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【19】眠らない街


――鋼鉄城塞都市トータウス、世像協会入り口にて。


「あー、どっかにいい女いねえかなあ。なあロウム」


「……それは私がいい女じゃないって言いたい訳ね、ゲイブ」


金髪のチャラついた男性は、四方八方を本に囲まれた狭い空間にはひどく不釣り合いだ。

彼は高い身長の割には童顔で、日本で言えば高校生くらいの齢だと推測できる。


男が話しかける先には、対症的に『文学少女』と名のれる可憐な少女が座っていた。

短く揃えたピンク色の髪に、だぼだぼの毛糸服はどことなく扇情的に映ってしまう。


「相変わらず悲観的だなあ、お前。

ギザ男がこんな薄暗い書庫に出向いてやったんだ。

もっとノリノリで喜んだっていんだぜ?」


「この薄暗い所に24時間居る私が、そんなテンションで盛り上がる人だと思うの?」


「思わねえな。だからハメ外せって遠回しに言ってやってんだろうが!」


「……はあ、呆れたわ。

もうどうでもいいから、早く主の所へ……お父さんの元へ戻りなさい」


「……ちっ」


ロウムの言葉には抗えず、ゲイブは致し方なく承諾した。


「……悲観してるのはどっちなんだか」


「なっ、お前に言われたくねえし!」


「くすっ。あなた、焦った顔はなかなかに可愛いわね。

嫌いじゃないわよ?」


「……っんの……馬鹿にしやがって――!」


男は――ゲイブは赤面した顔を隠すように俯いて。

ポケットに突っ込みながら、乱暴に書庫の扉を蹴って外へ出ていった。


苦笑いしたロウムは開いていた本をそっと閉じて、静かに仕事に戻った。



「……ほえー」


北東の街、トータウスについた私は、そんな間抜けな呟きが口を突いて出ていた。


人口凡そ130万人。

白銀の鉄で彩られた街の家々や城塞は、太陽の光を浴びて削りたてのダイヤモンドみたいに輝いていた。

これは月明かりでも同じくらい明るいだろうから、夜でも街灯要らずだろう。

それを証明するように、街道にはいっさいの街灯や照明器具がない。


鋼鉄城塞都市トータウス。

別名、眠らない街。


その肩書がぴったりの、素敵な街だった。


で、そんな異世界の文化に触れた私はというと――。


「はわー! すっげええぇぇぇ!」


めっちゃくちゃ興奮していた。

それはもう、好きな声優さんが結婚報告をした時並のレベル。


すかさず麾下の軍勢が私を取り押さえる。

指示したのはイルガスだったよあの野郎……!


「殿下。あなたは歩兵400を引き連れる王の器なのですよ?

それが、初めて見た街に興奮してどうするのです。はしたない」


「ぐっ……むう……!」


王という単語を出されると、どうも私は弱い。


でもそれだけ、王になりたいと思えているということだ。


その為なら普段しない勉強だって運動だって厭わなかった。


それは日本にいた時とは、まったく違う心構えだから。

少しづつだけど、私はわたしを変えていけているような気がした。


「……分かった。とりあえず世像協会へ、だね?」

「ご理解いただけて一安心です。護衛付きでなら、その後の観光は自由とします」

「言ったね?」

「言いました。男に二言はありません」


わずかな時間、視線が交錯する。

裏切らない――そう確信した私の方から、視線を逃した。


「そうと決まれば、早く仕事を終わらせよう。行くよ、皆」


早く王族の財力使って豪遊したい!




2月は好きなアニメの劇場版が多すぎる\(^o^)/

みるみる財布が痩せっぽっちになっていきます……。

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