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【24】王の器たる者は

長いので、誤字が多いかもしれませんm(_ _)m


……まあ基本的に誤字はいつも多いけど。


懐かしい夢を見た。

それを想い出すと、なんだかほっこりした気持ちになる。


久しぶりに、家族に会いたいと思った。


(……まあ、それはそれとして)


それが夢だと気づいた時、当然ながら私はどこかで寝落ちしたのだと自覚する。


しかし記憶の糸を辿っても、答えはでてこない。

どこで寝落ちしてしまったか、寝起きの意識ではあやふやだった。


致し方なく目を開いて、どんな状況なのか確認しようとすると――


「――え?」


そこには、大量のゴブリンたちがいた。


どゆこと?





「お目覚めか、イズミの姉貴」


「ゲイブ、ここは?」


「ここは俺やイルガスの故郷――言うなれば、ゴブリンの生まれの里だ」


「皆の者、よく聞け!」


滅多に声を大きくしないイルガスが、声を張り上げて下々に呼びかける。


「この方は我々ゴブリンの新しい王、タドコロ・イズミであらせられる。

すでに北の城塞、並びに近隣の村々は、かの方が統治して下さった!」


「ギィアアアー!」 「イアー!」


イルガスの呼びかけに対して、ゴブリンたちはなんとも反発的だ。

それに人の言語を喋れないのか、人外の叫び声ばかりを繰り返している。


「……すみません、殿下。城に住まう者以外は、言語能力が著しく低いのです」


どうやら城でロードの警備を務めるためには、それなりの語学力が必須らしい。


まあ、それは当然といえば当然だけど……いま私が気にするのはそこじゃない。


「……というか、何で私はこんなところに連れて行かれてるの?」


絶対に来たくなかったのに!


あの暗い洞窟で、ここだけには来まいと決めたのに!

なんで勝手に連れてってくれたのよ、イルガスぅ……。


「その疑問は後でいいんじゃねえかな、姉貴」


ゲイブがセリフを次ぐ。


「改めて、自己紹介しようか。

俺の名は、ゲイブ・ザッハーク。先代の近侍であり、甥だ。

本来なら――叔父に変わって、ロードを継ぐはずだった男」





それから私は、ゴブリンたちの視線を一変にあびることになる。


ふえぇ……これはある意味、城で初めてゴブリンに合った時よりキツイ……!


慣れたつもりではあったけど、やっぱりゴブリンは気持ち悪いのである。


黄土色でゴツゴツの肌に、腰巻き一枚の不清潔で貧弱な装備。

だから城の兵たちに人間化の薬を飲ませたのに……悪夢が蘇った気分だ。


「姉貴を無断で連れ出しちまったのは……悪いと思ってる」


「……それは別に構わないけど。

私はここで、何をすればいいの?

またここで、何かの儀式をするの?」


トータウスの世像協会でやったことを、もう一度行うというのだろうか。


「そうしたいんだが、そういう訳にもいかねえだよ。

なぜならば……な?」


ゲイブの視線が、その他の大勢の方に行く。


私をにらむ彼らの視線は、王に向ける敬意の視線などではなく。

恨みと怨嗟を含んだ、とっても恐い目をしていた。


「――元人間の私は、ここでは部外者なのね」


思ったことを口にしてみると、悲しきかなゲイブが頷いた。


「察しがいいな、姉貴。その通りさ」


私はここでも、彼らの信用を勝ち取らない限り、王としては認められない。

ということだ。


――でも、それなら前にも経験している。


信頼を勝ち取るのは簡単なことではないだろうが、前より苦戦することはないだろう……。

なんて、楽観して思っていた。


でも、現場が抱えている問題は。

私がしている想像より、よっぽど深刻だった。


ゲイブに無言のまま案内されたのは、ゴブリンの住まう一つの民家だった。

それが同時に――ゲイブが私をこの里に連れてきた理由と知る。


「イズミの姉貴。あんたは――この状況をどう見る?」


そこでは無骨な家具に囲まれたテントのような室内で、

3人のゴブリンが泣き崩れてうずくまっている。


理由はすぐに分かった。

切り株のようなテーブルに置かれた、血まみれの木箱。


中を見なくても、形状からなんとなく分かった。

首だって。


「……あんたは」


私たちの存在に気づいて、一人の男性が顔を上げた。


泣きはらした顔は肌色で、人間に近い形状をしているゴブリンだった。

――この世界でまれに見る、ハーフゴブリンという人種らしい。


「……私は、イズミ」


「……イズミ、だと!」


名乗ると、急に胸ぐらを掴まれた。

すぐにイルガスが剣幕を放って引き剥がし、男性もそれ以上は襲いかかってこなかった。


「ボクの名はマッティア、ここに住むハーフゴブリンだ。

お前のような人間上がりの王なんて、ボクは認めない。

ボクの家族は――お前ら人間に奪われたんだ!」


激昂して、目を血走らせたマッティアの瞳は憤怒に彩られていた。



ああ。

私はこの光景を見たことがある。



『――お、俺の家族はなあ。お前たち魔物に殺されているんだぞ!?』



数ヶ月前のキズル村で体感した、

魔族に――ゴブリンに対する憎悪の連鎖。



そして思い出すと同時に、私は理解した。


人とゴブリンが憎み合うのは、互いが互いに狩る対象となっているから。



ゴブリンは人間の家財や財産、土地を奪い。

人間はギルドで発行されるクエストなどで、

比較的倒しやすい弱小モンスターである、

ゴブリンを襲う。



意思を持つ2つの種族は、家族を殺された怒りに囚われ。

だんだん野生の掟を忘れていく。


人はゴブリンを憎み、ゴブリンは人を憎む。


そんな中あらわれた、元人間の、ゴブリンロードを名乗る小娘の私。



そりゃあ、歓迎される訳がない。

理解してもらえるはずもないじゃないか。



私はゴブリンと人間を共存させようと――今日まで目標を掲げてきた。


でもそれが許されたのは、あくまで協和協定が結ばれたキズル村のみ。



人間とゴブリンを結びつけて、その王に私がなろうなんて――無理な話だったんだ。



お互いがお互いに憎しみ合う関係である以上、

大陸全土のゴブリンと人間の共存なんて簡単に掲げていい目標じゃなかった。



でも、それじゃあ――私は何のために、王に――ゴブリンロードになるの?



「つまり俺が言いたいのはそういうことさ、イズミの姉貴。

あんたは、人とゴブリンの埋まらない溝を埋められるのか?

解決するビジョンがある上で、俺たちの王を名乗っているのか?」



楽な道でないことは分かっていた。


でも、ゴブリンロードになって、一つの城と村を収めて。

私はいい気になっていたのかもしれない。


まさかここに来て、自分の王位が脅かされることになるなんて。

一歩間違えば、スタートラインに転落してしまう。


私は、どうしたら――



「いいか姉貴。

王になるってのは、そういう理不尽に立ち向かうことを言うんだ。

なにをもって王道と成す? 何を掲げて王になろうとしている?

それを俺らの前で宣誓できねえのなら――」



呆然とする私に、ゲイブは牙を立てて。



「あんたは俺らの王に、相応しくなんかねえ」





キズル村で受け入れられても、

ゴブリン陣営に受け入れてもらえるかは分からない。


イルガスたちの信頼は勝ち得ても、

城塞にいないゴブリンたちには関係ないのだから。


……泉魅も大変ですね^^;


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