわしい」


堂々と宣言した私を、ゴブリンのみんなは奇異の視線で見ている。


でも、その視線は一度経験している。


一回目は城のなかで、イルガスたちの信頼を勝ち取る前。


あの時に比べれば、人も少ない。

というか、今目の前にいるのはそもそも人じゃない。


イケる。


確かな自信だけが、今の私を作り上げていた。


「へえ――なら、見せてもらおうじゃねえか。その証拠を」


同じく意気込んだゲイブが、ゲイブだけが、期待の目で私を見ている。


なら答えてあげようじゃないか、臣下のイルガスのためにも!


「――注目!」


もうみんな注目しているだろうが、まあ気分の問題だ。

そう言って私が取り出したのは、この四ヶ月間、イルガスと練りに練った『異世界人類ニート化計画』の事項書。



――四ヶ月前……。



『いいですか殿下、この計画を完遂するためには、口先だけの条約では不可能です。

なので、規定や項目事項などを精査し、たとえば僕やレイ――僕ら参謀チームに納得できる論文を仕上げるのが、このお勉強期間終業の条件となります』


『ええ〜! 歴史おぼえただけじゃだめなの!?』


『当然です。殿下、なぜ人は歴史を学ぶかわかりますか?

先人の知恵を借り、後世に活かすためです。

それがわかったら、手を動かして!』




――あの地獄の勉強期間で、いやというほど自分が口先と出任せだけで立案した作戦を見直した。




オッケーをもらうまでに、一ヶ月近くかかったけど……。


このノートは、私とイルガスの努力の結晶だ。


それを広げて、みんなに見せる。


『そもそも異世界人類ニート化計画とはなんぞ?』

という見出しがみんなの興味を奪う。イイ感じ!


「これが私が王になって、やりたいと思っている政策の第一号です。

簡単に説明すると、人間とゴブリンが共存し、依存させてしまうという計画です」


ああ、これを思いついた時が懐かしい。


人とゴブリンとの間に食料問題が起こって、それを解決するために考えた案だった。


でも、これが今の私の指針になっている。


――人とゴブリンが平和に共存していける世界を作りたい。

――願わくばそれを治める者が、私であればいい。

その願いは、今でも色褪せずに輝いている。



私がおおざっぱな説明を終えると、疑問の手が上がり……。

というか、反論の意を唱えたのは、ハーフゴブリンのマッティアだった。


「嘘だ! 平和協定なんて、常に私利私欲の人間どもが認めるわけがない。

そもそも、結果が出ること自体が怪しいじゃないか!」


「需要はある。

それは殿下の手腕と、キズル村の人々の忠誠心によってすでに証明されている」


反論に対して、イルガスがありがたく助け舟を出してくれる。


――ちなみに、キズル村の住民には私が留守のあいだ、

ちゃんと「役割分担をしておいて」と命令してある。



あの食料問題は、ゴブリンが人の狩場に侵食しすぎてしまったのが問題だった。


だから今度は、ゴブリンに狩らせ――人が加工する。

そんなサイクルを作らなければならないのだ。


だからこその、役割分担。

それは私が統治するに当って、非常に重要な条約だ。


よし、差し当たってはこれをキズル憲法と名付けよう。


やだ、私天才じゃん。


「……これで納得してくれないかな」


釘を指すようにゴブリンたちに問いかける。


しかし、彼らが私に向ける懐疑の視線は変わりない。

中でも、一番の犯行勢力を見せるのは、やはりマッティアの一味だった。


「惑わされるなお前たち!

忘れてはいないだろうが、イズミ。あんた、元人間なんだろ?

なら、人の肩を持つに決まってるじゃないか、そうだろ!?」



この場において大衆に受け入れられるのは、事実でなく正論だ。


私がなし得たことを知らない彼らにとって大切なのは、

己の身を守るための口実――つまり、正論と思える正論だ。


――日本にもいた政治家の操る、話術の一つ……。

うん、いい勉強になった気がする。


まあ、私がなるのは政治家じゃなくて王様だけど。


それはもはや決定事項。

その姿勢だけは、絶対に崩してはいけない。



「……ッ……! このぉ……!」


なかなか折れない私に、マッティアも我慢の限界が来たようだ。


剣の柄に手を持っていく。

しかしそれを見たゲイブが、流れるような動きで彼を止めた。


「やめろマッティア」


「村長、しかし……!」


「いいから、俺の言う通りにしてな」


ザッと、イルガスが力強い一歩で私に近寄る。


「イズミの姉貴。確かにアンタがなした事は大したことだ。素直に賞賛に値する。でもな、俺たちはそれをナマで見てねえんだ。それだけじゃない、マッティアみたいに、ハーフに関わらず人間を恨む奴も多くいる。……にわかに信じられねえ奴の気持ちも、汲み取ってやってくれねえか」


そう言われては、私もぐうの音も出ない……。


――なんて、おとなしく引き下がってやる気は毛頭ない。

会話をしているうちに、策はすでに弄した。

あとは実行に移すのみ。


派手に一発かましてやる!


「じゃあ、ゴブリン村の貴方達は絶対に私の門下には降らない……そう言いたいんだね」


「ああ。俺たちはアンタが敷く王政から独立して生きていく。

安心しろ、アンタは北の魔王だ。北だけで満足してればいい」


「……そっか」


私はわたし専用の権能で、槌の影を作り出す。

そして、それを振るった。


地面を穿つクレーター、それを呆然と見つめる、里のみんな。


「絶対に、服従してもらう。たとえ、どんな手を使っても―……」




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